『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』ブラッド・シフ インタビュー

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INTERVIEW

映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』でアニメーション・スーパーバイザーを務めるブラッド・シフにインタビューを行った。

―ブラッドさんは本作ではどのような仕事をされていますか?
 アニメーションスーパーバイザーです。簡単に言えばアニメート、つまり動いているものはすべて僕の管轄です。一番大きな責任は、35人いるアニメーターそれぞれを動かすことです。みなさん当然個性が異なりますので、まるで一人が作ったものかのように仕上げるのが僕の責任です。

―初めに企画を聞いた際にどう思いましたか?
 最初に脚本を読んだときはワクワクしました。もともと僕は日本映画や武芸、そして日本のアニメーションが大好きだったので、そういった部分を掘り下げることができたので“スーパーワクワク”しました。

―本作を手掛ける前の日本へのイメージはどのようなものでしたか?
 日本の文化はもともと内在的な美しさがあると感じていて、以前から僕自身が共感するところがありました。日本の美術、日本の映画作り、そして日本食も大好きで、自分の感受性に近いものを感じていました。本作の企画を開発する中で、それぞれの部署がそれぞれのリサーチを行っていきます。そして伝統的な文化や思考をリサーチしていく中で、さらに日本の文化に没入していくことができたし、われわれ全員が日本へのリスペクトをもって、正しく日本の文化と伝統を描かなければいけないと思ってやっていました。今回これまでに知らなかったことを知ることができ、それは「だから日本の文化を美しく感じさせてくれるんだ」と思わせてくれるものばかりでした。“わび・さび”という観念を知りませんでしたし、今でも完全に分かっているのかは分かりませんが、ストップモーションアニメはもともと“わび・さび”という感覚があるものだと思っていて、そこが僕は大好きです。不完全なところが美しい、それはわび・さびに通じるのではないかと思っています。

―クボの動きで参考にしたものはありますか?
 黒澤明監督の作品は参考にしました。特に日本の方々の動き方や身のこなしなどは参考にしましたが、ただ黒澤監督の作品には子供があまり出ていなんですよね。だから、クボの持っている無邪気さや、控えめなところがありつつも遊び心があるところは、『E.T.』や『スタンド・バイ・ミー』、『グーニーズ』の少年たちを参考にしました。それらの作品の少年像はクボが必要としているものだと思いました。

―ストップモーションアニメの途方もない作業は大変そうに見えましたが今回、特に新しいチャレンジはありましたか?
 映画作りとしてはこんなやり方ないですよね、大変すぎると思います(笑)今回の作品はライカにおいても類を見ない大作でした。4.9mの巨大な骸骨やクリーチャーもそうですが、クボたちの衣裳も江戸時代の日本ということで着物の袖がゆったりしており、髪の毛も長い。これは大きなチャレンジでした。今までのストップモーションアニメで衣裳が体にぴったりしているのには理由があるんです。動かさなくていいからです(笑)着物にしても、ちょっと動かしたときに自然な形で落ちないと「(クボは)人形なんだ」と思われてしまう。髪も人毛ですが、シリコンを足して動かせるようになっています。パペットを一コマずつ動かすのに加えて、髪の毛、着物、三味線の動き、水が入ったヘチマの水筒も動かし、すべてキャラクターとしての扱いをしなければいけませんでした。だから、すべてが新しいチャレンジでした。

―今回3Dプリンタを使用されていますね。パペットと3Dプリンタ、CGの使い分けはどのようにしましたか?
 顔は全部3Dプリンタで作っています。2Dのデザインをベースに粘土で3Dモデルを作ります。そのモデルをスキャンして、デジタルのモデルを作ります。そこから顔のパーツを作ります。その中でクボの表情や微笑み方、顔のしかめ方、悲しい表情などのすべての感情を考えて監督と相談をしながら、「Maya®」(アニメーションを制作するグラフィックソフト)でデザインをしていきます。プレスコで録っているので、それに合わせて表情を作り、3Dプリントします。表情はアニメーターがパーツを使って作っていきます。特に目には人の魂があるので、目玉を動かしたり、独立してまぶたが動くので、目を細めたり瞬きをすることができます。

―この人形を目の前にしても、これを動かして映画を作るのは信じられないですね。
 ライカでのゴールはストップモーションアニメでできることを広げていきたい、レベルアップしていきたいのが一つと、重要視しているのはストーリーです。ストーリーを見ていただくためにはキャラクターが生きた存在としてみていただくことが重要で、ストップモーションであることを忘れて没入していただき、ストーリーを追ってもらいたいと思っています。ストップモーションアニメの最高の人材がそろっていて、一作ごとに成長している。また、以前から奨励はしていましたが、アニメーターそれぞれが自分で行った動きを撮影し、それを参考に動かそうと話しています。それによってより自然な動きになるからです。そのいい例が、洞窟で折り紙をクボが拾うシーンがありますが、そのシーンを自分で紙を拾うという動作を撮ったものを見せてもらいましたが、紙を拾いそこなった映像を見せてもらい、アニメーターは「今の無視してください」って言ったんだけど、不完全なものこそ人間的だと思うんです。人は全部きれいに拾えない時もあるわけですから「それを使ったらどう?」と言いました。自分たちで撮ることによって、頭だけでは想像できないことができると思います。

―先ほど声を先に録っているということですが、なぜ先に録音するのですか?先にアニメーションを作るほうがやりやすいとも思えてしまいますが。
そんなことはないんです。逆なんです。生命感を感じてもらうために、キャラクターの表情の幅の広さを事前に見極めるためにも声があることが大切なんです。何度も聞きながら表情を作るので、キャラクターの声があるからこそ、叫んでいる、手の動き、キャラクターの声によってどれくらいであるべきかが見えてくるので先にあることが重要です。

―俳優や女優の表情も見ながら作るのですか?
はい、レコーディング中にビデオを回しています。役者によっては体を使って演じる人もいれば、ただ紙を読むのでその場合はものすごく想像力を使わなければいけません。一番体を動かして演じたのはマシュー・マコノヒーです。シャーリーズ・セロンはサルの役だから、そのまま動きに落とせないので難しかったです。

【取材・写真・文/編集部】

ブラッド・シフ

ブラッド・シフ

STORY
数々の傑作を送り出してきたストップモーション技術最高峰スタジオ・ライカが、今回挑んだのは“古き日本”。情感あふれる日本の風景や風習を、息を飲む美しさで描いた本作は、本年度アカデミー賞や全世界の映画賞を総なめし話題を呼んだ。監督には、黒澤明や宮崎駿を敬愛するトラヴィス・ナイト。シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラら超豪華俳優陣がボイスキャストを務める。ライカの最先端クリエーターたちが、壮大なセットの中で人形や美術を1コマ1コマ動かし、1秒間の映像のために24枚の写真を撮影しながら作り上げた努力と愛情の結晶に、名だたるキャストたちが命を吹き込む。大人にこそ観てほしい、圧巻のストップモーション絵巻がついに上陸する。

TRAILER

DATA
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は2017年11月18日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
監督:トラヴィス・ナイト
声の出演:アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ
配給:ギャガ
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