『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の初日舞台挨拶が12月16日(土)に丸の内ピカデリーで行われ、佐藤健、土屋太鳳、薬師丸ひろ子、杉本哲太、浜野謙太、中村ゆり、瀬々敬久監督が登壇した。

拍手と歓声の中登壇した佐藤は「無事今日と言う日を迎えることが出来て本当に嬉しく思います。みなさまの支えがあったからです。本当に感謝しています。」と挨拶し「1年前くらいですね。1月〜2月、岡山で撮影をしていて。その時は撮影しているというよりも生活しているという感覚が強かったです。普通に岡山人として暮らしていて。できるだけその延長線上で現場には立ちたいと思っていて、瀬々監督のもと尚志さんという人の人生を生きさせてもらったような時間でした」と初日を迎えた感想を述べた。

クリスマスをイメージした真っ赤なドレス姿で登壇した土屋は「(佐藤)健先輩と重なってしまうんですけど、昨年の今頃ですね。瀬々監督と健先輩が台本を元に何度も話し合っていて、麻衣さんや尚志さん、ご家族の方とお会いしたのも昨年の今頃でした。今、日本中のスクリーンでこの作品が封切られているんだと思うと、本当に胸がいっぱいです」と語った。

やってみたい理想のクリスマスデートのお題が土屋に振られると「私はイルミネーションがすごくすごくすごく好きで!…でもクリスマスのイルミネーションは人が多いって聞いて。歩くのが大変みたいなので」と話し始めると、佐藤は「この時点で被ってる絶望感やばいよ(笑)」とツッコミを入れ、笑いが巻き起こった。

土屋は続けて「なので、尚志さんや麻衣さんみたいに家でやりたいなって。そこでイルミネーションもりもりにして、手作りのケーキを飾ったりして。手作り感つくりたいなと思いますね」と語った。そして「あと、2人だと勿体無いじゃないですか。なのでホームパーティーにしてお友達を呼びたいです!…これデートじゃないですか?」と首をかしげると、佐藤は「他の人呼んじゃったらデートじゃないよね」と笑いを誘った。杉本にも同じお題が振られると「僕の場合はクリスマスのデートというよりも、願望なんですが」と話しを切り出し「僕、20歳の娘がいるんですが、最近冷たいので…娘と一緒にクリスマスを過ごしたいです!家で。家族で!」と世のお父さんの願いを代弁するかのように訴えると、客席から拍手が送られた。

本イベントの中盤に『8年越しの花嫁特製クリスマスケーキ』が登場し、土屋から佐藤にファーストバイトを披露すると、客席から「たおちゃん、大きく!」と声が上がり、佐藤は「そうやってみんなグルか!!」と会場を笑わせた。

最後に佐藤から土屋へサプライズで手紙が読み上げられると、土屋は「本当にありがとうございます。」と目に涙を浮かべ声を震わせながら感謝し「昨年はすごく色んな作品をやっていて、気持ちが追いつかなくて。辛いこともあったんですけど。この8年越しの花嫁でこんなにも素敵な物語で、健先輩と作品をつくることができるということを励みに踏ん張っていた部分もありました。同じ時代にこんな素晴らしい役者さんと同じ時代に生きれて、よかったと思います」と語り、拍手が送られた。

サプライズの手紙
「太鳳へ 今でもよく覚えています。るろうに剣心で共演した時に僕から刀を盗んでウッシッシと笑い、陸上選手ばりのダッシュで走り去っていくあなたの背中を見ながら、ヤバい子が現れたなと思いました。当時、土屋太鳳で検索してみたりして。すると直筆アンケートに書かれた文章の長さ。信じられないほど几帳面に並ぶ文字の列に衝撃受けたり、何時間かけて書いたんだというブログの長さに衝撃を受けたり。その当時あなたは、いわゆる単館系といわれる映画の主演を多くやっていたのですが、それらの作品を片っ端から観たりしていくうちに、その時ビビっと感じたあの思いは確信に変わっていきました。そんなあなたと4年越しに夫婦役として、こんな素敵な作品で共に人生を歩めたこと、心から嬉しく思います。
しかし、1つだけ心残りがあります。それは主に宣伝の時のことなのですが、君は事あるごとにずっと“背中を追いかけてきた”“本当に尊敬している方だ。健先輩には本当に感謝している”と何度も言ってくれて。そのたびにどうしても上手くリアクションがとれずごめんなさい。もちろん嬉しいのですが、これは本当に感謝したいのは僕の方なんです。君は僕にこんなふうに言ってくれるのは今に始まったことじゃなくて、出会ってから今まで。もちろん今回の撮影中も何度も“健先輩は本当にすごいです。健先輩は唯一無二の役者さんです”とか何とか言ってくれて。でも本当は全然そんなことなくて。むしろ君がそんなこと言ってくれた数だけ僕は強くなれました。土屋さんにそんなこと言ってもらえる自分に自身を持てました。尊敬している先輩で居続けられるように自分を奮いたたせる事もできました。そして現場であなたは僕に向けてくれたエネルギーが僕のガソリンであり、もはや役作りの全てでした。あなたはこうも言ってくれました“健先輩の尚志さん素敵です”もし、健先輩の尚志さんが素敵だったとしたら、それは麻衣が太鳳だったからです。麻衣さんが太鳳だったから、僕は尚志として麻衣へのこの思いは本物なのだと自身が持てました。本物の気持ちを胸に、あとは立っていただけです。麻衣へのその思いを胸に持ってさえいれば、あとは立っているだけで。たとえ本番中どうなろうとも、その芝居は真実なんだと。間違いじゃないんだと本気で思っていました。何も怖いものはありませんでした。こんな僕に全力でぶつかってきてくれて、こんな僕を信じてくれてありがとう。だから、僕にかけてくれた言葉の分だけ自分を褒めてあげてください。本当に難しい役だったと思います。心からお疲れさま。命というものに本当の意味で向き合うことのできる唯一無二の女優さん。この作品を終えた今、僕があなたに抱く印象です。共に生きたあの時間、その記録、この作品、8年越しの花嫁。僕の宝物です。たくさんの方に愛していただけることを願って。2017年12月16日 佐藤健」

結婚式の直前に病に倒れ意識不明となった花嫁を8年間待ち続けた新郎―。YouTubeに投稿された動画をきっかけに話題が広がり、TVや新聞、ネットなどで取り上げられ、海外にも拡散、書籍化もされた、あるカップルに起きた奇跡の実話を映画化した本作。目を覚まさない恋人を献身的に支え続け、苦悩しながらもひたむきに彼女を思い続ける尚志役を佐藤健、病と闘う麻衣役を土屋太鳳が演じる。メガホンを取るのは、『64-ロクヨン-前編/後編』など深い人間ドラマを描くことに定評のある瀬々敬久監督。

【取材・写真・文/蔭山勝也】


映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』は全国で公開中!
監督:瀬々敬久
原作:中原尚志・麻衣「8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら」(主婦の友社刊)
出演:佐藤健、土屋太鳳、北村一輝、浜野謙太、中村ゆり、堀部圭亮、古舘寛治、杉本哲太、薬師丸ひろ子
配給:松竹
©2017映画「8年越しの花嫁」製作委員会