『少年のアビス』北野日奈子 インタビュー

INTERVIEW

『少年のアビス』で青江ナギ役を演じた北野日奈子にインタビューを行った。

今回の役が決まった時のお気持ちをお聞かせください。

北野 演技の経験がなくて、乃木坂46を軸に9年間やってきたので自分がやれるのか不安すぎて、スタッフさんに、「ここのシーンはどういうふうに」と打ち合わせをさせていただき、ありがたい環境でやらせていただきました。不安な面を解消して撮影に挑んだんですけど、一番遅く入ったので、ちょっとずつ雰囲気を感じながらやりました。現場も温かく、荒木くんも漫画愛が溢れていて、私も一生懸命頑張りたいと思いました。

役で気を付けたことは、ナギちゃんはクールで、イメージカラーが青ですが、私はイメージカラーが黄色というくらいで、よく「天真爛漫だね」と言われていたので全くカラーが違う役でした。しゃべるトーンも変えたりして、乃木坂のクールな先輩を思い出しながら演じました(笑)

原作の漫画は読みましたか?

北野 この話が決まってから読みました。何日かに分けて読もうと思っていたのですが、手が止まりませんでした。ニュースでもあるようなことを漫画で描くのは難しいと思いますが、『少年のアビス』という作品になることで10代の子も読めるだろうし、学校にちゃんと通えている子にもこういう現実があると伝わりやすいのかなと思いました。衝撃的で、『少年のアビス』でしかこういう感情は生まれないのかなというくらい引き込まれました。

ナギに対して共感できる部分はありましたか?

北野 一見真逆に見えるんですけど、天真爛漫と話をしましたが、私も人間的な部分はそこまで陽ではないと思っていて。私もアイドル時代に休業していたりしたことがナギちゃんと重なりました。私はありがたい環境だったので戻ってこられましたが、誰しもあるような影は私にもあるので、ナギちゃんとは違う影かもしれないけど、そこは共感しやすいところでした。

主演の荒木さんとの共演はいかがですか?

北野 プロフィールを見てだいぶ年下で、学年で言うと9つくらい違うので、9つって言ったらもう(笑)怖がられるのも嫌だし、打ち解けられるのかなという不安もあったんですけど、本読みで初めて荒木くんを見た時に「うわ、(漫画の)表紙の令児くんとすごく似てる」と感動して。私は本読みの経験がないので、どういう感じの雰囲気で始まるのかも分からなかったのですが、始まった時に荒木くんがしゃべるたびに、令児はこういうトーンでしゃべって、こういう言葉の出し方をするんだと、“令児”というものを荒木くんに教わったといっても過言ではないくらい、温度感とかペースに助けられました。

撮影現場はいかがでしたか?

北野 スタッフさんがすごく仲が良くて雰囲気がよかったです。私も9年間でいろいろな現場を経験させていただきましたが、時間が押したりすると焦ったりして、私も急がなきゃと気にしすぎてしまうこともありましたが、今回の現場はとても明るかったです。あと若くて、女性も多く、そこがすごく助かりました。みなさんノリもよくて、それが楽しくてよく笑っていて(笑)

役柄について、ご自身で作り上げていく部分はありましたか?

北野 髪色だけです(笑)乃木坂の後半では結構明るかったんですけど、ナギちゃんが髪色が暗いので久しぶりに暗い自分と対面しました。

演じる上で意識していたことはありますか?

北野 カメラが回っているときは青江ナギでいなければいけないので、スタートと言われると自分じゃなくて青江ナギになることを意識していました。でも、「OK!」と言われると、青江ナギの集中力から解かれるので、「あ、虫いる!」みたいになります(笑)それは現場の明るさのおかげです。これがもし重めの話だからと重い空気だと、たぶん私ももっとナギの心中に誘われてしまうくらいになってしまうと思うんですけど(笑)本当にスタッフさんが明るくて、カットがかかるたびに「よかったね、今の」とか「よし次!」となるので、本当に明るいのでそこに救われています。

ナギを演じる上で苦労した部分はありましたか?

北野 例えば、「今から心中しようか」という気持ちが乗っちゃいそうなセリフも、あえて淡々というのがナギちゃんだと思いました。心は空っぽにしながら、一言一言しゃべるときにあまり感情が乗らないように、でも伝わるように、探り探りで演じました。

今回、ドラマに出演するということで乃木坂46時代の先輩やメンバーなどに相談はしましたか?

北野 生駒(里奈)さんと仲良くさせていただいていて、役の話はしていないんですけど「ドラマと舞台の違いはどこにあるんですか?」と話をした時に、「ドラマはカメラがお客さんじゃなくて、カメラの向こう側にいる人を想像しながら、でもその場にはカメラしかないので、カメラの奥側を意識してやるといい」と言われて。意識してからはなってからは緊張せずにやれるようになりました。

乃木坂46を卒業後初の映像作品でアイドル役ですが、意識することはありましたか?

北野 私はアイドルに対して、すごく素敵な卒業ができました。アイドルをやり切って温かく送られてライブもできて、いいタイミングでいいように卒業させていただいたので、アイドルに対してのコンプレックスとかもなかったですし、未練もなかったので受け止められました。ちょっとでも未練があったら、“一切アイドルなんて触れたくない!”となるかもしれないですけど、私は「アイドル役だよ」と言われて、「え?」というのはなかったです。「アクリル」というアイドルグループですが、乃木坂とは全然違う曲調で、衣装もフリフリで、こういうキラキラしたアイドルは初めてだなという感じでした(笑)

令児にとって「アクリル」というアイドルが支えになっている部分がありましたが、北野さんにとって普段の活動に支えになっているものはありますか?

北野 やっぱり家族とファンの方です。家族にはいち早く仕事の相談をしますし、今回は経験したことがない大人なシーンもあるので、「こういうシーンがあるけど、どう思う?」という相談もしたり、家族にはなんでも相談に乗ってもらって心のケアをしてもらっています。あとは、ファンの方は自分の原動力なので、ファンの方から「いいね」とか言ってもらえることがすごくうれしいですし、ファンの方に喜んでほしいというのが活動の軸にあります。乃木坂時代の9年間の絆もありますし、卒業して1年目のこれからも、ファンの方に喜んでもらえるようなお仕事とか報告をしていければというのが私の元気の源になっています。

【写真・文/編集部】

STORY
黒瀬令児は何もない田舎町で、引きこもりの兄、認知症の祖母、その2人の相手に疲れ切った母親と家族4人で暮らしていた。祖母の介護と仕事で忙しい母・夕子に早く楽をさせるため、高校卒業後は大学に進学せずに就職を考えていた令児は、この町から出ることを心の底では願いつつも、半ばあきらめていた。「家族」、「将来の夢」、「幼馴染」…そのどれもが、令児をこの町に縛り付けていた。これからも、何もない町、変わるはずのない日々の中で何も変わらず平凡に生きていく、そんな毎日に嫌気がさした高校2年生のある日、令児は運命を変える「彼女」と出会う。それは、田舎町に居るはずのない、憧れのアイドル・青江ナギだった。自分をこの町から解放してくれると直感した、ナギが差し出した救いの手は、“心中”だった―。何もかも投げ出したい、そんな感情を抱いたときに、頼れる先は…。絶望の先に「光」を見つけることができるのか。


TRAILER

DATA
ドラマ特区『少年のアビス』はMBSにて9月1日(木)24時59分から、テレビ神奈川では同日23時より放送、Huluにて見放題独占配信!
©峰浪りょう・集英社/「少年のアビス」製作委員会・ MBS

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