『バジーノイズ』栁俊太郎 インタビュー

INTERVIEW

ドラマ「silent」のスタッフチームが贈る青春音楽映画の新たなる傑作『バジーノイズ』で大浜陸役を演じた栁俊太郎にインタビューを行った。

友達も恋人も何もいらない。頭の中に流れる音を、形にできればそれでいい。そう思っていた清澄は、DTMでひとり作曲と演奏に没頭する日々を送っていた。清澄と同じマンションに住む潮は、好きなこともやりたいこともなく、他人の「いいね」だけを追いかけて生きてきた。そんな潮が初めて心を震わせたのが、下の部屋から聴こえてきた「寂しくって、あったかい」清澄の音楽。たくさんの人に清澄の音楽を届けたいと願った潮の破天荒な行動が、清澄を無理やり外の世界へと連れ出す。潮に導かれバンドを組んだ清澄が、仲間と音を創り出す喜びに目覚めた時、突然、潮が消えてしまう。さらに清澄の才能を高く買うプロデューサーが現れ、清澄は自分自身の音楽の“形”をどうするか迫られる…。栁が演じる陸は、一度は決裂した清澄(川西拓実)と再びバンドを組み音楽の楽しさを取り戻すベーシスト。

作品の印象を伺えますか?

 自分が学生時代やティーンの頃に音楽モノの映画や漫画が結構好きで影響を受けて育ってきたので、役者を始めてから憧れだった音楽モノの映画に出るのは一つの夢でした。そういう中でオファーをいただき脚本を読ませていただいて、めちゃくちゃうれしかったんですけど、当時自分が観ていた音楽モノとは違って。言葉にするのが難しいんですけど、よりプラトニックな感じというか、無機質な空気感がある作品だなというのがまず感想でした。

最近は心情を繊細に描く作品が多い印象があります。

 現代社会が抱えているものが、より人の悩みとかも細分化されて、もっと細かいことにまで気にしなきゃいけない時代だと思います。そこに響いてくる音楽とか、そこで作られる音楽はもちろんいろんな感情があってできるんだけど、一つ一つの要素が細かすぎて、無機質に見えるというか。でも実は感情的に作られているものもあったりしてというのは昔と違うところかなと思います。

ご自身が演じた陸というキャラクターについてはどのような印象でしたか?

 今までにいただいた役の中でも応援したくなる役で、かっこいいなと思いました。音楽に対する熱いものを持っていて、でも、不器用で人に自分の意見を伝えるのが下手で。自分がやりたいことに対して必死にもがいているという人間は心より応援したくなるし、そういう役に出会えて幸せだと思いました。

音楽モノは憧れだったということですが、今回演じることでの喜びはありましたか?

 もちろん楽器の練習は大変でしたけど、でも現場を思い出した時にそんなにつらかった印象がなくて。いい青春時代を過ごしたなくらいに思い出に残っています。今現場でのことを考えると、写真で切り取られた思い出みたいで卒業アルバムを見ている感じです。それくらい自分の気持ちとしてはストレスがなかったんだなと思います。それは自分にとって幸せなことだし、楽しかったんだろうなと。あとは試写会で出来上がりを観た時に、マジでこの作品に参加してよかったなと思いました。最後の演奏シーンでもやもやしていたものが全部吹き飛んだ気持ちよさがあったし、試写会場を出た外の空気がめちゃくちゃ幸せに感じて、マネージャーと一緒に会場を出た時に「めっちゃ空綺麗だね」みたいなことを言っちゃたんですよ。それ言わせる映画ってなかなか出会うのが難しいなと思うので、幸せでした。

本作ではベーシスト役を演じていらっしゃいますが、これまでに楽器の経験はありましたか?

 楽器を買ったことはあるんですけど、ほとんど触らないで終わっちゃって。過去にベーシストの役をやったことがあるんですけど、10日間くらいやったくらいなので本当に初心者として始めました。

本作のために練習をされたんですね。

 演奏があるということでクランクインまでに先生についてもらって練習して、ひたすら毎日やっていました。

大変でしたか?

 大変でした(笑)

どのような楽器を買ったことがあったんですか?

 ベースとギターと電子ドラムを買いました。一人暮らししている家で、そこがたまたま防音の部屋で、当時友達で音楽をやってる人が多かったので、ベースとギターと電子ドラムがあればみんなで音楽作れるんじゃないかと、バンドマンでもない自分が率先して買ったんです(笑)狭い部屋なのに楽器を置いて、ドラム叩きたい人は叩いて。おれは楽器ができないからそこでひたすら見ていたんですけど、それが楽しかった。役者も始めたてだったので、私生活のどこを切り抜いてもかっこいい映画になるような感覚で楽器を買ってという生活を送っていました。

その当時のことが今に結びついたこともあるかもしれないですね。

 そうですね、その時にベーシストもいたし。その姿を見て参考にはできたのかなと思います。

撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

 よかったと思います。出演者もふわっとしていた方が多いので。主演の川西(拓実)くんもすごく天然でふわっとしているし、(桜田)ひよりちゃんはすごくストイックな方なんですけど普段から明るいし、井之脇海くんも本当に優しい感じの人なので全然ギスギスしたりはないです。もちろんセンシティブなシーンは緊張感はありましたけど。

練習が大変だったということですがどれくらい練習されたんですか?

 先生の所に通ったのは1か月半くらいです。クランクインするまでに1か月くらい、インしてから半月くらいです。

演奏シーンがとてもかっこよかったです。

 そこは説得力が出る部分なので。あれだけ音楽に熱い気持ちを持って熱い芝居をしていてもベースがグダグダだと映画をぶっ壊すと思って。

監督からの演出で印象に残っていることはありますか?

 この作品は言葉に出来ないことを音に乗せて伝えたり、音で繋がったりという作品で、言語化して伝えられないものを現場で作っているので。「これってどういう感情ですか?」と聞かれたら監督も困ると思うんですけど、そこは監督もすごく準備して僕らに分かりやすいように、「例えばこうなったらこういう感じになるでしょ」と細かく演出してくださいました。ここまで細かいことを言語化して伝えてくれる人はなかなかいないので感謝しています。

栁さんが演じた陸は清澄の音楽に影響を受けてベースを奏でることになりますが、栁さんご自身がこれまでに衝撃を受けて影響されたことはありますか?

 小さいころから結構見た目から入るタイプでぱっと見で惚れることは多いです。だから衝撃を受けてのめり込むが多くて。幼少期の頃は『キャプテン翼』を観てサッカーを始めて、それもひとつの衝撃でした。学生時代に部活中に左足を骨折して、松葉づえでの生活の時に映画とか音楽を観たり聞いたりするようになって、そこで出会って衝撃を受けた作品がすごくいっぱいあります。THE BLUE HEARTSをその時に聞いていて衝撃を受けました。あとは家に下宿していた5個上のいとこがそういう音楽とか映画が好きでDVDとかいっぱい持っていて、DVDやCDも借りたりしました。そのお兄ちゃんが銀杏BOYZが好きで、その時に出会って衝撃でしたね。

【写真・文/編集部】


TRAILER

DATA
『バジーノイズ』は公開中
監督:風間太樹
出演:川西拓実(JO1)、桜田ひより、井之脇海、栁俊太郎
 円井わん、奥野瑛太、天野はな、駒井蓮、櫻井海音、馬場園梓/佐津川愛美、テイ龍進
配給:ギャガ
©むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

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