『種まく旅人~夢のつぎ木~』高梨臨 インタビュー

INTERVIEW

『種まく旅人~夢のつぎ木~』

『種まく旅人~夢のつぎ木~』に主演の高梨臨にインタビューを行った。

―オファーを受けたときの印象はいかがでしたか?
高梨 一人一人の人間がとても丁寧に描かれていて、温かい作品だという印象を受けました。自然があふれた場所でこのような人間関係を佐々部監督が描いたら素敵な作品になるんだろうなというイメージが湧きました。

―高梨さんが演じる片岡彩音の役柄についてはどう思いましたか?
高梨 すごく人間らしいというか、本当にそこにいるかのように描かれているので、血が通った役だと思いました。監督からは「彩音と臨ちゃんの中間でいいから」と言われていたので、役に関してこういう風にしようというのは考えず「私が岡山に行きました」という気持ちでやりました。

―素の高梨さんが垣間見えているということですか?
高梨 私がもし赤磐市の職員で桃農家をだったらこんな人でしたという気持ちだったので、境遇とか役職が違うだけで感情はそのままですね。

―(劇中に出てくる)被り物もやったかもしれないですか?
高梨 喜んでやるタイプなので普通にやったと思います。

―斎藤工さんとの共演シーンが多いですが、共演はいかがでしたか?
高梨 これまでにも共演したこともあったので、初日から「久しぶり」と始まりました。話も気さくにできる方で、年上を感じさせなく、私がツッコミを出来る雰囲気を出してくださる方なので、本当にやりやすかったです。しゃべってるままで“用意スタート”ってできる方です。

―難しい役どころをどのように演じましたか?
高梨 桃農家の方とお話をさせていただいたり、実際にやり方を教えていただきました。実際に体験させていただくと本当に大変で手のかかる作業ですが、実際にやられている方はそれを当たり前のようにやられていたのでかっこいいなという印象でした。

―品種名とかは覚えるの大変でしたか?
高梨 最初は大変でしたが、実際に桃を食べ比べさせていただいたりして、自然と覚えていきました。

―撮影中に岡山のグルメを味わう機会はありましたか?
高梨 撮影期間は3週間くらいで、お店に行く時間はなかったですが、赤磐市のお弁当屋さんは、毎日素敵なお弁当を作ってくださったので楽しみでしたし、現場に赤磐市の方がフルーツの差し入れを毎日のように持ってきてくださったので、なんて幸せな現場なんだって思いました。桃やマスカットもいただきました。一番気に入ったのは「桃太郎マスカット」というマスカットです。

―職員をやりながら農業をやるのは大変ですよね。
高梨 とても大変だと思います。収穫の時期には夜明け前から収穫の作業になります。それを毎日やって、市役所で働いて、また夜明け前から収穫という生活だと思います。撮影で行ったときはちょうど収穫が終わるころだったので、まだ大丈夫だったと思いますが、ピークの時は壮絶じゃないかなと思います。

―密接に地域とかかわっている印象でしたが、赤磐市への想いはどうですか?
高梨 赤磐市のたくさんの方々がエキストラに協力していただいていて、撮影中も市役所の方とご飯を食べたり、桃畑を貸してくださっている方とも仲良くして、みんなが温かい場所だと思いました。今回、プロモーションで1年ぶりくらいに赤磐に行って、桃畑を貸してくださった方に会ったのですが「おかえりー!」と言って迎え入れてくれて、一緒に撮影をした時も嬉しかったけど、帰ってきたときも“ここが赤磐だな”と思える場所だと思いました。

―こういうお仕事をしないとできない経験ですよね。
高梨 そうですね、役者という仕事をやらせていただく中で、いろいろな職業をやらせていただいて、いろいろなものを知って、いろいろな景色を見たり行けたりするので、人間として深くなっていくところに魅力を感じています。まるまる3週間行くのもなかなかできない機会なので、すごく大きな経験でした。

―斎藤さんがお風呂に入るシーンは現場の思い付きということですが、ほかにも現場で思い付いて撮影されたシーンはありますか?
高梨 佐々部監督はその場でアイデアを出される方で、結構多いです。「ここはどこですか?」「赤磐です」というフレーズも最初は1~2回くらいしか台本に書かれていなかったのですが、どんどん増やしていって、キーになる言葉になっていきました。斎藤さんを“マダコ”というシーンも本当は別のものだったのですが、それがなかったので「ある中で一番似ているのどれだ」となって「マダコでよくない?」となりました。斎藤さんには次の日に「マダコに変わりました」と報告しました(笑)

―仲の良さが伺えますが、現場の様子はいかがでしたか?
高梨 みんな前からいるかのような穏やかな空気の中で撮影していました。みんなでご飯食べたり、監督の部屋に集まってお酒を飲んだりする機会があったので、キャスト・スタッフさん合わせると年齢の幅が広いのに、そういったことを感じさせないのが印象的でした。

―津田さんとの共演はいかがでしたか?
高梨 あの役のまま私に接してくれて。いい人なんですけど、本当の津田さんは果たしてそのままなのかっていうのは私にはちょっとわからないまま、一緒の撮影期間は長くなかったので。そのまま接してくれるから、私も片岡彩音のまま津田さんに話しかけていました。カメラが回っていないときも話させていただける空気を作ってくださいましたので、津田さんがコミカルにやると私もそういうテンポになるので助かりましたね。

