池松壮亮

石橋静河x池松壮亮W主演『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の公開を記念した応援企画として、5月6日(土)の深夜にテアトル新宿で「石井裕也監督作品オールナイト」が行われ、石井裕也監督と、石井監督作品にテレビドラマを含めて4作品出演している池松壮亮が登壇した。

GWも終わりを迎えようとしている土曜日の夜に行われた今回行われたイベントでは、石井裕也監督の短編作品を含めた貴重な9作品を連続上映。『舟を編む』(2013)、『ぼくたちの家族』(2014)といった長編作品と『吠える』(2007)、『ゴ』(2009)などの短編集7本が上映された。イベントに登壇した池松壮亮は最新作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』で主演を務めるほか、『ぼくたちの家族』やテレビドラマなどを含めて4度石井監督作品に出演している。

夜遅い時間にもかかわらず、会場となったテアトル新宿は満席に加えて立ち見の観客が数十名と大盛況となった。上映終了後に拍手に迎えられ、リラックスした表情で登壇した石井裕也監督と池松壮亮。、石井監督は「今日はこんな(深い)時間にお越しいただきまして、本当にありがとうございます」と挨拶し、池松壮亮は「これから上映される短編集はDVDにもなっていない作品ですし、僕も初めて見るので楽しみです」と観客に向けての挨拶とともに、上映される短編映画に期待を寄せていた様子。

石井監督の短編映画7本を観客とともに鑑賞した石井監督と池松。池松は「泣きそうになりました。22~24歳の作品ですよね。ずっと天才だったんですね」と率直な感想を話し、石井監督は「『ぼくたちの家族』『舟を編む』の対局にあるような作品群で、『こんなのもやってるぞ』ってわかってもらえれば」と語った。MCがいない二人の完全なフリートークとなった本イベントでは、事前に石井監督が用意した“池松丸裸計画”と銘打ったノートにぎっしりと書かれた質問を石井監督が投げかけた。

「『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』のキャンペーン中にベルリン映画祭と香港映画祭、それとアウシュビッツのあるポーランドに行きましたよね。二人でほぼ月一のペースで海外に行きましたが、僕がしつこく海外に行くことに誘ったのは何故だと思いましたか?」という質問に「プロデューサーの孫さんからももっと広い世界を見てこいと言われたような気がしました」と答えた池松。石井監督は「海外に行くと『お前は誰なんだ』『お前の映画は何なんだ』ということを突き付けられる。池松君は、日本映画界からはみ出るぐらいの才能があるから、改めてそういう問いをされて欲しいと思った」と明かすと、池松は「本当にいいタイミングで連れて行ってもらえてよかった」と感謝の言葉を述べ「『自分は何者なんだ』『自分がなぜこの時代に生まれたのか』『お前に何が出来るんだ』ということをあの場所で問われたような気がしました」と貴重な体験になったことを明かした。

次に「俺は池松君のことを特別視しているけど、それはなんでだと思いますか?」と質問をすると、池松は「じゃあ僕が何故石井裕也を特別視しているか答えていいですか」と返し「いや、逆だね」とすかさず石井監督がツッコミを入れ、相思相愛ぶりが垣間見れるやりとりを見せる二人。池松は「何かがリンクしたんです」と答え、続けて「僕は10代の時からこの世界に入って、映画監督である人達とは随分年齢が離れていたんです。そういう方々に育てられ、何とかここまでやってきたわけですけど、18歳で東京に出てきたときに石井監督の映画に出会って、『なんだろう、この人』って調べたら、今まで仕事してきた人の中で一番年齢が近くて『何でこの人は自分自身が抱えてきた思いを代弁してくれるんだろう』ということを思ったんです」と振り返った。

いつになく饒舌な池松に石井監督は「何で今日はそんなに饒舌なの?」と質問を投げかけつつ「池松君は明るい部分もあるにも関わらず、潜ませようとするところがあって、今の時代の俳優としてそれは正しいと思っている。池松君とサッカーとかした時に1体1になると『ウワー』って叫んだりするんですよ。でも普段は、本音を封印しようとするけど、それが漏れちゃうこともあるけど、唯一無二の存在としてやっていけばいいと思っている」と池松の知られざる一面を暴露した。最後に石井監督は「今日来たお客さんに言いたいのは、ここまで本音で話すことはないですよ」と締めくくった。

本作は、現代の東京を舞台に、誰かに甘えることもせず日々をやり過ごす美香と、工事現場で日雇いの仕事をしながら死の気配を常に感じ、どこかに希望を見出そうとひたむきに生きる慎二が生きづらさを抱えながら出会い、恋が始まる瞬間を描くラブストーリー。美香役を本作が映画初主演となる石橋静河、慎二役を池松壮亮が演じる。また、『舟を編む』『バンクーバーの朝日』など33歳にして本作が長編映画12作目となる石井裕也監督がメガホンを取る。

池松壮亮、石井裕也監督

池松壮亮、石井裕也監督

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』は2017年5月13日(土)より新宿ピカデリー、ユーロスペースにて先行公開、5月27日(土)より全国で公開!
監督・脚本:石井裕也
原作:最果タヒ「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(リトルモア刊)
出演:石橋静河、池松壮亮、佐藤玲、三浦貴大、ポール・マグサリン/市川実日子/松田龍平/田中哲司
配給:東京テアトル、リトルモア
©2017「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会