『家へ帰ろう』パブロ・ソラルス監督 単独インタビュー

INTERVIEW

映画『家(うち)へ帰ろう』でメガホンをとるパブロ・ソラルス監督にインタビューを行った。

―仕立屋がスーツをもって旅をするという物語にとても興味が持てました。その着想はどこから来ましたか?
監督 私の祖父がユダヤ人の仕立屋なので、本作の第一稿を書いている時から仕立屋という設定にしていました。祖父はポーランドからアルゼンチンに渡った後も仕立屋をしていたんです

―ユーモアがあふれるやり取りが多いですね。
監督 コメディ要素を織り込んでいくのが自分のスタイルなので自然に出てきました。ただ、スタイルは振り返って気づくものなので、書きながら求めるものではありませんが。

―途中で出会う女性たちがとても魅力的な描き方がされていました。
監督 モデルとなった人はいないのですが、いろいろと想像しながら書いていき、思い浮かべていた人とピッタリの人をキャスティングしました。マリア役のアンヘラ・モリーナは、彼女が20代のころからファンで、彼女を思いながら書きました。ほかのキャラクターは特定の女性を基にしたというのはありません。

―今回、日本は初めていらっしゃいましたか?
監督 はい、初めてで、最後にはなりません(笑)

―日本の映画祭に出品されていかがでしたか?
監督 SKIPシティ(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018に出品、上映は7月16日)ですが、月曜の正午に満席になるとは本当に信じられなかったです。観客の反応も良くて、また感情豊かな観客で感動しました。地球の反対側にきて新たな発見をしているという感じです。釜山で初めて、アジアに来たんですけど、今回東京は初めてです。日本の方は目を見て話すので安心できますし、話し方も好きです。お互いをリスペクトしているというのを感じるので、より深く知りたいと思います。今日もたくさんの取材を受けていますが、自分でもハッと気づかされるような意識していないような質問をたくさんされます。日本はお互いをリスペクトしているのが素晴らしいと思っているので、今度は息子を連れてきたいですね。

―日本の観客にメッセージをお願いします。
監督 なぜ我々は時に心を閉ざして思いを伝えようとしないのか、なぜ人間は自分が関わっていないことに罪悪感を抱くのか、なぜ過去のある時代に起きたことを我々は簡単に受け入れてしまうのか、みなさんに考えていただきたいです。劇場に足を運んで、涙を流しながらそういうことを考えていただきたいと思います。

STORY
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに住む88歳の仕立屋アブラハムは、ブエノスアイレスからマドリッド、パリを経由して故郷ポーランドに住む70年以上会っていない親友に、最後に仕立てたスーツを届ける旅に出る。親友はホロコーストから逃れてきたアブラハムを助け、匿ってくれた命の恩人だった。旅の途中で出会う女性たちが、様々な困難に陥ったアブラハムの力になりたいと助けてくれる。果たしてアブラハムは親友と再会できるのか?人生最後の旅に奇跡は訪れるのか―。監督・脚本を手掛けたパブロ・ソラルス自身がユダヤ人で、ホロコースト体験者だった祖父の家では「ポーランド」という言葉を発することすらタブーであったことから本作の着想を得、自身のアイデンティティーを確立させるために避けて通れないテーマを感動のロードムービーとして結実させた。


映画『家へ帰ろう』は全国で公開中!
監督・脚本:パブロ・ソラルス
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ、アンヘラ・モリーナ、オルガ・ボラズ、ユリア・ベアホルト、マルティン・ピロヤンスキー、ナタリア・ベルベケ
配給:彩プロ
© 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A.

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