『青春18×2 君へと続く道』清原果耶 インタビュー

INTERVIEW

“初恋の記憶”をめぐり、18年前と現在の想いが切なく交錯する日本と台湾を舞台にしたラブストーリー『青春18×2 君へと続く道』でシュー・グァンハンとともにダブル主演を務める清原果耶にインタビューを行った。

本作で清原が演じたアミは、18年前 バックパッカーとして日本を発ち台湾を訪れる。財布を失くし、ジミー(シュー・グァンハン)がバイトするカラオケ店に住み込みで働くことになる。絵を描きながら世界中を旅するという夢を持つ。

撮影前に準備されたことはありますか?

清原 脚本をしっかり読んでから、藤井組はキャラクターシートみたいなものをいただけるので、それを読んで、くらいしかできることがなくて。どういう音楽が好きとか、なんでこの旅をしているとかを丁寧に説明したプロフィールみたいなもので、よりアミという役を理解しやすくするための材料になりました。日本パートから撮影が始まったので、不安でしたけど、脚本を読んで大事なシーンだと理解して、できるかぎりをつくしました。台湾パートは台湾に行けば何とかなると思っていたので、あまり作ってはいないです。

そのキャラクターのプロフィールシートを読んで自分で膨らませることはありましたか?

清原 プロフィールシートを読んで膨らませることはあまりないです。こういうものが好きなんだとか、こういうことなんだと理解を深めることだけで十分かなと思っていて。事前に準備をして考えていても、現場に入るとそうでなかったこともありました。今回、私の中では台湾パートがメインだったので、アミと同じように旅に行って、実際に私自身も、台湾の台南など、まだ行ったことがない場所もあったので、そこで感じたことを素直に表現すればいいかなと思っていました。

ご自身が演じたアミはどんな人物だと思いましたか?

清原 親目線になると、頑張り屋さんだなという一言につきるんですけど(笑)本当に素直で、出会いに敏感で、とても憧れる生き方をしている女の子だなと思っています。強さだけではなく儚さも持ち合わせているからこそ、彼女がより魅力的に映って、脚本をちゃんと余すことなく読まなくちゃ、彼女をもっと知りたい、と思いながら現場にいました。

日本での撮影から台湾に行っての撮影で、気分的に変わるものもありましたか?

清原 やっぱり土地の力がすごくあって。私は台湾にはお仕事で過去に1度だけ行ったことがあったんですけど、懐かしいなという気持ちにもなったし、アミと一緒に台湾を知るような、役と並行して台湾の深みだったり、良さとか、人の温かさを知れたのは今回すごくよかったなと思う点でした。

食事や文化はいかがでしたか?

清原 私にはすごく肌に合いました。台湾も台北と台中と台南があって、どこも違うと台湾の人が言っていたんですけど、私は特に台南の食事が好きで、食事に助けられてスケジュールも頑張れていたところがありました(笑)

特におススメのメニューはありますか?

清原 蛋餅(ダンピン)です。主に台湾では朝ごはんで食べられているものなんですけど、クレープみたいな薄い生地ベースで、中にパラパラの豚肉があったり、チーズが入っていたり、いろんな種類の味付けがあって、私はそれを台湾滞在中に10回以上は食べました。撮影がない日もデリバリーして食べるくらいハマっていました。(笑)

食事に助けられたということですが、撮影は大変でしたか?

清原 いつも楽しかったんですけど、スケジュール的には夜までの長い撮影の日もありました。でもそういう日も夜食が出たので、夜食を楽しみに撮影をみんなでがんばるみたいな感じでやっていました。私はランタンのシーンも夜だったので、明け方まで撮っていて。“お腹が空いた”と言っていたら、台湾のスタッフさんがタピオカ買ってきてくれたりして、本当に助けていただきました。

アミのように一人旅するとしたらどこに行きたいですか?

清原 台湾だったら台南が好きなので台南に行きたいです。ほかの国だったら、何の理由もないんですけどオーストラリアに行きたいです。過ごしやすいと聞いたので(笑)

藤井監督と話したことで印象に残っていることはありますか?

