『砂の器』ポスタービジュアル

海外作品が中心のシネマ・コンサートに『砂の器』が今夏登場することが決定した。

シネマ・コンサートとは、名作映画のセリフや効果音はそのままに音楽パートを生演奏するという“映画をライブ感覚で楽しむ”新しいエンターテインメント。最近の欧米エンタメ界のトレンドで、日本でも『ゴッドファーザー』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『タイタニック』『ハリー・ポッター™』シリーズなど、数々の洋画でシネマ・コンサートが行われており、先月には劇場公開中の『美女と野獣』が日本で初演されるなど大きな話題となっている。

今回、待望の邦画作品として1974年公開の不朽の名作『砂の器』が上映×フル・オーケストラによる全曲生演奏で、8月12日(土)と13日(日)の2日間、渋谷・Bunkamura オーチャードホールで上演されることが決定した。本作が選ばれた理由は、何といっても本編の中で音楽が重要な位置を占めているため。松本清張原作の社会派ミステリーを映画化した同作品の前半は、三木謙一(緒形拳)殺害事件の手がかりを求め、今西栄太郎警部(丹波哲郎)と吉村弘刑事(森田健作)が日本各地を巡る推理劇となっている。各地の証言者として笠智衆、殿山泰司、渥美清といった名優が随所に登場するのも見どころだが、圧巻は後半のクライマックスの40分。気鋭の音楽家・和賀英良(加藤剛)が作曲した「宿命」を東京交響楽団と共に初演するシーン、緊迫した捜査会議シーン、和賀の回想として描かれる、お遍路姿の親子が四季折々の全国を旅するシーン、この3つのシーンを交互に織り交ぜながら、バックには本作のために作曲された組曲「宿命」がクライマックス・シーン全編を通じて劇的に流れる。セリフは極力抑えられ、ここでの主役は音楽。40分のあいだに綴られる音楽と映像の融合のカタルシスが、本映画の真骨頂。

本コンサートでオーケストラ演奏を担当するのは、公開時の映画音楽を演奏した東京交響楽団。本公演は現在の楽団員によって演奏される。ピアノ演奏は、1992年ミュンヘン交響楽団との共演でデビュー以来、数多くの国内外のオーケストラで客演をはたす国内屈指のピアニスト・近藤嘉宏。音楽のみをみても西本智美の指揮による組曲「宿命」が演奏されるなど、現在でも支持され続ける本作。原作者・松本清張に「原作を超えた」と言わしめたという日本映画界に燦然と輝く傑作が、オーケストラの生演奏によって時を越えて甦る。

映画『砂の器』シネマ・コンサート

日時:2017年8月12日(土)開場16:30/開演17:00、13日(日)開場13:30/開演14:00
会場:東京・Bunkamura オーチャードホール
上映作品:『砂の器』(松竹・橋本プロ=提携作品/1974年10月19日劇場公開)
上演時間:2時間23分(途中休憩:20分あり)/上映は2005年リマスター版)
原作:松本清張/脚本:橋本忍、山田洋次/監督:野村芳太郎
音楽監督:芥川也寸志/作曲:菅野光亮
演奏:東京交響楽団/ピアノ:近藤嘉宏
企画・制作:松竹・松竹音楽出版・PROMAX
制作協力:東京音楽工房
チケット価格:全席指定9,800円(税込み)
チケット一般発売:2017年6月10日(土)※5月18日(木)より先行受付あり
 映画『砂の器』シネマ・コンサート 公式サイト

『砂の器』

『砂の器』

『砂の器』

『砂の器』

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