『かりあげクン』樋口日奈 インタビュー

INTERVIEW

ドラマ『かりあげクン』でドラマオリジナルキャラクターの新人派遣社員・清水彩花役を演じる樋口日奈にインタビューを行った。

最初にお話を聞いた時はどのようなお気持ちでしたか?

樋口 あの「かりあげクン」を実写化したらどうなるんだろうと、みなさんと同じ気持ちでした。私は世代ではないですけどパッと絵が思い浮かぶくらい無意識に浸透していると感じているので、改めてすごいなと感じました。

ワクワクするような高揚感があって、主演が戸塚純貴さんということで絶対におもしろいだろうなと思いました。4コマ漫画のドラマ化はなかなか想像がつかないですが、脚本を読むと4コマ漫画の魅力も残しつつ、ドラマならではの新しい「かりあげクン」が見られるのではないかなと思いました。原作の良さも残りつつ、新鮮さもあると思います。

樋口さんが演じるのはオリジナルキャラクターですが、「5分前行動を心掛ける、明るく思いやりがある」などが樋口さんのイメージにピッタリな感じがしますがいかがですか?

樋口 私も初めて役どころを聞いたとき、「5分前行動」は自分でも心掛けていることだったので、私をイメージして書いてくれたのかと思うくらい共通する部分がありました。でも“明るく思いやりがある”はどうでしょう(笑)

私が演じる清水彩花は普通の感覚の女の子かもしれません。表では当たり障りのないように振舞っていますが、モノローグとして心の中で思っていることのセリフが多いので、そこは見ていて差があるかもしれないです。意外とサバサバしていたり、ツッコミ口調だったり、表ではニコニコ当たり障りのないことを言っていますが、心では思っていることがある、どっちも本当の自分ですけど、それが演じていておもしろいと思いました。見てくださった方にも「心の中ではこう思っているんだ」という部分が伝わればいいなと思いました。

周囲のキャラクターがインパクトが強い中で共感する部分もありそうですね。

樋口 ほんにゃら産業のみなさんは個性が強いので、その中にいたら、見てくださっているみなさん寄りのキャラクターかもしれません。また共感という点で「かりあげクン」はいろいろな時代の描写を感じる作品だと思っています。今回のドラマでも係長と課長の昭和な雰囲気があり、対して彩花は令和の代表であるのかなと思いました。

『かりあげクン』場面写真

キャラクターを作り上げる部分ではご自身で考える部分はありましたか?

樋口 あまり考えなかったです。等身大でいきたいと思いましたし、等身大のほうが良いんだろうなと。かりあげクンもキャラが強いですし、みなさんもおもしろくて、それぞれの役割があると感じました。私はあまり作りこみすぎず自然体で普通の女の子としていて、現場のみなさんから出るエネルギーやセリフの言い方を新鮮な気持ちで受け止めて反応したいと思いました。なので、もちろん台本はいっぱい読みましたが、あまり自分の中で決めつけずに現場に行きました。よりリアルに感じてもらえるよう、私もリアルな反応ができるようにと心掛けました。

作品自体はコメディよりになりそうですか?

樋口 気楽にも、いろいろ考えながらも見られる作品です。全部がコメディというよりは、おもしろさもありつつ、漫画もその時代の背景や風刺的な要素があるので、それが令和版になったという感じです。令和に表現できるところまでを攻めている感じで、おもしろいけどメッセージ性があるなと思います。

演じているときに、ご自身がおもしろいと感じることはありましたか?

樋口 もちろんあります。出演者のみなさんもおもしろいですし、かりあげクンのいたずらも、“どうしてこんなこと思いつくんだろう”というおもしろさもありました。おこがましいですけど、みなさん笑わせる力がすごいなと思いました。私はそれが一番難しいことだと思うので、戸塚さん含めみなさんのエネルギーがすごすぎて。見ている方も思わず笑っちゃうと思いますし、私も現場で笑いをこらえるのに必死でした。何回か樋口日奈として笑ってしまって「もう一回」ということもありました。それがどこだったのかも見て欲しいです。

本作は乃木坂46を卒業される前に撮影されたということですね。撮影に臨むにあたってのお気持ちはいかがでしたか?

