『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』酒井祐輔監督 インタビュー

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INTERVIEW

『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』でメガホンをとった酒井祐輔監督にインタビューを行った。

“ももクロ”をテーマにしたドキュメンタリーですが、作品の方向性は撮影する前から決まっていましたか?

監督 ももクロが、“将来どこへ向かっていくのか”ということに興味があったので、ドキュメンタリーという形で自分なりの答えを見つけていこうという方向で作りました。

撮影はどのように進められましたか?

監督 2022年3月にテレビのドキュメンタリー「解放区」という番組で放送されることが決まっていたので、そこまでに撮れるチャンスとして、彼女たちのライブの予定はだいたいが分かっていましたから、映像として抑えるところを決めて、その中で何が撮れるかということでした。ドキュメンタリーではありますが、4人の座談会や個別のインタビューがベースになるというのは初めから想定していたので、そこを軸にしつつ、ほかに撮れたものから浮かび上がってくるものがあればいいなという思いがありました。

そのインタビューの内容はかなり深いものでした。

監督 本作の企画が30代を目前にした女性アイドルということで、「女性アイドルはずっとアイドルでい続けられるのか?」も一つのテーマなので、本人たちがどう感じているかを引き出していこうと考えていました。今はアイドルの定義がものすごく広くなっていて、一概に女性アイドルと言ってもかつてのカテゴリには収まらない存在にはなっていると思うんですけど、どうしても女性アイドルは活動時期が限定されていて、その先はアーティストになったり、女優になるなど形を変えていくのがこれまでの日本の芸能界でたどる道であったことは恐らく共通認識としてあると思います。ただ、ももクロの4人を見ていると、30代目前になってもこれまでのスタンスを変えずに自分たちのアイドル像を突き進んでいて、「この子たちはどこへ行くんだろう」、「もしかしたらこの子たちはずっとアイドルを貫くんじゃないか」と思わせてくれる存在だったので、それがおもしろいところだなと思います。

実際にインタビューして、その答えは監督が予想していた通りでしたか?

監督 彼女たちはずっと続けていきたいと思っているんですよね。そういった部分では、それはそうだろうと思っていました。ただ、その中で当然将来に対する不安だったり、そういうものもあるのかなと思って、いろいろ聞いてみたのですが、将来に対する不安も、僕が思っていた以上になくて。予想通りと言えば予想通りで、生涯女性アイドルということをやり遂げる子たちなのかもしれないということを確かめることができたと、改めて感じた取材でした。

実際にそういった言葉を本人の口から聞くことができると安心もできますね。

監督 映画祭での上映の後にファンの方から声をかけていただいて、その時に「聞きたいけどなかなか聞けないことを聞いてくださってありがとうございます」と言われたんです。やはりファンのみなさんもそういう気持ちがあったんだなと思いました。もちろんファンのみなさんもこの子たちを信じていると思います。僕もたくさん質問をする中で、きっと彼女たちは変なことは言わないだろうとは思っていたんですが(笑)それでも彼女たちが話したことは全部受け止めて、作品の中でどう消化していくか考えるつもりだったんですけど、ももクロはやはりみんなが期待しているももクロだった。彼女たちは正直に真摯にインタビューに答えてくれていたと思います。彼女たちもなかなか自分の思いをあそこまではっきりと口にする機会がないと思うので、そういう意味では貴重な機会を作れたと思います。

監督は以前からももクロのファンということですが、ドキュメンタリーを撮ることになった心境はいかがでしたか?

監督 ビックリしています。テレビのバラエティのプロデューサーなので、どこかで彼女たちが活きる企画があればオファーをして一緒に仕事をできればと思っていたのですが、なかなかそういう機会もなく。それがドキュメンタリーの企画を出す機会に、ももクロはどこに向かうのかという興味があるテーマを提案し、その企画が通って、気が付いたらももクロのドキュメンタリーを撮ることになっていました。こういったドキュメンタリーや映画作品を作ろうというのは今までは一切想定していなかったし、仕事の夢として持ったこともなかったので不思議ですよね。

好きだからこそ魅力的なお話を聞けたというのはあると感じました。

監督 「監督がファンだからこその目線」だとよく言っていただけることがあります。メンバーにもマネジメントにもスタッフにも言われました。ファンである監督だからこそできた作品というのは間違いなくそうだろうと自分でも思います。僕はテレビマンですけど、普通にお金を払ってライブ会場に行って、関係者席に座るわけでもなくライブを見て、ファンと一緒に電車に乗って帰って…ということをやっていました。それが気が付いたらドキュメンタリーを撮っていたのは、もちろんテレビマンだからこそ実現できたことですけど、本当に不思議だと思います。

ポスターの写真が印象的ですが、監督が選ばれたのですか?

監督 写真はスタッフみんなで選びました。でも僕も好きなカットなので、これになってよかったと思います。「ももいろクリスマス」というライブのオープニングで流れる映像の撮影現場にお邪魔して撮ったカットなんですけど、撮っている時からとてもいい画だなと思っていました。映画祭の時もこれがキービジュアルになるんじゃないかなと僕は思っていたんですけど、ならなくて(笑)この写真は4人の仲の良さも感じます。ピンクのビビッドな色合いも気に入っています。ももクロがずっと続いている中での2021年を切り取った作品ということを表現しています。

その映画祭のときには、佐々木彩夏さんが「ヌルッと始まってヌルッと終わった」とおっしゃっていました。

監督 ヌルッと始まったのは作品の中に映っている通りです(笑)ヌルッと終わったのは、確かに「今日で撮影は終わりです」とは言わなかったので、「最近、酒井さん来なくなったな」と思っていたらしいです(笑)実際に彼女たちを撮ったのがクリスマスのライブが最後です。毎年大みそかに「ももいろ歌合戦」をやっているんですけど、時間的にも間に合わなさそうだったのですでに編集作業に入っていました。そうして年が明けてから佐々木さんにお会いしたら「大みそか来なかったですね」と言われました(笑)

本作で特に見てもらいたいポイントはありますか?

監督 この子たちはきっとこのままいくだろうということは、ファンは感じているし、分かっていると思います。そのことを確かめる映画だと思います。ももクロのファンではないという方は、“本当にそんなに気持ちがきれいな子たちなの?”とか“そんなに仲いいの?”とか思う方もいるかもしれませんが、この作品をご覧になれば“この子たちだったら本当にずっとアイドルをやり遂げるかもしれない”という気持ちになれると思います。そういったことも含めて、これから先、彼女たちが歩んでいく可能性をぜひご自身の目で確かめて、感じていただきたいです。

【写真/蔭山勝也、文/編集部】

STORY
百田夏菜子・玉井詩織・佐々木彩夏・高城れにの4人によるガールズユニット「ももいろクローバーZ」。本作は、その「ももいろクローバーZ」に「TBS DOCS」が密着したドキュメンタリー映画。10代から活躍をしている彼女たちも、20代後半から30代目前になろうとしている。彼女たちがどこに向かうのか、何を考えているのか。これまでもアイドルの常識を覆し続け、日本の芸能界で前人未到の境地を切り拓こうとしているももクロの“いま”に迫り、メンバー4人だけの空間で普段あまり語ることのなかった人生観や将来などについて赤裸々に語る。また本広克行監督、ももクロのチーフマネージャー・川上アキラなど関係者たちへのインタビューも多数収録。等身大の4人の姿や本音が詰まっている。


TRAILER

DATA
『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』は2022年8月19日(金)より全国で公開!
監督:酒井祐輔
出演:百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れに
配給:SDP
©TBSテレビ

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