新進気鋭から巨匠までバラエティに富んだラインナップで贈る「イタリア映画祭2018」が今年もGWに東京・有楽町朝日ホールにて開催されることが決定した。

「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001年春に始まり、毎年1万人を超える観客が訪れるゴールデンウィーク恒例のイベント「イタリア映画祭」。18回目を迎える今回も、新進気鋭から巨匠までバラエティに富んだラインナップで世界の映画祭を席巻した作品から、ドラマ、コメディー、ロマンス、クライムアクション、音楽と例年にも増して各ジャンルが取り揃えられている。今回は、本国で2017年以降に製作されたフレッシュな新作14作品が日本初お披露目となるほか、新作と関連がある作品を集めた<アンコール上映作品>5作品は、過去に日本で上映されたことはあるが、現在はその権利がなく、今回が日本で見ることができる最後の機会になるかもしれない貴重な上映となっている。

イタリアで国民的人気を誇るシンガー・ソングライターリガブエの3本目の監督作『メイド・イン・イタリー』は、無名の一市民の生き様を通してイタリアへの愛憎を描く人間賛歌の感動作。カルピニャーノ監督作『チャンブラにて』は、マーティン・スコセッシから「感動的で美しい映画」と絶賛され、アカデミー賞外国語映画賞のイタリア代表に選ばれた作品。本映画祭でシリーズ前2作品を上映し、好評を博したシドニー・シビリア監督の『いつだってやめられる』シリーズの第3弾『いつだってやめられる―名誉学位』も上映が決定。前作が『いつだってやめられる―10人の怒れる教授たち』として5月26日(土)より日本での劇場公開を控えるなど、着実にファンを増やしているスリリングなクライムコメディシリーズの最新作がいち早く観ることができる。

また、例年通り、来日ゲストによる開会式や舞台挨拶、トークセッションも予定しており、東京のほか大阪(ABCホール)でも開催が決定している。

イタリア映画祭2018<東京>

会期:2018年4月28日(土)~5月5日(土・祝)
会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11階)
主催:イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
後援:イタリア大使館
協賛:FCA ジャパン株式会社、フェラガモ・ジャパン株式会社
協力:株式会社帝国ホテル、アリタリア-イタリア航空
 「イタリア映画祭2018」公式サイト
問合せ:050-5542-8600(ハローダイヤル:~4月27日)/03-5221-0080(会場、会期中のみ)
※前売り券は3月17日(土)10:00より発売
※前売り一般1,450円/学生・60歳以上1,350円、当日一般1,700円/学生・60歳以上1,600円

イタリア映画祭2018<大阪>

会期:2018年5月26日(土)~5月27日(日)
会場:ABCホール(大阪市福島区福島1‐1‐30)

日本未公開最新作(14本)

『イタリアの父』

『イタリアの父』
(原題:Il padre d’italia/監督:ファビオ・モッロ/2017年/93分)
活躍著しいスター俳優ルカ・マリネッリとイザベッラ・ラゴネーゼがイタリアを縦断する情感豊かなロードムービー。トリノの家具店でそつなく働くパオロは、ゲイクラブで体調を崩したミアをたまたま助ける。ロックバンドのバックシンガーで奔放な生活を送るミアは妊娠6か月で、その子の父親が誰なのかはっきりしない。いやおうなく父親捜しに巻き込まれるパオロだが、無
軌道な旅を通じて自分自身を見つめ直していく。ラゴネーゼがゴールデン・グローブ賞の最優秀女優賞を受賞。

『シチリアン・ゴースト・ストーリー』

『シチリアン・ゴースト・ストーリー』
(原題:Sicilian Ghost story/監督:アントニオ・ピアッツァ、ファビオ・グラッサドニア/126分)
デビュー作『狼は暗闇の天使』(イタリア映画祭『サルヴォ』)がカンヌ国際映画祭の批評家週間でグランプリに輝いたコンビの2作目。25年前にシチリアで起きた出来事から寓話的な恋物語を紡ぐ。お互いに好意を抱く13歳のルナとジュゼッペ。2人の仲が深まろうとする矢先に、ジュゼッペは失踪する。なぜか周囲の大人たちが口をつぐむなか、ルナは懸命に彼の行方を追う。はたしてルナはジュゼッペと再会できるのだろうか。カンヌ国際映画祭批評家週間オープニング作品。

『フォルトゥナータ』

『フォルトゥナータ』
(原題:Fortunata/監督:セルジョ・カステッリット/103分)
名優の一人で、監督としても活躍するカステッリットの第6作で、幸せを求めて夢を実現するために奮闘する女性の物語。「幸運」を意味する名前にもかかわらず、フォルトゥナータの結婚生活は夫の暴力で破綻し、離婚が間近だった。独立して生きるために美容師の闇の仕事を懸命にこなし、自分の店を持つことに順調に突き進んでいたが、一人娘が心理カウンセリングを受け始める医師との出会いが運命を変える。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でジャズミン・トリンカが最優秀女優賞を受賞。

