『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』ユン・ジェホ監督 単独インタビュー

  • HOME »
  • インタビュー »
  • 『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』ユン・ジェホ監督 単独インタビュー

INTERVIEW

出稼ぎのはずが騙され、中国の貧しい農村に売り飛ばされた北朝鮮女性―彼女が脱北ブローカーとして生きる日々を描いたドキュメンタリー映画『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』でメガホンを取ったユン・ジェホ監督に単独インタビューを行った。

―本作の主人公でもあるマダム・ベーさんと出会ったきっかけを教えていただけますか?
 2011年から2013年にかけて『Looking for North Koreans(原題)』(訳:北朝鮮人を探して)という作品を撮るために中国に行き、そのためにブローカーの電話番号をいただいていました。そのブローカーから次のブローカーへと紹介されていくうちにマダム・ベーに出会いました。iPhone一つで(韓国の)仁川から船に乗って、(中国の)上海まで巡った。その過程でブローカーと会ったり、話をしたりしながら信頼を得ていきました。縁を辿っていくことで出会えたので、マダム・ベーにたどり着くまでそんなに大変ではなかったです。

―出会ってから撮影を終えるまでどれくらいの期間ですか?
 2013年3月に初めて会って、その時に中国人の家族のところに連れて行かれて会いました。2015年12月末に2つの家族で葛藤しているところで撮影を終えました。

―マダム・ベーがカラオケで歌っている曲の歌詞で「私はただ幸せ」という部分が印象的でした。幸せを感じているようには見えませんが、今現在は彼女は幸せだと考えていると思いますか?
 マダム・ベーは、週に2~3回は友達と一緒にカラオケに行っており、たまたま1回ついて行きました。あの歌を歌っているときに切なく見えたので映画で使いました。自分が育ってきた環境での幸せと、彼女が生きてきた環境での幸せというのは定義が違うと思うので、一概には言えないけど、今のマダム・ベーはソウルの郊外にバーを作って、独立しようと一人で暮らしているんです。ただ、北朝鮮から出てきたころのマダム・ベーと、ソウルで生きているマダム・ベーは僕から見たら全く印象が違います。

―今も連絡は取っていますか?
 そうですね。

―暗いシーンが多かったり、緊迫感が伝わってくる作品ですが、撮影中に危険な状況に陥ることはありませんでしたか?
 特に危険を感じるというよりも、既に危険は存在するので撮影するしかないと思いました。危険のことを考えていると撮影ができなくなってしまう。考えすぎないようにと心掛けていました。なるようにしかならないという気持ちで撮影しました。

―ソウルの電車内で「スパイを見つけたら報告すること」と書かれていました。一般の観光客から見る街並みと、脱北者から見る街並みは違いますか?
 そこで生きている脱北者や脱北者のことを気にかけている人にとってはとても脅威だと思います。

―監督にとって脱北者の方がどうあれば幸せだと思いますか?
 多分脱北者が願うことはひとつだけで、人として同等でありたいということだと思います。人が普通に生きているのと同じように生きる、それが幸せだと思います。でも、そんな簡単なことでさえも保証されないということが悲劇ですね。

―脱北という話題は、韓国で生活していると身近にあるものですか?
 私のように関心を持っている人は良く知っていると思いますが、大多数の韓国人は知らないと思います。北朝鮮のなまりがあるだけで北朝鮮を背負っている、代表していると思われることがあります。だから韓国人と付き合うことが非常に難しいです。例えば私は釜山のなまりがありますが、そういった出身の人が北朝鮮のなまりがある人と話すと、「あ、北朝鮮の人だ」という壁ができてしまう。地下鉄とかで北朝鮮の言葉が聞こえると、ちょっと離れようという雰囲気は今もあります。

―ところで、今回2回目の来日で、東京に来たのは初めてということですね。今回は残念ながら時間がないということですが、行ってみたいところはありますか?
 昨日『キル・ビル』に出てきた「権八」に行きました。あまりにもいろんな方から聞くので。そのほかは全く分からないです。どこか外国に行くときは何も知らないで行くのが好きで、その場で発見するのが好きです。また来たいと思います。

【取材・写真・文/編集部】

ユン・ジェホ監督

TRAILER

DATA
映画『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』は2017年6月10日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開!
監督:ユン・ジェホ
配給:33 BLOCKS
©Zorba Production, Su:m

PAGETOP
© CINEMA Life!