連続ドラマW-30『ドロップ』細田佳央太 インタビュー

INTERVIEW

連続ドラマW-30『ドロップ』で信濃川ヒロシ役を演じた細田佳央太にインタビューを行った。

出演が決まった時の気持ちをお聞かせください。

細田 うれしかったと同時に初のヤンキーという、今まで自分がやってこなかったタイプの役柄だったので、自分にできるのかという不安がありました。

やってこなかったタイプの役ということで、演じる上で意識したことはありますか?

細田 初めての役でしたけど、『町田くんの世界』での町田くんが自分に近いかと言われたらそうではないし、『ドラゴン桜』の健太役も彼にしかもっていないものがあるから、今回もそんなに変わらないと思います。今(取材当時)は大河ドラマもやっていて、時代も言葉も違うから距離はありますが、やることは変わっていないので、ヤンキー役だからと意識して何かをやったというのはないです。

台本を読んだ印象はいかがでしたか?

細田 信濃川ヒロシくんがヤンキーの世界に憧れてヤンキーの世界に入っていく男の子だったので、最初からヤンキーではないというところに安心しました。僕も徐々に周りに触発されて、そうなっていければいいかなと考えました。セリフのテンポ感が大事になると感じたのでそこは神経をすり減らして考えないといけないと思いました。

原作や映画はご覧になりましたか?

細田 お話をいただいたときに映画を観ましたが、その後の衣装合わせで監督から「原作とか映画は観なくていい」と言っていただきました。ドラマ『ドロップ』として作りたいと監督自身も思われていたと思うので、それからは観ていないです。多分今の時代のヤンキーと当時のヤンキーでは若干のズレがあると思うんです。そういう意味では今やるからこそのヤンキーを演じたいというのはありました。

監督がモデルとなったキャラクターを演じるうえで、役作りはどのように行いましたか?

細田 特に意識はしていなかったです。寄せていったわけではなくて、監督が毎日現場にいらっしゃってくださったので、自然と寄っていったのかもしれません。

モデルの監督がすぐ近くにいることでプレッシャーはありましたか?それともいたおかげで助かりましたか?

細田 どちらかというと“助かる”でした。寄せようとは思っていなかったのでプレッシャーには感じなかったです。

テンポ感が大事ということですが、どのように作り上げていきましたか?

細田 読み合わせをしたうえで監督から「もっと早くいこう」と指示をくださったり、監督が一人二役で読んでくださったりしました。ツッコミの仕方は技術的なところですけど、「なんでだよ」というところも“な”の前に、小さい“ん”を入れるといいと。あと、ヒロシの声の出し方は、監督の声のトーンを覚えてやりました。

監督は細田さんの姿勢について「真面目」と評価されていらっしゃいますね。

細田 昨日もご一緒して、インタビューで「真面目でストイックで」と言っていただいたんですけど、もったいないお言葉だなという思いです。

初めてのアクションシーンはいかがでしたか?

細田 撮影前にアクション練習が何回かあったので、そこで基礎を教えていただきました。板垣(瑞生)くんは僕よりアクションに慣れている方だったので助けてもらいました。河原のアクションはそこまで難しくなく、建物とか小道具があったわけではないからあまり変に考えずに演じました。トンネルと工場のシーンは高低差があるし、くぐったりまたいだりもしなければいけないので、そういう喧嘩とは別の動きが入るシーンは時間もかかりますし、大変でした。

板垣さんから受けた刺激はありますか?

細田 ゼロヒャクに持っていくのが得意な方という印象です。ふざけていても本番になったら一気にギアを上げることができる方なので、熱量的なところで引っ張ってもらいました。

板垣さんとはカメラが回っていない時はお話をされましたか?

