『か「」く「」し「」ご「」と「』早瀬憩 インタビュー

INTERVIEW

映画『か「」く「」し「」ご「」と「』で内気で控えめな性格である日突然学校に来なくなる宮里望愛(通称エル)役を演じる早瀬憩にインタビューを行った。

本作は、“少しだけ人の気持ちが見えてしまう”男女5人の、純度100%の尊い日々を描く青春ラブストーリー。住野よるの原作は累計発行部数80万部を突破し、2017年の原作発売から若者を中心に根強い人気を誇る。W主演を務めるのは奥平大兼と出口夏希。奥平は引っ込み思案で自分に自信の持てない主人公・京を、出口は底抜けに明るい性格でヒロインよりもヒーローになりたいと願う・三木直子(通称ミッキー)を演じる。さらに、体育会系でいつも明るく笑顔な人気者・高崎博文(通称ヅカ)役に佐野晶哉(Aぇ! group)、予測不能な言動でいつもマイペースな黒田文(通称パラ)役に菊池日菜子、内気で控えめな性格である日突然学校に来なくなる宮里望愛(通称エル)役に早瀬憩と、勢いのある若手キャストが集結した。メガホンをとったのは中川駿監督。

素敵な衣装ですね。

早瀬 今日はかき氷コーデです!さっき自分で命名しました。

青春を感じるとてもすてきな作品でした。初めにお話を聞いた時はどのような印象でしたか?

早瀬 私は元々、住野よる先生のファンで、今回の原作も読んでいました。小説の時点ですごく素敵なお話で、学生ならではの感情や葛藤を捉えていて「分かる!」と共感してしまいました。住野先生の作品には、モヤモヤしている気持ちを言語化してくれるような力があります。この中で演じるなら私はエルだなと思いながら読んでいたので、「エル役で」と声をかけていただいた時はめちゃくちゃ嬉しかったです。

早瀬さんは現役の高校生なので、登場人物たちと同じ年代ですね。

早瀬 4月で高校3年生になりましたのでちょうど一緒です。

今回は実際に使われている学校を使用して撮影されたということですが、撮影現場はいかがでしたか?

早瀬 今回使わせていただいた学校は普段から通われてる生徒さんもいらっしゃるのでとても生き生きしていました。文化祭のシーンを撮る時も、在校生の方、その保護者の方が撮影に参加してくれたり、学校の校長先生や教頭先生が親身にしてくれて、アイスをくれたり、とても居心地の良い学校でした。撮影中は教室で、みんなで一緒にいたので、本当の学生生活を送っているぐらいの楽しさがありました。撮影したのが夏休み期間だったので、夏休みを別の学校で楽しんでるような感覚でした。

撮影は楽しかったですか?

早瀬 楽しかったです。みんなすごく仲が良くて、優しくしてくれて、思い出がたくさんあります。

ご自身で演じるとしたらエルだと思ったということですが、共通点があったということですか?

早瀬 そうですね。パラとかミッキーに対しては憧れがすごく強くて、かっこいいなと。その中で私はエルに一番感情移入できました。臆病な感じとか、ちょっと心配性な感じがすごく似ていて、私はエルに一番近いなと思いながら読んでいました。

心配性なんですか?

早瀬 結構優柔不断だったり、色々先のことを考えちゃう感じはあるかもしれないです。

役作りはどのように行いましたか?

早瀬 私のように原作を読んでいる原作ファンの方もいるでしょうし、私みたいに「エルが好き」と思っている方もいると思うので、そういう方たちの考えやイメージを崩さないようにというのを意識しながら、エルはこんな感じかなと作っていきました。

好きな小説が映画化されるにあたってはどのようなお気持ちでしたか?

早瀬 小説は5人が同じような分量ですが、映画はミッキーと京くんが主演なので、そのバランス感は違うと思いました。でも内容としてはもちろん同じ世界なので、脚本をいただいて、「原作のここがここに来てる」とか、「あれはここで来るんだ」とか、そういう部分を見つけては興奮していました。

好きな小説が映画化されて、自分が演じるというのは嬉しいですよね。

早瀬 めちゃくちゃ嬉しかったです。好きだからこそ、私がエルを演じていいのかという不安もあったんですけれど、でもそれ以上に声をかけていただいて、任せていただいたんだから私なりに頑張ろうという気持ちが強かったです。他のキャストの方のお名前を初めに聞いて、台本を読みながら顔が浮かび上がってきて、「みんなぴったりだ、これは私もより一層頑張らねば」と思いました。

中川監督は早瀬さんについて「作品と演じるエル役への理解度が高く、信じて任せることができました」とコメントされていました。任せられていた感じはありましたか?

早瀬 嬉しいですね。任せていただいているという感じがありました。エルが京くんに、だめだよ諦めちゃ、というシーンがあるんですけど、エルにとっては初めて自分の秘めていた気持ちを人に伝える一歩踏み出す行為なので、私もこのシーンは大事にしなきゃなと思っていて。撮る時に監督から「最初はこんな風にやってみて」と言っていただいたんですけれど、撮影する前に監督が「やっぱりさっきのは忘れて、自分のやりたいように思うようにやって」と言ってくださって。それで自分なりにやったら、カットがかかった後に監督が「任せてよかった」と言ってくださって、「よかった、嬉しい!」と思いました。任せていただいて、それでいい芝居ができたのであればよかったなと思っています。

本作で挑戦的だったこと、難しかったことはありますか?

