黒沢清監督、安藤紘平

黒沢清監督、安藤紘平

第29回東京国際映画祭Japan Now部門上映作品『ダゲレオタイプの女』のQ&Aが10月27日(木)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、黒沢清監督が登壇した。

今年で29回目を迎える東京国際映画祭の「日本の“今”を知ってもらい、その中に厳然と存在する日本の美意識、日本人の文化とその魅力を感じてもらう」ことをテーマにしたJapan Now部門。現在日本で公開中の『ダゲレオタイプの女』は、世界中で高い評価を得ている黒沢清監督が初めて海外で全編フランス語で撮影した作品。写真家ステファンの助手ジャンはダゲレオタイプの撮影を通してモデルを務めるステファンの娘マリーに心を奪われるが、その撮影は愛だけでなく苦痛を伴うものだった。写真家の狂気にも似た愛を受け止めてしまう娘。娘に心を奪われ、囚われの世界から救い出そうとする男。自ら命を絶った女の幻影を感じるパリ郊外の古い屋敷で、彼らの運命は少しずつ狂ってゆく―。

公開中の作品が映画祭で上映されることについて「こんなことがあると思わなかったので驚いています。光栄です」と挨拶した黒沢監督。Japan Now部門のプログラミング・アドバイザーの安藤紘平は「黒沢さんと言えば独特のホラーという感覚があったけど、本作は“新しい黒沢さんの世界”が広がった気がしています」と選定理由を明かした。本作で初めて海外での映画製作に挑んでいる黒沢監督は「日本的なものを表現しようという気はなかった」とコメント。本作については「男女の愛の物語が、ホラーより浮き上がってくるような構成」という点を意識したと明かした。ただし、幽霊についてはこだわりがあるようで、最初から幽霊である“典型的な西洋の幽霊”と、物語の途中で死んで幽霊になる“会談のような幽霊”の「2種類にしようというのは最初からありました」と語った。

また、黒沢監督は『惑星ソラリス』の「映画も好きで、原作も何度も読んでいて大好きな物語」と語り「非現実的なものが、実体化し、独立して、戸惑いながら頑張って生きていく」と同作の解釈を明かし、本作については「幽霊になったからといって、怖がる対象ではない」と思いを明かした。さらに「死んだらどんな感情を持ち、死んでこの世に留まっていたら、戸惑いながら生きるのかと意識しながらキャラクターを考えた」と語った。

今回全編フランスで撮影を行ったが、ロケーションの違いについては「日本を描きたいと思ったことはなく、日本で撮っている限り、ロケをすれば現代の日本が映ってくる」とコメント。本作はパリ近郊で撮影をしているが「パリは何度も行っているが、映っているそれが何かよくわからない」と戸惑いを感じたことを明かした。また、そのことが「パリからも東京からも切り離された感情を描いてしまった気がする」と考えを明かし「外国人の弱みでもあり強みでもある」と語った。

黒沢清監督

黒沢清監督

黒沢清監督

黒沢清監督

黒沢清監督

黒沢清監督


第29回東京国際映画祭は2016年10月25日(火)~11月3日(木)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催!