秋堀雅秋監督、田中麗奈、三浦友和、新井浩文、若葉竜也

秋堀雅秋監督、田中麗奈、三浦友和、新井浩文、若葉竜也

壮絶な、ある家族の物語『葛城事件』が公開初日を迎えた18日(土)に新宿バルト9で舞台挨拶が行われ、主演の三浦友和らキャストと赤堀雅秋監督が登壇した。

抑圧的に家族を支配する父親がきっかけで、普通に見えていた家族が崩壊していく様子を衝撃的に描く本作。普通の家族が無差別殺傷事件を起こす死刑囚を生み出してしまった理由とは―。メガホンを取るのは、『その夜の侍』(2012)で監督デビューを果たし、本作が2作目の監督作品となる赤堀雅秋。2013年に自身が作・演出で上演された同名舞台を映画化した。理想の家族を求めながらも崩壊に導く父・葛城清を三浦友和、言動を抑圧され過ごす妻・伸子を南果歩、対人関係に悩み、会社からリストラされた長男・保を新井浩文、耐え性がなく、無差別殺傷事件を起こし死刑囚となる次男・稔を若葉竜也、そして死刑反対の立場から次男と獄中結婚する星野を田中麗奈が演じる。

今回行われた初日舞台挨拶には、三浦友和、新井浩文、若葉竜也、田中麗奈、赤堀雅秋監督が登壇し、撮影を振り返ってのエピソードなどが語られた。

上映後の舞台挨拶に登壇した赤堀監督は「思いのほか暖かい雰囲気で・・・。もうちょっとどんよりしてるかと思ったのでほっとしています」と笑顔で挨拶。三浦は劇中での自身の役に絡めて「葛城清が大変失礼いたしました」と挨拶し、笑いを誘った。

三浦でなければいけないというほどの熱烈なラブコールを赤堀監督から受けた三浦は「弱さや孤独さが魅力」と話す。舞台版では赤堀監督自身が演じた清の役だが、三浦は「(赤堀監督と)ぶつかるかと思いましたが、そういうことはなく無事に終わった」と笑顔で振り返った。赤堀監督は「いいなあ、って素人みたいに言っていた。なんとも言えないニュアンスが通じ合っている気がした。こうしてくれ、ああしてくれというのは現場ではなかった」と三浦の演技を絶賛。また、本作が監督2作品目となる赤堀監督だが、新井は「俳優としてはうち(新井)のほうが上」と言った上で「監督としては本の才能もあるし、カット割りもうまい」と称賛する場面もあった。

舞台版では次男・稔を演じた新井だが、映画版で長男・保を演じることについては「オーディションでいい人がいなかったらうち(新井)がやると言っていた。どっちでもそんなに問題はなかったかな」と話し、舞台と映画は「全く別物ですね」と語った。その稔を演じた若葉は「毎カットが濃密な時間だった。撮影中のことはあんまり覚えていない」と話し、新井が「初日がっちがちだったよ。ガリガリ君ぐらい」と突っ込みを入れた。また、以前にも共演した経験のある三浦は「10代のころは清く正しい子だったんだよね。今回会った時の雰囲気が稔だったので、変わるもんだなと」と振り返った。

翌日19日が父の日ということで、父・清に焦点を当てた質問として、演じてどう思ったか聞かれた三浦は「芸能人として大事な好感度はなくしましたね。これからは優しいお医者さんとか、物わかりの良い警察官とか選んでやっていきたいな」と語り、会場は笑いに包まれた。また、清のような父親がいたらどう思うかを聞かれた新井は「いやでしょ」と即答。また、若葉も「いやですね」と同意。田中は「息が苦しいでしょうね」と全員に拒否された形となった清だが、三浦は「うちも娘さんがいたら違ったかもしれない」と冗談めかして話した。

最後に三浦は「先週『64-ロクヨン―』の舞台挨拶をしました。映画として同じ土俵に上がるわけですが、僕は『64-ロクヨン-』も好きですし、この映画に対しての愛情も大きくあります。ミニシアター系と呼ばれ言われるこのような映画を、みなさんの力で発展させていただきたい。お力をお貸しいただければと思います」とメッセージを贈った。

三浦友和

三浦友和

新井浩文

新井浩文

田中麗奈

田中麗奈

若葉竜也

若葉竜也

『葛城事件』ポスタービジュアル

映画『葛城事件』は2016年6月18日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!

監督・脚本:赤堀雅秋
出演:三浦友和、南果歩、新井浩文、若葉竜也、田中麗奈
配給:ファントム・フィルム

(C)2016「葛城事件」製作委員会