不朽の名作『Smoke』デジタルリマスター版の公開初日トークイベントが12月17日(土)にYEBISU GARDEN CINEMAで行われ、本作の字幕翻訳を務めた戸田奈津子と製作総指揮を務めた井関惺が登壇した。

21年前に公開された本作『Smoke』が、デジタルリマスター版として再び公開されることについて、井関は「再上映するということは褒めていただけたということ。単純にすごく嬉しい」と喜びを見せたが、戸田は「21年も経ったなんて信じられない。私の中では10年ぐらいの感覚。とんでもなく時が過ぎていくわ」と感慨深げに語った。

また、本作で製作総指揮を務めた井関は、製作の経緯を「(原作者の)オースターのニューヨーク三部作を読んでいた私は彼の大ファンでした。ちょうどウェイン・ワン監督が日本に来ており、ニューヨーク・タイムズ紙に載った本作の原作でもある『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』の切抜きを見せられて感激。ポール・オースターの大ファンでもあったので、ほとんどその名前だけに反応し『制作したい!』と言いました。それが始まります」と振り返った。

本作の製作費が約550万ドルであったことに話が触れられると、井関は「当時の日本円で7~8億円くらいですかね」とコメント。戸田は「うわー、すごいわね」と驚いている様子。しかし、井関から「戸田さんが(字幕を)やっているのは、いつも100億円のばかりでしょ」と突っ込まれると戸田は「お金のことって分からないのよ」と苦笑。

続けて、製作時のエピソードについて、井関は「ポール役とオーギー役は最初ティム・ロビンスとトム・ウェイツに決まっていたんです。ですが、ティム・ロビンスは途中で『ノー』と言い出し、トム・ウェイツは夫婦問題で行方不明。結果、ハーヴェイ・カイテルがオーギー役、ウィリアム・ハートがポール役になりました」と明かした。

1995年に日米合作として製作された『Smoke』。香港出身のウェイン・ワンが監督を務める。原作は、アメリカの作家ポール・オールスターによる短編「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」。ポール・オールスターは本作の脚本も担当している。NYのブルックリンにある小さな煙草屋を舞台に、店主オーギーと常連客の作家ポールを軸に、町の人々の偶然の出会いや見えない絆を描く。

映画『Smoke』デジタルリマスター版はYEBISU GARDEN CINEMAにて上映中!全国順次公開!
監督:ウェイン・ワン
出演:ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート、ストッカード・チャニング、ハロルド・ベルノー、フォレスト・ウィテカー、アシュレイ・ジャッド
配給:アークエンタテインメント
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