『ただ、あなたを理解したい』新谷ゆづみ インタビュー 演じる上では「芯の部分を忘れないように」

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INTERVIEW

映画『ただ、あなたを理解したい』に、祐也(鈴木昂秀)の恋人で、彼の夢を応援し支えている葵役として出演する新谷ゆづみにインタビューを行った。夢を叶えるため上京するも、葛藤を抱える主人公・祐也が、恋人の葵と共に帰郷するところから物語は始まる。

ラジオ番組「新谷ゆづみのひとりゴト。」でも共演者との掛け合いから仲の良さを感じました。同世代のキャストが集まった撮影現場はいかがでしたか?

新谷 和気あいあいと撮影していました。地方で泊まりでの撮影ということもあって、撮影が終わってから戻るまでも一緒だし、朝行くときも時間が合えば一緒だし、一緒にご飯を食べたり、時間を共有することがとても多い現場でした。自然とみんなで一丸となって、合宿しながら撮影しているような雰囲気で撮影ができました。私は高校生活がコロナと被っていて修学旅行もなかったので、撮影の何週間かでみんなで青春できた気がしました。

撮影期間中にはオフもありましたか?

新谷 あったんですけどオフの日も一人で過ごすのもなと思って。みんなは撮影していたりしたので、オフの日も現場に見学に行っていました。

自分が出演していないシーンをずっと現場で過ごすこともあまりないかと思いますがいかがでしたか?

新谷 そうですね、しかも始まりから終わりまでずっと見学できるのも貴重でいい経験でした。

本作について、オファーを受けた時にはどのような印象でしたか?

新谷 青春群像劇ということだけ聞いていて、今までにあまりやったことがないジャンルだと思いました。制服は着てきましたが、何人かで青春物語を演じるということはあまりなかったので、すごく楽しみでした。

役作りはご自身で行いましたか?

新谷 自分でも考えていたんですけど、撮影に入る前にみんなでお芝居を合わせたりするときに監督と話しました。葵は東京出身で、東京で祐也と出会って祐也の地元に足を運ぶから、地元のみんなのことは全く知らないんです。でも、祐也のことをもっと理解したいと思って一緒に地元に行くという役です。役については、他のみんなは地元の仲間という感じでしたが、私は一人でいろいろ考えることが多かったです。みんなは学校時代はこうだったんじゃないかなと話していたけど、私は祐也のことしか知らないので、祐也との日々を想像しつつ、葵の人生を考えていました。

みんなで居酒屋にいるシーンも印象的でした。

新谷 地元のみんなは昔の祐也のことは知っていると思うけど、今の祐也を近くで理解しているのは自分だと信じていて、だけど昔の絆にはどこか勝てない気もして悔しい場面でもありました。理解したいけど今の祐也しか分からないという複雑な気持ちでした。昔のみんなの絆がうらやましいと思ったりもしました。

役に共感するところや共通点はありましたか?

新谷 葵のお父さんは転職が多いという設定で、ずっと仲がいい地元の友達がいないという背景があって、祐也たちがうらやましいという思いがありました。私も高校の時に東京に出てきたので、地元の友達はいるけれど高校時代を地元の友達と過ごしていないというのが今になるとちょっと寂しい時もあります。みんなは会ったりしているけれど、私は特定の子としか会ってないなと思ったりして、ずっと地元にいるからこその絆というのは私も祐也よりは薄いのかなと思って、。そこは葵に感情移入できました。

監督は俳優としても活躍されていらっしゃいますが、演出で感じたことはありますか?

新谷 ここが違うというよりは、話し方のニュアンスが監督自身も役者だからこその表現方法が多いなと思いました。一歩深く気持ちに寄り添った話し方をされていらっしゃるなと思いました。気持ちの問題かもしれないけれど、自分が演じられるからこそのアドバイスはあった気がします。私からも監督からも、毎日当たり前のコミュニケーションになっていました。

主演の鈴木昂秀さんとのシーンが多いかと思いますが、クランクイン前に準備されたことはありましたか?

新谷 普段は音楽の活動をされていることもあって、最初に役のビジュアルを見た時に「すごい!」と(笑)役者の方とはまた違うオーラというか、(THE RAMPAGEの)宣材写真を見て“キラキラしている!”と思いました。祐也はこんな感じなんだと。実際に会ってみると背が高くて、いかつい感じかなと思ったけど(笑)ちゃんと祐也で。しゃべっているっととても祐也っぽくて、元気で優しくて、みんなのことを盛り上げてくれて。最初は緊張していたんですけど、鈴木さんのおかげでみんなが一つになれたと思います。フレンドリーでいろいろな人にどんどん話しかけてギュッと仲良くなれました。

いくつかの印象的な場所が出てきますが、思い出に残っているロケ地はありますか?

