直木賞作家・重松清の傑作原作を映画化した『幼な子われらに生まれ』の“浅野忠信が感情を爆発させる”本編映像が解禁された。

本作は、44歳の男が元妻、現在の妻、妻の連れ子、元妻と暮らす実娘、そして新しく産まれくる命をめぐって不器用な大人たちが成長していくヒューマンドラマ。重松清の傑作小説を、夫婦別姓、同性婚など、家族のあり方を問うと同時に、つぎはぎだらけのパッチワークのような家族の中で成長していく大人たちをリアリティあふれるタッチで、かつ優しく見守るように描いた作品。主人公・信を浅野忠信、元妻を寺島しのぶ、現在の妻を田中麗奈、さらに田中演じる妻の元夫を宮藤官九郎が演じる。

今回、田中信(浅野忠信)と再婚した妻・奈苗(田中麗奈)が会話をする夫婦のシーンの本編映像が解禁された。信との子どもを妊娠している奈苗は「病院で妊娠高血圧症と言われた」ことを相談するが信は黙ってしまう。夫に判断を委ねる奈苗に対し、信は「そういうの俺に聞かれても分かんないよ」と答える。そんな信の冷たい反応に「あなたの子供なんだし、2人で考えよう」と言う奈苗。そして「自分の身体にいろいろなことが起きるんだったら、それはもう堕ろすしかないでしょ」と菜苗に言い放つ信。さらに「ずっと考えてるけど、今だったら俺たち綺麗に別れられると思う。だから、子ども堕ろして別れよう」と告げる。普段は静かで温和な口調の父親である信だが、このシーンではそれが崩壊。不安定な感情を抱え過ごしてきた信の中に溜まったものが、一気に溢れだし爆発するシーンとなっている。

浅野自身も撮影中はずっと不安定な気持ちを抱えていたという。三島監督も、浅野の中でいろいろ感情が渦巻いているのを分かりながら、この奈苗とのシーンで溜まった感情をぶつけてもらいたいと思い、見守りながらもあえて放っておいた。「全部、結果に結びついていけばいいかなと思っている。完成したときに表情や芝居を見て絶対に納得してくれるだろうと信じているので。だからこそキレる寸前まで持っていって、キレる瞬間を撮らないと意味がなかった。共演者の皆さんにも、信と向き合ったときに感じたことをそのままぶつけてもらう、それが脚本の台詞と違ってもいい、そんな挑戦をしてもらった。そこは妥協できなかった」と語る三島監督。浅野も、完成した作品を観たときに「(脚本を読んだときの)最初に感じた面白さが映画の中にもちゃんと入っていた。とてもいい作品が出来上がって救われた」とやりがいがあった現場であり、最高の結果が伴ったと語っている。

映画『幼な子われらに生まれ』は2017年8月26日(土)より全国で公開!
監督:三島有紀子
原作:重松清「幼な子われらに生まれ」(幻冬舎文庫刊)
出演:浅野忠信、田中麗奈/池田成志、南沙良、鎌田らい樹、新井美羽/宮藤官九郎、寺島しのぶ
配給:ファントム・フィルム
©2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会