―共演者についてはいかがでしたか?
高梨 妹・片岡知紗役の安倍萌生ちゃんはお芝居の経験はあまりない子だったので、とても緊張していました。監督に「よろしくね」と言われていて、積極的に話しかけたり、斎藤さんも一緒にご飯食べたり、なるべく一緒にいました。ビンタするシーンは本当にしています。そのような時に遠慮なくしてもらえるような関係性を作りたいと思っていました。実際に仲良くなれて、良かったなと思いました。お兄ちゃん・片岡悠斗役の池内(博之)さんは絡むシーンは少ないんですけど、お兄ちゃんの顔をしてくれて、現場では周りの方に助けられました。

―ビンタのシーンは本当に叩いているのですか?
高梨 やっています。かなり痛かったです。本番だけだったのですが、私が一度勘違いして、リハーサルを本番だと思って思い切り叩いちゃったら、思い切り叩き返してくれました(笑)。ちゃんと手を肌に当てることで感情も動きましたし、とてもいいシーンになったと思います。

―片岡彩音の生き方を見てどう受け止めましたか?
高梨 女優になる夢を諦めて岡山に帰って来る時は、そこまでうまくいっていなかったと思うので、それを言い訳にしていた部分もあるんじゃないかなと最初は考えていました。もしかしたら続けていたら花開いたかもしれないですが、いろいろな事情があって帰らなきゃいけなくなりました。それでも、ダラダラ引きずらないで、現状の中で夢を見つけていく姿が素敵だなと思いました。強くもありますし、当たり前のように挫折することもあるので、そこが人間らしいと思います。夢が叶っている人は少ないでしょうし、でもその中で種をまいて夢をつぎ木のようにつないで、そこから新しい夢をどんどん広げていく姿は素敵だと思いました。

―一般的に見たら高梨さんは夢を叶えられた一握りに入ると思いますが、今の夢はありますか?
高梨 この映画に出演して思ったのが、人との出会いを大切にしようということです。「夢を叶えるために、今から種をまいていこう」という台詞があるんですけど、現場でたくさん種をまいていって、また佐々部監督と一緒にお仕事できるようにがんばりたいなという夢が出来たし、人と人との出会いを大切にしてちゃんと自分の夢の木につぎ木のようにつないでいきたいなと思いました。

―今は女優をされていますが、なりたかった夢はありますか?
高梨 昔は漫画家になるのが夢でした。でも、才能がないのに気付いてしまたったので漫画家にはなれてないと思います。バリバリ働いていたいなという夢はありましたね。勉強とかがんばって、いい大学に入っちゃって、一流企業でバリバリ働く女性に憧れていました。なれていたかはわかりませんけど(笑)

―今回いろいろなところでロケをしましたが、思い出に残るロケ地はどこですか?
高梨 桃畑までの道が1本あって、夜明け前に撮影の準備をする際に、防蛾灯が灯っているのが、とても幻想的でした。ほのかに桃の香りが空気に漂っている中で畑までの道を歩いていくのが印象に残っています。

―彩音の魅力はどこだと思いますか?
高梨 彩音は基本的に何にでも一生懸命で、器用な人間ではありませんが、お姉ちゃんとしてがんばっているのが魅力だと思います。

―最後にこれからご覧になる方にメッセージをお願いします。
高梨 若い方が「これを見よう」となるキャッチ―な映画には見えないと思いますが、エンターテインメント性もあり、コミカルな部分もあって、農業に興味がなくても楽しめる作品です。人の温かさが出ていて、劇的で感情が揺さぶられるというわけでなく、優しく語り掛けてくれるような映画なので、たくさんの方にこのような温かい映画を観ていただきたいなという思いがあります。夢を語るのが恥ずかしい、カッコ悪いと思う方もいるかもしれませんが、一生懸命に夢を口にして語っている人たちっていいなと思いました。人と人の絆を感じられる映画なので、たくさんの方に観ていただけたら嬉しいです。

『種まく旅人~夢のつぎ木~』高梨臨インタビュー (1)

『種まく旅人~夢のつぎ木~』高梨臨インタビュー (2)

『種まく旅人~夢のつぎ木~』S (1)

『種まく旅人~夢のつぎ木~』ポスタービジュアル

全国屈指の桃の名産地、岡山県赤磐市で市役所勤めをしながら実家の農家で桃を育ている片岡彩音(高梨臨)は、亡き兄がつぎ木で作り出した新種の桃「赤磐の夢」を品種登録することを目標に、心豊かな仲間に見守られながら懸命に働いていた。ある日、東京から農林水産省の若き官僚・木村治(斎藤工)がやってくる。ぎくしゃくしながらも少しずつ距離を縮めていく2人だが―。


DATA
映画『種まく旅人~夢のつぎ木~』は2016年11月5日(土)より有楽町スバル座ほか全国で公開!

監督:佐々部清
出演:高梨臨、斎藤工、池内博之、津田寛治、升毅、吉沢悠、田中麗奈、永島敏行、井上順、辻伊吹、海老瀬はな、安倍萌生、川藤幸三
配給:アークエンタテインメント

©2016「種まく旅人」製作委員会

PAGETOP
© CINEMA Life!