『クロガラス3』『クロガラス0』崎山つばさ インタビュー

INTERVIEW

前作の『クロガラス1』『クロガラス2』がミニシアターランキングで2位を獲得し、スマッシュヒットとなった映画「クロガラス」シリーズ。続編『クロガラス3』(9月3日公開)『クロガラス0』(9月17日公開)の2作連続公開を控え、主演の崎山つばさにインタビューを行った。

『クロガラス1』『クロガラス2』から2年が経ち、今回続編の制作が決定したときのお気持ちをお聞かせください。

崎山 映画を作ること自体が難しい中で撮らせていただけるということで、純粋にうれしかったです。シリーズとして『1』『2』を撮っていた時に“続きができたらいいな”という思いがあったので、割と早く続きができてうれしい気持ちもありました。

前回も2作連続で、今回も2作連続での公開ですね。

崎山 『クロガラス』と言えば2作連続公開というようになってしまったところもあります(笑)撮るほうは大変かもしれないですけど、一度に何度でも楽しめるというか、Wパンチを食らうみたいな感覚になると思います。『1』『2』を見た方は続きを見れて、過去も見れて、お得感みたいなところもあったりするのかなという気持ちもあります。これから先もしあったとしても連続上映されていくんだろうなという気持ちがありますし、僕もそのつもりでやろうと思っています。言ったら実現するというのがあるので(笑)

決まったときに共演者には連絡はしましたか?

崎山 決まった時は連絡せずに、クランクインする前に植田くんに「よろしくね」というLINEをしました。そこで意思を疎通するじゃないですけど、“がんばっていこう”という気持ちもありながら連絡しました。

『クロガラス3』

前作のときに続編をやりたいとお話していたということですか?

崎山 オリジナル作品で原作がないからこそいろいろな物語ができるので、「こういう話しできたらいいね」という話をしていて、そのときに解決屋と解決屋の話もありました。今回はそこが描かれることになって、“言ってみるものだな”と思いました。なので次は結構大掛かりなことを言っておきました(笑)海外に行きたいと言っています(笑)

続編のアイデアはまだありそうですが、何話くらいいけそうですか?

崎山 いけるなら『釣りバカ日誌』くらい(笑)続けられるだけ続けられたらいいなと思います。

過去を描くというアイデアも以前からあったものですか?

崎山 前作のときに監督と、黒斗がどうしてこういう人間になったのかについて話していました。こんなに早く実現するとは思っていなかったんですけど。5、6くらいやってから『0』くると思ったんですけど。意外とこのタイミングかと思ったです。でも、『0』があって『0.5』があってもいいなと思いました。まだ『0』の中では解決屋を結成するというところまでは至ってないので、その場所が描かれたらおもしろいなという思いもあります。悠哉(植田圭輔)が解決屋に入った話もしてないですし、全ての過去を描けばいいというものでもないと思いますが、そういうのもあったらおもしろいと思います。

『クロガラス0』

『0』では黒斗の過去が描かれていますが、台本を見た時はいかがでしたか?

崎山 最初にいただいた脚本で演じることはできたんですけど、足りないと思ってしまって…。もう少しえぐみが欲しいと思って監督に相談して、もう一回書いてもらいました。方向性としては演じる上では気にならなかったんですけど、『1』『2』が公開されているからこそ、そこにつなげるためには弱いんじゃないかなと思ったシーンがあって、それを相談させてもらいました。もうちょっと細かく、本当に人間が絶望するという瞬間を作ってあげないと『1』『2』の黒斗にはなれないと思って、書いてもらいました。

解決屋になるきっかけのシーンですね。

崎山 そうです。その前から黒斗の幼少時代とかからもつながってはいるんですけど、きっかけとしてはあれが分岐点ににあると思うので大事にしたいと思いました。

お話を聞いているとキャラクターへの愛というか思い入れが深いと感じますが、黒斗の魅力はどこにあると思いますか?

崎山 自分が演じてきた全ての役に愛情はあるんですけど、黒斗に関しては前作の『1』『2』が映画初主演をさせていただいたということもあって、なんとなく初めてできた子供じゃないけど、そういう感覚なのかなという気持ちがあります。もちろん自分一人では作れないですし、スタッフさんがいて、共演者がいて始めて作品はできるんですけど。でも、黒斗という人間はもっと変われる人間ではあるし、深く掘れる人間ではあると思うので、そういうところを自分自身が知りたいなという気持ちがありますし、見ている方もこういうところあったんだとか、こういう過去があったんだとか、どんどん見せていけたらいいなという気持ちがあるので、それが愛情につながっている部分はあると思います。

オリジナルならではですね。

崎山 そうですね、黒斗がこれからどう変わっていくのかというのは僕は全然想像できていなくて、黒斗としてのゴールって何なんだろうと今作で思ったりしたんですけど、それはやっていくうちに見えてくるものなのかなって思っています。もちろんゴールが見えててそこに向かってやっていくというのも、やり方としてあると思うんですけど、黒斗はミステリアスすぎて想像ができないというのが正直なところですね。

ご自身と共通点はありますか?

崎山 今回は今までの黒斗とはちょっと違うというか、人間っぽい部分が描かれている描写がいくつかあって、それってすごく分かるなと思います。もちろん誰かに感謝している気持ちとか、思っていることを口に出したりはするけど、あまり頻繁にするタイプではないんです。黒斗も日頃感じてはいるけど感じてないんじゃないかと思われてしまうような人間なので、そこはすごく分かります。よく“何考えてるか分からない”って言われるんですけど、別に隠してるわけじゃないし、何か聞かれたら答えるんですけど、自分を出すことに対して肯定的じゃないというか、そこは黒斗と共感できます。

尊敬できる部分はありますか?