早瀬 自分と近いキャラクターではあったので特に難しいとか、苦戦することはなかったんですけれど、エルは5人の中で一番関わる人によって距離感が変わるんです。ミッキーは、最初少し自分とは違う次元の人みたいな考え方をしているので、エルとしてはちょっと近づけない感じですけど、京くんに対しては元から共通する何かがあるなと感じていますし、それぞれと話す時の距離感は気をつけました。あとエルは背中で語ることが多そうだなと思ったので、自信のなさというか、自分にこもっている感じを小さな背中で見せられたらいいなと思って。小さな立ち振る舞いは自分なりに考えながら演じていました。

セリフがないシーンでの表情がとてもすてきでした。

早瀬 嬉しいです!ありがとうございます。4人が導いてくれたのはすごく大きいと思います。私は年下だったし、クランクインが1日だけ遅かったので仲良くなれるかな、大丈夫かなと思っていたんですけど、4人が本当に優しくしてくれて。そのおかげで私もエルとして現場に入れたという感覚があります。

みなさんで話す機会もありましたか?

早瀬 控室が1つの教室にみんなで一緒だったので、たくさん雑談をしていました。本当の学生みたいで同い年みたいな距離感でみんなと話すことができました。流行っていたドラマの話をしたり、新潟ロケだったので美味しいものを共有し合ったり。オフの時は何してたの?とか。そういう会話をたくさんしていました。

早瀬さんはオフの時間は何をしていたんですか?

早瀬 私は色々したんですけど、お寿司を食べに行ったり、お蕎麦を食べに行ったり、あとはちょうど花火大会をやっていたので見に行きました。すごく楽しく過ごしていました。共演者の方とご飯に行ったりもしました。

一緒にご飯は楽しそうですね。

早瀬 ひな(菊池日菜子)は、すごく寄り添ってくれて。ちょっと姉御肌な部分があって、甘やかしてくれたというか、私はずっとひなにくっついていました。一緒にいると安心しますし。一緒にご飯に行ったときはいろんなことを話しました。

菊池さん演じるパラと学校の廊下で話すシーンは好きなシーンです。とても自然な感じがすてきでした。話し合ったこともありましたか?

早瀬 話し合いは特にしてはいなくて。新潟での撮影で帰るぐらいの時に撮ったので、それまでの期間で仲良くなった時間があったので、信頼して身を委ねて、本当の雑談みたいな感じでできたと思います。良い意味で肩の力を抜いてできました。

エルの動きがとてもかわいらしかったです。

早瀬 ジタバタしたのは自分で考えてやりました(笑)台本には“拗ねる”と書いてあっただけでエルらしさみたいなのを出せたらいいなと思って。物語の後半でもあるので、最初の頃とは違う。心を開いているエルを見せられたらいいなと思って。監督からも好評で嬉しかったです。

ご自身の中では特に気に入っているシーンはありますか?

早瀬 京くんとのシーンは全部ですね。自転車のシーンもそうですし、やっぱり似ているもの同士というのもあって、安心感は大きかったです。冗談を言い合えたりもしたので。

登場人物がどこかしら不器用な部分があったり、共感が持てる部分があります。早瀬さん自身はいかがですか?

早瀬 私はめちゃくちゃ不器用です。本当にエルとかみんなみたいに気にしすぎて遠回りしちゃう。多分みんなそんなに人のことを見ていないのに、細かいことを気にしたり、これを言ったら怒らせちゃうかなとか、そういうところは自分もあるので、この映画を見て共感する部分がすごくあるなと思いました。

昨年の『違国日記』『あのコはだぁれ?』などで賞を受賞するなどとても素晴らしい演技を披露されています。今後やりたいことや、目指しているところはありますか?

早瀬 目指しているところはやっぱりお芝居が大好きなので、息の長い俳優になりたいです。長く続けられたらいいなというのはあります。まずはいただいた役を全て大切に演じていきたいです。今度やりたいことは、自分と違う役は演じていて楽しいなと思うので、破天荒な人とか、今までに演じたことのない役をやりたいです。あとは不器用な人、喜怒哀楽が表に出てしまうような役もやってみたいです。怒り狂ったり、泣き叫んだり、奇妙な行動をしたり。自分のままに感情を全て表に出して生きている人に憧れがあります。お芝居でしかできないのかなとも思いますし、そういう役に巡り合えたら嬉しいです。

早瀬さんが感情を全て表に出す役は見てみたいです。

早瀬 やってみたいので待っていてください!

【写真・文/編集部】


TRAILER

DATA
『か「」く「」し「」ご「」と「』は2025年5月30日(金)より全国で公開
監督・脚本:中川駿
出演:奥平大兼、出口夏希
 佐野晶哉(Aぇ! group)、菊池日菜子、早瀬憩
配給:松竹
©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会
©2017住野よる/新潮社

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