『第10回UNHCR難民映画祭』

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所が主催する『第10回UNHCR難民映画祭』が2日(金)、東京のスパイラルホールで開幕し、上映作品に出演し、UNHCR親善大使を務めるゲール・ドゥエイニーがトークイベントに登壇した。

今年で10回目となるUNHCR難民映画祭は、世界の難民の保護と支援を行う国連の機関であるUNHCRが主催するイベントで、世界中から集められたドラマやドキュメンタリー映画を通じて、難民や国内避難民、無国籍等に関する啓発を行うもの。初日には『グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~』が上映され、上映後のトークイベントにキャストのゲール・ドゥエイニーが登壇した。

同作は実話がベースとなっており、1983年にスーダンで始まった内戦によって孤児となった南部スーダン出身の3人の難民の子どもたちが、ケニアのカクマ・キャンプで過ごした13年後、第三国定住のプログラムでアメリカへ渡る。空港に降り立った彼らを待っていたのは職業紹介所に勤めるキャリーだった。新しい土地での生活に戸惑いつつも、幼少期の辛い思い出を乗り越えようとする3人を理解しようとするキャリー。そこに生まれた絆とは―。

登壇したゲール自身も、1983年のスーダン内戦で難民となり、少年兵を経験した。第三国定住でアメリカへ渡り、現在はニューヨークに住んでいる。同作についてゲールは「構想に10年、キャスティングに2年かかった。出演者もすべてスーダン出身者を探して世界中でオーディションをした」と現実に忠実な作品であることを語った。また、「現場で襲撃されそうになった」こともあったという。

ゲールは6月よりUNHCRの親善大使に就任しており、謙遜しつつも「なれたことは誇り」とコメントした。親善大使としての抱負は「自分が若いときに十分な教育を受けることができなかった。だからこそ教育の重要さを肌身に感じているので、(自らの担当地域である)アフリカのみならず世界の子どもたちに教育が徹底できるように広めていきたい」と語った。

現在の難民問題については「今の世界の難民情勢は大変なもの。理解しなければいけないけど解決は難しい」とコメントし、日本の支援については「ケニアのカクマ・キャンプにはJAPANと呼ばれている場所があり、8000人ほどが日本の支援で学んでいる。既に日本はいろいろしているが足りることはない」と話し、感謝の気持ちを述べるとともに、まだ支援が必要である現状を伝えた。

『第10回UNHCR難民映画祭』

『第10回UNHCR難民映画祭』

『第10回UNHCR難民映画祭』

『第10回UNHCR難民映画祭』
【東京】
10月2日(金)・3日(土)/スパイラルホール
10月10日(土)・12日(月・祝)/イタリア文化会館
【札幌】
10月24日(土)/札幌市時計台ホール
10月25日(日)/札幌プラザ2・5
【仙台】
10月31日(土)・11月1日(日)/せんだいメディアテーク
※スケジュールは特集ページに掲載