崎山 壮絶な過去を生きてきて、自分が助けられたいはずなのに逆に人を助ける仕事をするというのが人として強いなというか、尊敬できるなと思います。自分にも裏切られたと思うし、世の中にも裏切られたはずなのに、それを変えてでも世の中をよくしようとしてる。困っている人を解決するのに導こうとしているのが、矛盾もしていると思うんですけど、それが逆に強い人の生き方なのかなと思います。弱い部分を知っているからこそ、弱い人に寄り添うみたいな。そういうところは尊敬できるなと思います。

舞台ではテンション高めの役も見ますが、本作ではとてもクールでカッコいい役を演じています。キャラクターを作り上げる上でアイデアを出しているとおっしゃっていますが、ご自身はどういうタイプですか?

崎山 そうですね、どっちなんだろう。根本には楽しいことが好きというのがあって、昔からそうなんですけどひょうきんなことをして周りが笑ってくれるのが好きでした。でも大人になるにつれて、そういう気持ちは大切にしたいなという気持ちはあるんですけど、でも落ち着かなきゃいけない時は落ち着かなきゃいけないじゃないですか(笑)それが大人になるってことなんですけど(笑)でも、忘れたくない部分はあって…。だからその間ですね。その間でいたいなっていう気持ちがあります。明るい役もできて、クールな役もできてっていうのが一番理想なのかなと思います。

植田さんとは『クロガラス』の前にも共演していますが、植田さんの印象はいかがですか?

崎山 最初に会ったのが舞台で、その時はいろいろな舞台に立ってる人だという印象があったし、同い年だけど経験も僕より多い方だと思っていました。それは今も変わらずで、植ちゃんはいろいろな仕事をこなして、いろいろな役もやっているし、舞台もいっぱい立ってるし。植ちゃんは3人くらいいるんじゃないかなっていう気がします(笑)そういうイメージですね。本当にタフですけど、そういうところも見せないし、そこは昔から変わらないです。

撮影現場はどのような雰囲気でしたか?

崎山 植ちゃんがムードメイカーで盛り上げてくれたりもするし、スタッフさんが前作と一緒だったので、“チームクロガラス”みたいなものができていて、そこにあたらしくはいってくれた方もいっしょになってという感じで、雰囲気はよく撮影できていたと思います。あまり緊張感は感じなかったです。僕が勝手にそう思っていただけかもしれないですけど(笑)

現場は楽しいですか?

崎山 チーム感ができていますし、作品が作品だからこそ、ディープなところも撮ったりもしますけど、それが逆におもしろくていいなって思います。非日常を日常っぽく撮るのって難しいですけど、それをよりリアルに見せるために、スタッフさんが趣向を凝らしてくれたりもして、そういうところがいいなと思いました。もっと多くの人に届いたらいいなという気持ちがあります。

前作の時は話して作り上げたとおっしゃっていましたが今回はいかがでしたか?

崎山 監督が作った脚本に対してどれだけ自分が表現できるかみたいなところで、具体的な話し合いはないけど、表現としての話し合いは結構ありました。自分がやってみて監督が違うと思ったら「こういうふうにしてもらっていいですか?」とか、逆に「それおもしろいですね」みたいなものがあったりもしました。植ちゃんとは前も芝居についてはそんなに話し合ってはないんですけど、今作はより言葉じゃなくて行動で、心で通じ合ってるみたいな、そういうところが節々に感じられました。それは『1』『2』があったからこそなのかなと思います。次にもつなげられるような現場だったと思います。

自分が生きている世界とは違うという人は多いと思いますが、その反面で遠い話としてではなく、すんなりと世界に入ることができます。

崎山 人間って見えている部分は限られてると思っていて、そういうものがないと見えないところもあるし、本当は身近にあってもおかしくないし、そういった部分に少しでも感じてもらえたらなというのはあります。

ヘアメイク:車谷結(do:t)
スタイリスト:OBU-

カットソー¥19,800/ATTACHMENT(Sian PR 03-6662-5525)、パンツ¥36,300/トラディショナル ウェザーウェア(トラディショナル ウェザーウェア 青山店 03-6418-5712)、スニーカー¥39,600/YOAK(HEMT PR 03-6721-0882)、その他スタイリスト私物

【写真・文/編集部】

STORY
金と欲望渦巻く新宿歌舞伎町を舞台に、裏社会トラブルを解決する東京アンダーグランド系アクションエンターテインメントとして誕生した「クロガラス シリーズ」。前作からの続編『クロガラス3』と、始まりの物語『クロガラス0』が連続公開される。主人公・黑斗を崎山つばさが続投し、相棒の悠哉を植田圭輔が前作に続いて演じる。『クロガラス3』は、勢力を拡大する真柴理玖(渡部秀)率いる「ホワイトナイト」と「クロガラス」の解決屋 VS 解決屋の抗争が描かれ、『クロガラス0』では解決屋「クロガラス」ができる前に時を遡り、主人公・神崎黑斗の隠された過去が明らかになる。


TRAILER

DATA
映画『クロガラス3』は2021年9月3日(金)より、映画『クロガラス0』は9月17日(金)より2作連続で公開!
監督・脚本:小南敏也
『クロガラス3』
出演:崎山つばさ、植田圭輔、渡部秀、越智ゆらの/菅田俊
『クロガラス0』
出演:崎山つばさ、植田圭輔、徳山秀典、中﨑絵梨奈/菅田俊
配給:エイベックス・ピクチャーズ
© エイベックス・ピクチャーズ

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