新谷 廃墟みたいになっている秘密基地は、たぶん葵はああいった場所でたまったことがないんじゃないかなという気がして。初めて足を踏み入れた時に、祐也にも過去があってこういう場所で過ごしてきたんだなと祐也のことを知ることができたし、ちょっと寂しくなったりもしたしという複雑な場面で記憶に残っています。あとは春樹(野村康太)と2人でカフェで話すシーンがありますが、春樹はあまり言葉を話さないのに、あそこで2人になって話したいって葵が思える春樹の存在が素敵だなと思いながら撮影していました。祐也にも素敵な友達がいるんだなと思ったシーンです。

本作でこだわった点や大切にした点はありますか?

新谷 葵は初めての人に会うけれど、葵が持つ芯の部分を忘れないようにしたいと思いました。みんなの空気感に流されそうになるけど、私は祐也のことを理解したいためにここに来たんだという意志だけは忘れないようにしていました。葵も頑固なところがあって(笑)普通に仲良くなろうと思ったらなれるかも入れないけど、私は私で東京で祐也のことをちゃんと支えつつ、まだ一緒にいたいという気持ちがあるからこそ理解したいという芯の部分を強く持っていました。

タイトルにちなんで、“いま理解したい”と思うような興味をもっていることはありますか?

新谷 海のアクティビティをやってみたいです。お正月に実家に帰った時に和歌山の海を久しぶりに見て、“海いいな”と思って。寒いから入ってはいませんが、夏になったら海のアクティビティをやってみたいなという興味はあります。でも何の知識もないから、そこは理解したいなと思いました。実家に帰って、やっぱり自然好きだなと気づきました。山登ったりもいいけど、温かくなったら海がいいですね。ちょっと楽しみにしています。

本作は青春群像劇でありがなら、とても心に刺さる部分がある作品だと思います。新谷さんご自身が観る好きな作品のジャンルはありますか?

新谷 感動できたり、涙ぐんだり、自分の過去を思い出して反省したり、いろいろな想いが入り混じるような作品が好きです。人間の感情にフォーカスした作品が好きです。コメディとかも好きですけど、たぶん根本的に好きなのはしっとりした、湿度高めな作品が好きかもしれないです。

以前取材をさせていただいた時がちょうど高校を卒業するタイミングで、卒業したら「平日にランチしたい」とおっしゃっていましたが実現しましたか?

新谷 叶いました!(笑)卒業したての時は、平日の暇なときに何をしたらいいか分からなくて、ちょっと寂しかったんですけど、最近はルーティーンができて、朝散歩をしてランチしてとできるようになっているので、ちょっと大人になれたかな(笑)

今、挑戦してみたいことはありますか?

新谷 セリフをどんどん言えるようになりたいです。言葉が多いセリフも簡単に言えるように自信をつけていく必要があると思うので、どんなセリフの量でもちゃんと胸を張って自信を持って言えるようになりたいです。まだ緊張して余裕がない部分があるので、勉強しつつ頑張っていきます。

ヘアメイク:西尾さゆり
スタイリング:世良 啓

【写真・文/編集部】

STORY
秘密基地…誰もが一度は憧れる自分の居場所。祐也と春樹と由衣香は幼馴染。子供の頃に見つけた秘密基地で時間を過ごすようになっていた。祐也は高校を卒業後上京し役者を目指す。東京で葵と出会い、付き合ってはいるが、祐也は葵が肯定してくれる自分を好きになれずにいた。そんな時に祐也は帰省することに…。それぞれが現実にぶつかり、モヤモヤを心に抱えながら、時が過ぎている。いつしか秘密基地は現実逃避をする場所になっていた。祐也が帰省することで再び、再び時が動き出す。 人を理解しなくても生きていけるこの世の中だから、ただ、あなたを理解したい。不器用ながらも必死に生きている祐也やその仲間達、葵が出す答えとは…。


TRAILER

DATA
『ただ、あなたを理解したい』は2024年2月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開
監督:碓井将大
出演:鈴木昂秀(THE RAMPAGE)、野村康太、新谷ゆづみ
 森高愛、比嘉秀海、伊藤千由李、山本愛香
 吉田晴登、城夢叶
 高橋ひとみ
配給:ギグリーボックス
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