『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』中野裕太 単独インタビュー

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INTERVIEW

facebookで知り合った台湾人のリンちゃんと日本人のモギさんのラブストーリー『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』で主演を務めた中野裕太に単独インタビューを行った。

―オファーを受けたときの心境をお願いします。
 ドラマの撮影をしている時に声を掛けられました。「こういう映画があるんだけどピッタリだと思うんだ」って言われて、その場で監督に写メを送ったら「お前で行こう」ってなりました。その間10分くらい。こんなことあるのかなと思って、台湾に着いて衣装合わせするまで実感がなかったんです。本当にやるのかなって半信半疑でした。もちろん原作を読んだり、原作者に会ったり、台本を読んだりはしました。

―まるでこの映画のようですね。
 そうですね。監督とも、原作者の方とも仲良くなれて、この映画に出演できたことを光栄に思っています。そういう意味じゃ出会うべくして出会った感があります。

―初めに台湾で撮影を行ったのですか?
 そうですね。

―原作はどのタイミングで読みましたか?
 出演の話を聞いて、台湾に行く前に読みました。

―台湾に行く前に原作者に会いましたか?
 会いました。

―SNSというとても身近なお話ですが、役作りをするうえで気にしたことはありますか?
 モギサンとリンちゃんが僕と同年代なんです。だから、初めに会った時にどういったことを言われるかなと思ったら、リンちゃんは天真爛漫な性格の方なので「モギサンはパーマをかけてくれないとダメ」とか「髭を生やして」とか外見を近づけることは、リンちゃん本人からの指示でした。その当時、髪が短かったけどがんばってパーマかけたり、髭を生やしたり、5㎏くらい増やして健康的なイメージに近づけたりしました。映画化されるにあたって“ファンタジーでありたい”と監督とも話をしていたので、ドキュメンタリーのようにそのまま二人をコピーするのではなくて、モギサンからもらったエッセンスを、最近の日本の若者を代表するような男子が、天真爛漫な台湾の女子と出会って恋に落ちるというおとぎ話にまで昇華したかったんです。そういう意味では、モギサンからもらったものを少し抽象化していて、モギサンそのものを忠実に動きまで真似するというものではないことは意識していました。

―リンちゃんを含めて、本作に出演する台湾女性は元気のいい女性が多い気がします。
 しゃべるというよりは、僕の印象でいうと、心の中に南国風のパッションを持っている人が多い反面、意外とシャイだったりもする人が多い。共通して言えるのは、中に熱いものを秘めていると思います。

―リンちゃんを演じたジェン・マンシューさんとの共演で、なかなか伝わりづらいことはありませんでしたか?
 それは全くなかったです。英語と中国語を交えて話していたんですけど、それはマンシューもそうだし、向こうのスタッフさんもそうでした。一切そこに対してのバリアみたいなものはなくて、すんなり現場に入れたし、言語の壁を感じることはなかったです。それは台湾人の国民性だと思うんですけど、温かいというか、人間っぽいんです。ニイハオだけ覚えて笑顔で言えば、返してきてくれて、その瞬間につながれた。細かい点についても、現場で作り上げていくことが多かったので、話し合うというよりも、その時に目や呼吸を感じるというお芝居をしました。そういう意味では言語の壁というものを感じることはあまりなかったです。

―台湾での撮影はどれくらい?
 1か月弱くらいです。

―思い出に残ったロケ地は?
 福容(フーロン)の海に入ったんですけど、沖縄よりもさらに南で、台湾の海に来たという実感がわいて楽しかったです。ただ一番好きだったのは、台北の普通の街並みや路地裏で、生活感が溢れているところです。おじさんがタバコを吸いながら、サンダルとタンクトップで歩いている。そして、屋台ではみんなでご飯を食べている。そういう雰囲気が好きです。だから観光地よりも、街の空気感や生活感が溢れているところが台湾の魅力なんじゃないかなと思います。台北の路地裏を休憩中に散策して、タピオカミルクティーを買って歩くのがすごい楽しかった。それが台湾の魅力なんじゃないかと思います。

―撮影中にプライベートで出歩く時間はありましたか?
 ありました。

―そういう時は食べ物もたくさん食べましたか?
 屋台で食べ歩きをしたり、50嵐(ウーシーラン)のタピオカミルクティーがおいしかった。すごい安いです。路面店で買って飲み歩きしました。

―現地になじんでいるように映っていますよね。台湾に行きたくなりました。
 生活感がにじみ出ているほうが台湾に行きたくなると思います。台湾はそういうところです。監督は意識して撮ったんじゃないですかね。

―おすすめの食べ物はありますか?
 やっぱり小籠包はおいしいですよ。鼎泰豐(ディンダイホン)は本当においしいです。

―モギさんとリンちゃんのエピソードで一番印象に残っていることはありますか?
 撮影以来めちゃくちゃ仲良くて、監督も含めて、今でも少なくても2か月に1回くらいはご飯に行っています。夫婦漫才のようで見ていておもしろいです。リンちゃんが“わー”ってしていて、モギさんがニヒルな顔で見てる。モギさんは本当にしゃべらない人なんです。あの夫婦は見ているだけで楽しそうです。