細田 河原の喧嘩の帰りのバスの中で板垣くんと席が列を挟んで隣だったので、彼から話しかけてくれました。人の愛情を大事にされている方で、繊細さもあって自分にはない感性の持ち主でした。どうしても“役者はこうあるべき”とか、今の若い役者は特に最低限仕事を続けるためにはこうあるべきなんじゃないかと思っていた、ある種の凝り固まった考え方が板垣くんの柔らかさでほぐれたところはありました。

細田さんの赤い髪の毛が印象的です。

細田 生まれて初めての赤髪です。似合っていると現場で言っていただけて安心しました。シャンプーに気を遣いました。赤は落ちやすいので、メイクさんにも落ちにくいシャンプーを教わり、多分一番髪の毛に気を遣っていた時期です。

品川監督の現場はいかがでしたか?

細田 撮影終わりに監督に毎回「お疲れさまでした」と言うと、「お疲れ、ありがとうね」と言って下さるんです。普通は「お疲れさまでした」なので気になって伺ったら「役者さんにお芝居をしてもらっているから、そこに対して敬意と感謝を込めなきゃいけないから」と答えてくださいました。スタッフさんにも「ありがとう」とおっしゃっているし、すごいなと思うのと、だからこそ次の日の撮影もがんばらなきゃなと奮い立たせることはありました。

喧嘩シーンは全体的に迫力がありますが、演じるときの気持ちの持っていき方はどのようにしましたか?

細田 自然とです。ヒロシは喧嘩しているようでちょいちょい口を挟むので、自然とその影響でボルテージが上がっていきました。ケガをしない・させないというところは意識しつつも、熱量を上げるというところに関しては、身体を動かすこともそうだし、それ以上に口を動かすことで熱量を上げていきました。現場に入った時に事前に準備していたことよりもこっちのほうがいいかなと感覚で動くことが多く、“自分の気持ちいい”を探すような、テンポとか所作は感覚で動くタイプなので、あまり大変だとは意識していなかったです。

テレビシリーズならではの『ドロップ』の魅力はありますか?

細田 映画で2時間をやるのか、ドラマで25分×10話の250分をやるのかというところで、倍の密度で同じ名前の作品が作れるとなると余裕が生まれてくると思います。映画には出てこなかったキャラクターが出てきたり、余裕があるからこそ、ヒロシと達也だけではない、ヒロシと○○という関係値を色濃く描くことができたりしたと思います。ケータイで1時間は大変ですが、25分はあっという間に終わるので「次も見ちゃおう」と結果的に映画1本分を見ることができるから、尺的なところでもドラマならではの楽しさや見やすさがあると思いました。

掛け合いを見ていておもしろかったです。これまではあまりコメディ的な演技の印象がありませんが、今回演じてみて今後コメディ要素のある作品に出てみたいという思いは強まりましたか?

細田 すごいあります。テンポとか間とか技術的なところが必要になってくるので難しいんです。ただこれまでに僕が見てきた作品の中ではコメディがたぶん一番多いです。映画『セトウツミ』とか好きですし、『今日から俺は!!』もそうですし、ヒーローとかエンタメだけど笑えるところが多い。そういうのを見てきたからこそコメディをやりたいというのはあります。『セトウツミ』はただしゃべってるだけで、おもしろくするのはすごく難しい。どれだけリアルに力を抜いてやるかというのと、菅田(将暉)さんも池松(壮亮)さんも関西弁も違和感なく聞こえます。でも繊細さがあって、ちょっとのバランスでおもしろいかが変わってきちゃうのも難しいところです。

アクションについては今後もやりたいですか?

細田 大河でも槍とか剣とか武器を使うアクションをやって、苦手意識はありつつも、本番では「すごく上手です」と褒めていただくことが多かったので、リップサービスかもしれないけど、やはり褒められるとうれしいですし、やり続けられたらいいなと思っています。

去年は常にドラマに出演し続けていましたが、今後目指していきたいところはありますか?

