「火花」チャド・マレーン
芥川賞受賞作の又吉直樹原作オリジナルドラマ「火花」で、全10話の翻訳を担当したチャド・マレーンが翻訳での苦労を語った。

日本純文学の最高峰である第153回芥川賞を受賞した、芸人ピース・又吉直樹の処女小説「火花」。単行本が累計250万部を超え、空前の大ヒットを記録した超話題作が全10話の実写ドラマ化され、世界最大級のオンライン動画配信サイト「Netflix」でオリジナル作品として、日本を含む世界190か国で同時配信される。日本独特の話芸・漫才の世界に入った青年たちの10年を映しながら、生きることの意味や愛しさを謳いあげる人生讃歌は日本的なモチーフと、普遍的なテーマが両立する。

今回、本作の翻訳を担当したオーストラリア出身の芸人、チャド・マレーンが語った本作への思いが届いた。

芥川賞を受賞した原作のドラマを翻訳するということで「まず襲って来たのが重圧と、その名誉を与えられただけある、中身」だという。さらに「基本的に字幕は、文字数の制限もあって、頑張ったところで原文の1/3の情報量しか伝えられない」という点も苦労したと言い、「翻訳する際はセリフの本質を突いた言葉選びをしていきますが、又吉が一語一句を大事に、それもまた意味をたっぷり込めているので、噛み砕けば噛み砕くほど味が出て来る」という。さらに巧妙な仕掛けにより「微妙な心の風景を表す言葉が、実は漫才の前フリとなって、後々ウケなあかんということで、『火花』のはずが、僕のハートとヘッドが大やけどしっぱなしだったようなものなのかもな!」とギャグを入れつつコメント。

本作が全世界で同時配信されるということについて「僕が高校生のときに初めて来日して、感銘を受けた“Manzai”は、世界に通じるはず」とコメント。さらに「ただ、『火花』は“Manzai”のことで悩ましい人生を送っている人たちのめちゃくちゃイイ物語なので、『面白さ』よりも、その『ロマン』が先立つと思います。『ジャパニーズ・コメディー』というよりも、ミッキー・ロークの『レスラー』と同様、一度でも夢を見たことのある人なら号泣間違いなしの作品だと思います」と語っている。

最後に本作の見どころについて「原作はめちゃくちゃ売れてますけど、自分の周りで実際に読んだという人が少ない、そんな心当たりのあるあなたに!オモロいから、見てや。おまけに日本のドラマと思えないクオリティーでやってます。劇中の曲まで最高です!それでも観る気が沸いて来ないなら、字幕をONにすれば、英語の勉強にもなるで~!」と語っている。

オリジナルドラマ「火花」はNetflixにて2016年6月3日(金)より世界190か国で一挙配信!

総監督:廣木隆一
監督:白石和彌、沖田修一、久万真路、毛利安孝
出演:林遣都、波岡一喜、門脇麦

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