『話す犬を、放す』つみきみほ 単独インタビュー

INTERVIEW

“夢を追い求めること”や“生きる”というテーマについて、レビー小体型認知症という病を通してコミカルに描く映画『話す犬を、放す』主演のつみきみほに単独インタビューを行った。

―この映画のオファーを受けた、率直な感想は?
面白いな、と思いました。自分と似ていると思う部分もいっぱいあり、母と娘のドラマが、濃い内容ですけど、あたたかいという感じがして面白いと思いました。今から1年ほど前、撮影に入る約1か月前に台本を初めて読んだ時から面白いところがたくさんあって、すごいなあと思いました。

―今回演じられているレイコと、つみきさんに共通点はありますか?
レイコはとても強いと思います。自分の中にも昔はそういう部分がもっとたくさんありました。中でも自分の好きなものにのめり込むところは共通点を強く感じます。レイコは親ひとり娘ひとりの難しい環境の中で、お母さんの期待なんかも背負いながら突き進んでいるな、私よりもまっすぐに進んでいるな、という印象ですね。娘って実際、母親の期待を背負って・・・みたいなことってよくあると思います。この世代は、周りから結婚とか子供とかいろんなことを言われますけど、そんな中でも自分の好きなことにまい進できるというのは憧れるし尊敬します。

―母親のキャラクターに感じられたことはありますか?
まず、素敵だなあと思いました。レビー小体型認知症という病気で、幻視・幻覚が見えるという中でも明るく「一歩ずつね」と言っていてチャーミングですよね。実際の自分の母親とも全く違いますし(笑)。関係性も全然違いますけど。(演じている)田島さんも本当に素敵な方でぴったりでした。

―母親を演じられた田島さんとのエピソードがあれば教えてください。
田島さんは映画をたくさん観てらっしゃる方で、撮影当時上映されていた映画をいくつか勧めていただきました。また、「どうやったら、田島さんのようにずっと第一線で続けられるのですか?」と尋ねたら、「ぼーっとしているの」って(笑)私は真逆で、動いてないと気が済まないんです。映画・俳優以外にも興味があるので、一つのお芝居という世界でぼーっとしていられたら確かに長く続くのかなと思いますよね。

―初長編作品となった熊谷監督の印象はいかがでしたか?
(大阪出身の)熊谷監督は、関西人だからなんですかね?撮影中冗談ばっかり言って笑わせてくれて・・・、それが監督の狙いだったと思うんですけど。内容が認知症を扱っているので、私は最初から真剣に取り組む姿勢だったのですが、「いいの。明るくって」と常に言ってらっしゃって、試写会でもお客さんが笑っていたかなどを気にしてらっしゃった。良い意味の緊張をしておいられて面白かったです。

―印象的だったシーンはありますか?
レビー小体型認知症の幻視のシーンの表現は印象的でしたね。あとはやはり、後半のお母さんとのシーンですね。2人のやりとりは、ちょっとした日常だけれども「いいな」と思わされるシーンでした。関係的には密接なのに離れて住んでいたところから、認知症のために実家へ戻ってきて、やっと2人で過ごす時間が貴重で、かけがえのない時間なんです。そういったことが現れているシーンだと思います。

―本作はどんな方に観ていただきたいですか?
認知症に関わっている方は、もちろん観て頂いて楽しいひとときになれば、と思いますし、できれば色々な方に観ていただければとは思います。色々感じていただけて、思ってもらえればと思います。

【取材・写真・文/坂東樹】


DATA
映画『話す犬を、放す』は2017年3月11日(土)より有楽町スバル座ほか全国で公開!
監督・脚本:熊谷まどか
出演:つみきみほ、田島令子/眞島秀和、木乃江祐希
配給:アティカス
2016年/日本/84分
©2016埼玉県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ

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