細田 バランスよくやれたらいいなと思います。映画は映画、舞台は舞台、ドラマはドラマの良さがあるし、どのジャンルでも成長できることしかないので。ただ僕は映画で見出してもらったので、映画が好きというのはありますが、いろいろなことをやっていきたいです。難しさを感じつつも認めてもらえるのは自信につながります。

WOWOWのドラマは作りが映画に近いような印象を受けましたが、演じていていかがでしたか?

細田 それは感じます。監督もおっしゃっていましたが、場面写真を見ると映画っぽい質感を感じます。僕はそういうのが好きで、公開が先だからこその時間のゆとりがあるから、映画っぽい撮り方でドラマが撮れるのはすごくおもしろいと思います。

俳優としてのやりやすさはありましたか?

細田 やりやすいです。10話分の台本が事前にあるのはありがたいです。9話・10話になると台本が決定稿ではないものを渡されたりする場合もあるので、そういったバタバタ感に比べるとゆっくりできるほうが助かります。

「島ぜんぶでおーきな祭 第15回沖縄国際映画祭」でレッドカーペットを歩かれましたね。

細田 炎天下なのにすごい人の数でビックリしましたし、監督の人気がすごくて改めて素晴らしい方とご一緒させていただけたんだなと思いました。また、その方とレッドカーペットを歩かせていただいているのがうれしかったです。

沖縄は初めてということですが、ほかに行ってみたいところはありますか?

細田 いっぱいあります。死ぬまでに47都道府県を制覇したいという目標もありますし、海外も行ったことがないので行ってみたいです。理想は映画祭で行けることですけど、アメリカや韓国、ヨーロッパなどのエンタメが盛んな場所に行きたいです。アメリカはそれ以外に、バスケがずっと好きなのでバスケを生で観たいというのもあります。

ヘアメイク:菅野綾香/Ayaka Kanno
スタイリスト:岡本健太郎/Kentaro Okamoto

【写真・文/編集部】

STORY
品川ヒロシが、⾃らの⻘春時代をベースに綴った⼩説「ドロップ」。2009年には⾃ら監督・脚本を務めて映画化し興⾏収⼊20億円の大ヒットを記録した、この伝説のヤンキー作品を品川ヒロシ⾃身の監督・脚本のもとWOWOWで連続ドラマ化。ヤンキーアクション作品がWOWOWでドラマ化されるのは初。品川ヒロシ監督・脚本作はWOWOW連続ドラマでは本作で4作目となる。名⾨私⽴中に通っていたが、不良漫画に強く憧れ、本物の不良になるべく公⽴の狛江北中に転校した主⼈公であり、品川本⼈の⾃伝的キャラクターでもある信濃川ヒロシ役を演じるのは細田佳央太。

凶暴な性格で、⼀度キレたら⼿がつけられなくなる狛江北中の圧倒的No.1・井口達也役には板垣瑞⽣。また、ルパン役に森永悠希、森木役に林カラス、ワン公役に大友⼀⽣、その他にも田鍋梨々花、中村⾥帆、佐津川愛美、SWAY(DOBERMAN INFINITY/劇団EXILE)、佐田正樹(バッドボーイズ)、⾦城碧海(JO1)、波岡⼀喜、三浦誠己、深水元基という個性溢れるキャストが集結。さらに、⾼橋侃、兵頭功海、松本享恭、⻑⽥拓郎などフレッシュな若⼿俳優が強敵ヤンキー役として出演する。


TRAILER

DATA
連続ドラマW-30『ドロップ』はWOWOWにて6月2日(金)23時放送・配信開始(全10話)
第1話無料放送【WOWOWプライム/WOWOW 4K】、【WOWOWオンデマンド】無料トライアル実施中
出演:細田佳央太、板垣瑞生
森永悠希、林カラス、大友一生、田鍋梨々花、中村里帆
佐津川愛美、SWAY(DOBERMAN INFINITY/劇団EXILE)/佐田正樹(バッドボーイズ)
金城碧海(JO1)/波岡一喜
三浦誠己、深水元基 ほか

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