『モヒカン故郷に帰る』沖田修一監督 単独インタビュー

INTERVIEW

『モヒカン故郷に帰る』

愛すべき家族が繰り広げる最高で最強のホームドラマ『モヒカン故郷に帰る』の沖田修一監督にインタビューを行った。

モヒカン頭がトレードマークの売れないバンド万・永吉(松田龍平)は、妊娠した恋人・由佳(前田敦子)をつれて故郷の戸鼻島に帰る。矢沢永吉をこよなく愛する頑固おやじ・治(柄本明)と、筋金入りの広島カープ狂の母・春子(もたいまさこ)、そしてたまたま帰省していた弟・浩二(千葉雄大)。久しぶりに家族が揃うが、そんな矢先に治の末期ガンが発覚する。永吉はhなれた距離を埋めることはできるのか―。

―本作は原作のないオリジナル脚本ですが、撮ろうと思ったきかけを教えてください。
家族の映画をやりたいなと思っていて、台本はだいぶ前に書いていました。誰かが病気をして集まって、普段話せないことを話したりということはあると思うんですけど、そういうのってシリアスな映画になりがちなんですが、おもしろい事もあったりして、そういうのを拾っていける映画ができたらいいなというイメージがありました。

―宴会やピザ、結婚式のシーンが斬新でおもしろいと思ったのですが、病院で結婚式をあげるという発想はどこから来たものですか?
ロケハンで、病院のリハビリ室を見たときにここで挙式できたらおもしろいなと思いました。体が弱っているお父さんのために病院で結婚式をやるんですけど、意外と手作り感が出るんでとってもいいなと思いました。

―景色がとてもきれいだと思いましたが、この島を選んだ理由を教えてください。
脚本を書いてから、イメージの場所を探しました。どちらかというとおだやかな海がある街がいいと考えていて、瀬戸内海をいろいろ周っていたら、しまなみ海道のほうは観光地っぽかったりしたのですが、広島のほうはそれほどでもなくて、探していた街の風情にぴったりだと思って決めました。

―高台から海が見えるお墓参りのシーンはきれいでジーンとするなと思いました。
あまり「海がきれいでしょ」というカットは撮らないでおこうと思ったんですけど、撮ってたら入ってきちゃったくらいがいいなと思いました。

―この作品において、矢沢永吉さんの存在が重要でした。広島ということもありますが矢沢さんをリスペクトするのはどこから出てきたのですが?
台本を書いているときに、お父さんとお母さんに熱狂的に好きなものがあるといいんじゃないかということになりました。田舎に住んでいるお父さんとお母さんが、自分たちのことで忙しかったり、満足しているほうがいいなと思って。さびしくないほうがいいなと思ったんです。子どもたちが帰ってきても、ご飯作るのがめんどくさいくらい。そういう象徴としてお父さんが矢沢永吉さんが大好きで、それだけあれば満足みたいな気持ちでいてほしいと思い、考えました。

―永吉が住んでいる部屋にポスターがいっぱい貼ってあってかっこよかったのですが、あれはオリジナルのポスターですか?
由佳の家の永吉スペースで、永吉が今までやったライブのポスターなどが貼ってあります。

―嫁姑がすごく仲良く描かれていますが、それは監督の経験からですか?
そんなことはないですね。治の病気がひと段落ついたところで、由佳は姑に促されるまま永吉と東京に帰ってもおかしくないんですけど、なんとなくふたりがまた日帰りで戻ってくるほうがいいなと思って。雰囲気で泣いちゃう情にもろいところがあるんですよね。バカだけどいい子みたいな、愛らしい女性です。

―前田敦子さんは妊婦の役ですが、演技指導等で難しいところはありましたか?
僕も妊娠したことないんで分からないので、細かい話はしていないのですが、ペットボトルのふたが開けられないとか、ネイルの色はどうするとか、そういう細かいところは話しましたね。助産師さんは一般の方で、相手が前田敦子さんと聞いて一生懸命練習したそうです。

―一般の方が多く参加されているということで苦労はありましたか?
むしろ島の人たちがわいわいするほうがおもしろいことが多いですね。吹奏楽部の子たちは演技も演奏もやらなければいけないので大変だったこともありますが、良いシーンを撮ることができました。全然難しいとは感じていません。

―吹奏楽部のエピソードはありますか?
地元の子たちに頼んで出演いただきました。彼女たちも急に映画に出演することになって、その中で、彼女たちが自分なりにおもしろさを探していくのを見ているのは、すがすがしくもありました。学校の先生になった気分でした(笑)。永吉が父の代わりに指揮をしてリズムが崩れていくシーンは難しく、結構練習しました。

―松田さんと千葉さんが兄弟というのが最初イメージが湧きませんでした。千葉さんをキャスティングをした理由を教えてください。
一見、真逆に見えるような兄弟がいいなと思いました。何人かとお会いしたのですが、千葉さんと会って話したら、顔はかわいい感じですけど、話していておもしろかったので、なんかあるんじゃないかというのがありました。松田さんと並んだときに、似つかわしくない兄弟っていう感じはすごく出るなと思い、すぐ実家に帰ってくる弱さみたいなのを含めておもしろいなと思ってキャスティングしました。

―親子のケンカから仲良くなっていく経験は、監督自身はありますか?
仲悪いわけでもないし、仲いいわけでもない、いろんな経験が人それぞれあると思うんですけど、少なくとも僕はあそこまでケンカはしないです。病気になって「大丈夫か?」って言うのに気恥ずかしさがあるというところで、親子関係が描けないかなと思いました。永吉は東京に帰らず島に残って家族のそばにいるので、それだけで気持ちは伝わっていると思います。

―最後に、本作を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
話はシリアスな内容ではあると思うんですけど、それだけではなくて、いろいろなおもしろさが詰まった映画だと思うので、ただただ笑ってみていただければ嬉しいです。

『モヒカン故郷に帰る』沖田修一監督 (3)

『モヒカン故郷に帰る』沖田修一監督 (2)

『モヒカン故郷に帰る』

『モヒカン故郷に帰る』 (1)

『モヒカン故郷に帰る』 (2)

『モヒカン故郷に帰る』 (3)

『モヒカン故郷に帰る』 (4)

『モヒカン故郷に帰る』ポスター

TRAILER

DATA
映画『モヒカン故郷に帰る』は2016年3月26日(土)より広島で先行公開、4月9日(土)よりテアトル新宿ほか全国で公開!

監督・脚本:沖田修一
出演:松田龍平、柄本明、前田敦子、もたいまさこ、千葉雄大
配給:東京テアトル
2016年/日本/125分

(C)2016「モヒカン故郷に帰る」製作委員会

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