清原 役についての話はどのシーンもしていました。私も監督も毎日役のことについて考えている、その延長線上の話をたくさんしていた記憶があります。あとはもちろん「台湾いいね」、「楽しいね」という他愛もない会話も定期的にしていました(笑)

アミは絵を描きますが、清原さんも油絵が趣味とお聞きしました。

清原 私はこれまでの藤井監督の作品でも、何かを描いている役が多くて。今回3作目なんですけど、1作目は水彩画を描いて、2作目は習字、墨の画とかを描いていて、藤井さんは私によく何かを描かせるんだと今回発見がありました(笑)趣味でやっていると言ってしまっている分、ちゃんとしなきゃという緊張はちょっとだけあったんですけど、現場にも美術の絵画指導の先生が来てくださっていたので、アミちゃんの絵はその先生と「こういう風に想像して描きました」というお話を聞いて、「なるほど、では、そういう気持ちで」というやり取りをしていました。

清原さんが絵を描くことが趣味と知って藤井監督がそういった役割を与えているかもしれませんね。ほかにもご自身の性格などが反映されたと感じる部分はありますか?

清原 どう思ってくださっているのかは藤井さんにしか分からないので何とも言えないです…。あるんですかね、お伺いしてみたいです(笑)でも、見てくださっていると思います。分からないのでもう1回映画を観てみます(笑)

壁の絵も含めて、絵は本作の見どころですね。

清原 撮影で画を描くシーンも1回でOKはないので、何回もスタッフさんが塗り直してもう1回描くということを繰り返しているので、そのシーンはスタッフさんも大変だったろうなと思います。本当に素敵な絵を「カラオケ神戸」の壁に描いてくださったので、ぜひ全貌を静止画でも見ていただきたいくらいこだわりが詰まっているシーンです。

細部へのこだわりにも注目ですが、映画には映っていないけどこだわっている部分はありましたか?

清原 私が知りえない範囲でもたくさんあると思います。例えば、ジミーの部屋の雰囲気が私はすごく好きで。いわゆる10代の少年が、雑多に都合のいい場所にいろいろと置いてあるという感じがとてもリアルで素敵だなぁって。「カラオケ神戸」にも、「カラオケ神戸」とデザインされている灰皿とかコップがあったりして。私それをお土産でいただいたんですけど(笑)美術もすごく丁寧なので、いろんなところに注目してもらえる作品だと思います。

台湾のスタッフとのお仕事はいかがでしたか?

清原 いい意味で何も変わらなかったです。みんな映画のために、朝起きて夜まで撮影して、じゃあ明日もがんばろうねって帰っていって。すごく安心していました。この作品のためにみんなが集まっているということと、そこで生きればいいというだけというのが、すごく楽しかったです。私が個人的に好きだったのが、撮影の香盤が出ると、そこに監督とカメラマンとチーフ助監督、プロデューサーがみんな「この香盤でOKです」とサインをするんです。藤井さんも中国語でコメントとか書いていて、幸せな現場だなと思っていました。

完成した作品の感想をうかがえますか?

清原 台湾パートは、すごく台湾に行きたくなるようなロケーションとか撮り方だったなと思って撮影をしていたんですけど、実際につながった作品を見ると、日本も日本でとても美しく、映像もきれいだし、主題歌がジミーや作品に寄り添ってくださっている歌詞だったので、簡単な言葉になりますけど、なんて美しい優しい作品ができたんだろうなと思いました。エンドロールに歌詞が載ってるのも、すごく素敵だなと。ああやってきちんと結末をつけてくれるというか。答えは人それぞれだけど、終着点は用意してくれている感じが優しいなと思いました。

台湾での撮影という挑戦もありましたが、今後の新しい目標は生まれましたか?

清原 楽しそうな船に乗っからせていただいただけと自分では思っているのですが、すごくいい経験をさせていただきました。これからもまた…とは言え出会いなので、いい出会いがあればいろんな挑戦をしたいなと改めて思わせてくれるような作品でした。

【写真・文/編集部】


TRAILER

DATA
『青春18×2 君へと続く道』は全国で公開中
監督・脚本:藤井道人
出演:シュー・グァンハン、清原果耶
 ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2024「青春18×2」Film Partners

PAGETOP
© CINEMA Life!