―日本と台湾で撮影を行いましたが、両国での撮影で違いはありましたか?
 それがないんですよね。言語の壁とかもっとあると思ったんですけど、プロの現場としてものすごく入りやすかったです。ただ、(台湾では)ご飯はちゃんと食べます。日本の現場だと移動しながら食べることがよくあるんですけど、台湾はご飯は何があってもご飯。次の現場に行かなきゃ間に合わないと言いつつ、ご飯はご飯だからと食べ始める。食事はちゃんと時間を取りますね。監督は、昔日本人が台湾で映画を撮って、それを教えてもらったって言ってました。

―ジェン・マンシューさんはコメディちっくな演技をする方に映りましたが、一方で中野さんはクールで落ち着いた演技される方で、2人がうまく合わさっている。演技をするうえで気にされましたか?
 日本の奥手でしゃべらないけど何も意見がないというわけではない男子が、台湾の開放的な女の子と出会うというおとぎ話なので、そこはコントラストがないと映画としても成立しないと思いました。マンシューが投げてきたものを僕が拾うという受けの芝居は意識しましたね。

―今回、撮影で気に入った言葉はありますか?
 的感覚(ダガンジュエ)ってよく言うんですけど、「~って感じ」という意味なんです。「よく的感覚って言うよね」って言われるくらい気に入っています。

―撮影中におもしろかったエピソードはありますか?
 台北でビーサン履いてタバコ吸ってるのをマンシューが遠くから見て、“本当にそこに住んでいる台湾のおじさんみたい”って笑われたりしました。マンシューと監督は仲が良くて「そこのクロワッサン食べた?」「まだ食べてない」みたいな感じで言い合ってたり、どうでもいいことで話が続くファミリー感がある現場でしたね。

―現地に住んでいらっしゃる日本人の俳優さんも多いですが、どんな会話をしましたか?
 (本作に出演している)与座重理久が奥さんと一緒にお店をやっているんですが、当時6歳の子どもも映画に台湾人として出てる。その家族と仲良くなって、撮影がオフの時は、昼間の閉店中のお店に行って家族と遊んだり、いまだに会いたくてプライベートでも行きます。

―撮影現場に来ていたモギサンは蛭子さんが気になったとお話しされてましたが、中野さんは蛭子さんとの共演で何かエピソードはありますか?
 普段からああいう方で、仲良くお仕事をさせていただきました。あとめちゃくちゃセリフを間違えちゃうんですよ(笑)。一回「今日はセリフ覚えてきたんだよ!」って現場に来たんですけど、セリフにあった“餃子屋”が諸事情で“焼鳥屋”になったんです。だから「蛭子さんせっかく覚えてきてもらって申し訳ないんですけど、焼鳥屋って言ってください」となったんですが、全テイク“餃子屋”って言ってましたね(笑)結局、そのシーンはなくなりましたけどね。監督とも「餃子屋って言っちゃうし、餃子屋に行こうよ」と話したり、途中でモギさんが焼鳥屋にしたってことでいいんじゃないかって話はしていました。蛭子さんはマンシューにも人気だったんです。「何、あのおじさん!」って。マンシューのマネージャーさんとか台湾の人もそう言っていて、蛭子さんの魅力は国境を超えるんだなと思いました。日本人だけが、蛭子さんを見ておもしろいと思うのかと思ったら、台湾の人からも大人気でしたね。

―プライベートでも台湾に行っているとおっしゃっていましたが、その時にマンシューさんとお会いになることはありますか?
 一回マンシューに呼ばれて行きました。マンシューが監督するショートフィルムに出てくれって言われて主役をやりました。仕事とは全く関係なく行って、48時間で一本ショートフィルムを撮るという企画でした。コンペティションで上映されて銀賞を取りました。

―とても仲の良い現場だったんですね。
 珍しいですよね、この現場くらいですね。監督とリンちゃんとモギサンと僕と脚本家の野村(伸一)さんが入ってるLINEのグループがあるんですけど、リンちゃんが命名して「どこか騒ぎたい感じ」っていうグループ名なんです(笑)いつも「遊びに行こう」ってリンちゃんがスタンプやメッセージを送ってくるんですけど、監督が「忙しいから無理だよ」って言うとリンちゃんが悲しい顔文字を送っています。

―最後に、本作楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
 一日でこの作品に90分使ってもらったら、その日が笑顔になって楽しくなると思うので、映画館で観ていただきたいです。さわやかに観れるという感想をもらうことが多いので、損はしないんじゃないと思います。

TRAILER

DATA
映画『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』は2017年5月27日(土)より新宿シネマカリテ、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほか全国で順次公開!
監督:谷内田彰久
原作:モギサン&モギ奥さん「ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。」(新潮社)
出演:ジエン・マンシュー、中野裕太、ワン・サイファー、蛭子能収、リン・メイシュー、大谷主水、岡本孝、与座重理久
配給:朝日新聞社/アティカス
©“Mamadame” production committee

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