樋口 10月31日の卒業セレモニーに向けてがんばらなきゃという気持ちもありつつ、卒業してから一発目に「かりあげクン」のお知らせをみなさんにできる嬉しさがあったので、最後の1か月間はワクワクしながらドラマ撮影の現場も楽しんでいました。乃木坂の仕事も全てが最後になっていくタイミングだったのでそれも噛みしめつつ。大変だったというより、すごくありがたかったです。終わりに向けてというだけではなく、始まりに向けても動き始められることが、この気持ちの勢いのままいかせていただけることが幸せでした。

ご自身の中で満足ができる卒業ができたという思いからそういう思いになったんですかね。

樋口 楽しいと思ったからということが大きかったです。乃木坂を11年間やってきて辛いこともありましたけど、卒業を決める前あたりから自分に自信がつくようになったし乃木坂を純粋に素直に楽しいと思えている自分がいたからこそ“今だな”と決めました。辛い時に辞めていたらあんなにがんばっていたのに乃木坂が辛い記憶で終わっちゃうなと思ったので、がんばったな、楽しかったなと心から思えるようになるまではいたいなと考えていました。それが自分の中で消化されたからこそ卒業を決められた、ということも大きかったです。

あとは、これから先も自分を表現したり、何かを表現したりするお仕事を続けていきたいなというエネルギーがあったからこそ、ここで区切りをつけてまた一からがんばりたいなと思いました。

ファンの方からするとすぐに次の出演が発表されて嬉しい気持ちがあると思います。

樋口 本当にありがたいタイミングでした。しかも放送が新年明けてすぐで、個人的な再スタートとも重なって、本当に幸せです。あとはやっぱりファンのみなさんに「卒業してからどうするの?」と聞かれても言えないことがもどかしかったです。またすぐ会えるよ、がんばるよって最後バイバイしたので。またテレビを通してですけど、見てもらえることはすごく嬉しいです。

本作ではいたずらに振り回される役ですが、樋口さんがいたずらしたくなることはありますか?

樋口 しょっちゅうです(笑)背中をトントンと叩いてやってないふりをしたり、肩をトントンと叩いてからほっぺをぷにってしたり。小学生のようないたずらを今になって結構やっています。私の中ではコミュニケーションの一部だと思っていて、人と距離を詰めるってなかなか難しいので人と距離を詰めたいときにやることが多いです。小さいいたずらを(笑)

改めて今後目標にしたいことはありますか?

樋口 お仕事をもちろん充実させたいです。今はお芝居をやりたいなという気持ちが一番にありますが、自分の中でこのジャンルでがんばりたいということを決めつけず、お声がけいただいたお仕事は色々なものをやってみたいです。ラジオだったり、バラエティだったり、モデルさんだったり、お話を頂けたらなんでも挑戦する一年にしたいと思っています。その中から新しい発見もあると思いますし、いろいろな人に知ってもらえるきっかけにもなると思うので、自分の中で決めつけず流れに身を任せる一年にしたいです。「かりあげクン」のドラマも気を楽にしてゆるく見られる部分があるので私も肩に力を入れすぎず、一年間身を任せて過ごしてみたら自分がどういうふうになっているのか、ということも楽しみにしていきたいです。

【写真・文/編集部】

STORY
本作は、「コボちゃん」「フリテン君」などの大人気4コマ漫画で知られ、今年で画業51年を迎えた植田まさしの代表作「かりあげクン」(双葉社「月刊まんがタウン」「週刊大衆」連載)が原作。昭和、平成、令和と移り行く時代に合わせ老若男女問わず読者を楽しませ続けてきた「かりあげクン」が連載42年の時を経て、初の実写ドラマ化。1話に複数のショート作品を組み合わせた本作ならではのテンポの良い痛快ドタバタコメディドラマとなる。主人公・かりあげクンこと“かりあげ正太”役を戸塚純貴、レギュラーキャストに樋口日奈、岩井ジョニ男(イワイガワ)、野口かおる、大水洋介(ラバーガール)、温水洋一が出演する。

DATA
土曜ドラマ『かりあげクン』は2023年1月7日(土)よりBS松竹東急にて毎週23時放送(全12話)
出演:戸塚純貴、樋口日奈、岩井ジョニ男(イワイガワ)、野口かおる、大水洋介(ラバーガール)、温水洋一
©BS松竹東急/AOI Pro.

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