『純粋な心』

『純粋な心』
(原題:Cuoripuri/監督:ロベルト・デ・パオリス/114分)
カンヌ国際映画祭の監督週間に選ばれた1980年生まれのデ・パオリス監督の長編デビュー作は、ローマ郊外で別々の世界に生きる少女と青年の激しいラブストーリー。17歳のアニェーゼは母と2人暮らし。熱心な信者の母は娘を厳しく育て、結婚するまで純潔を守らせようとする。血気盛んな25歳のステファノは駐車場のガードマン。しがない日々から抜け出せず苛立ちを隠せない。全く異なる背景を持つ2人だが、予期せぬ出会いを果たすと、お互いに抑えていた思いがあふれていく。

『チャンブラにて』

『チャンブラにて』
(原題:ACiambra/監督:ジョナス・カルピニャーノ/120分)
マーティン・スコセッシから「感動的で美しい映画」と絶賛され、米アカデミー賞外国語映画賞のイタリア代表に選ばれたカルピニャーノ監督の第2作。前作『地中海』と同じく南イタリアのカラブリアを舞台に、ロマの少年がたくましく生き抜く姿を生々しく描く。14歳にして酒と煙草をたしなむピオは、兄のコジモからストリートで日々の糧を得る術を学び、家族やロマの仲間を支えていた。だが、コジモが失踪。大きな負担が肩にのしかかってきたピオは、危ない橋を渡ることにする。

『侵入する女』

『侵入する女』
(原題:L’intrusa/監督:レオナルド・ディ・コスタンツォ/95分)
カンヌ国際映画祭の監督週間でプレミア上映されたディ・コスタンツォ監督の第2作は、暴力の影に脅かされながら、理想と現実の間で苦悩する女性の姿を追う。ジョヴァンナは、ナポリ郊外にあるレクリエーションセンターを運営し、恵まれない子どもたちを支援していた。すみかを失った子連れの若い女性には、センターの離れにあるコテージを提供。だが実は、女性が
犯罪組織「カモッラ」のメンバーで殺人犯でもある夫をかくまっていたことで、センターは存続の危機に立たされる。

『ザ・プレイス』

『ザ・プレイス』
(原題:The Place/監督:パオロ・ジェノヴェーゼ/105分)
『おとなの事情』の巧みなストーリーテリングが舌を巻かせたジェノヴェーゼ監督の新作。カフェ「ザ・プレイス」には毎日ずっと居続ける謎の男がいる。たえず訪問者がいて、彼らは自身の願いを男に訴え、男はそれを叶える条件としてそれぞれに特異な任務を与える。はたして、彼らは任務を遂行できるのだろうか?男が任務を与える理由とは?謎の男にヴァレリオ・マスタンドレア、訪問者にアルバ・ロルヴァケル、マルコ・ジャッリーニなどスターが多数出演。ローマ国際映画祭クロージング作品。

『いつだってやめられる―名誉学位』

『いつだってやめられる―名誉学位』
(原題:Smetto quando voglio-Ad honorem/監督:シドニー・シビリア/102分)
絶妙なキャラ設定とセリフ、予測不能な物語と斬新な映像演出で観客を大いに沸かせたコメディー3部作がついにフィナーレ。
神経生物学者のズィンニをリーダーに、不遇な研究者たちが集結した素人ギャング団はスマートドラッグの製造に成功。その腕を買われて警察から秘密裏にドラッグの蔓延防止という真逆のミッションを与えられる。それをクリアかと思いきや、新たな強敵が出現。強敵はヤバい犯罪を計画していて、窮地に立たされるズィンニたちは、それを防ぐべく知恵を絞り奔走する。

『環状線の猫のように』

『環状線の猫のように』
(原題:Come un gatto in tangenziale/監督:リッカルド・ミラーニ/98分)
ヒット作を連発するミラーニ監督が、『これが私の人生設計』の主演パオラ・コルテッレージと再びタッグを組み、さらにアントニオ・アルバネーゼも迎えて大ヒットしたコメディー。ローマの中心に住み、シンクタンクで社会的統合の問題に携わるインテリのジョヴァンニ。多様な人種が混在する郊外で調理スタッフとして働き、日々の生活に追われるモニカ。生活環境が全く異なり知り合うことはなかったはずの2人だが、彼らの子どもが好意を抱き合うことから、やむを得ず交流することになる。

『ティートとエイリアン』

『ティートとエイリアン』
(原題:Tito e gli alieni/監督:パオラ・ランディ/92分)
女性監督ランディの2作目は、ユーモアとイマジネーションがうまく結実した心温まるユニークなドラマで、主演はヴァレリオ・マスタンドレア。ナポリ出身の科学者ビオンディは、アメリカ・ネバダ州にある秘密の軍事施設「エリア51」の近くで米軍の極秘計画に携わっていた。だが、妻を亡くして落胆し、6年もの間、毎日ソファの上で宇宙からの音に耳を傾けていた。故郷で兄フィデルが亡くなると、兄の娘アニタと息子ティートの面倒を見ることになり、渡米してきた彼らとの奇妙な生活が始まる。

『メイド・イン・イタリー』

『メイド・イン・イタリー』
(原題:Made in Italy/監督:ルチャーノ・リガブエ/102分)
国民的人気を誇るシンガー・ソングライター、リガブエの3作目。主演にステファノ・アッコルシを迎え、無名の一市民の生き様を通してイタリアへの愛憎を描く人間賛歌の感動作。リコは精肉工場で働く中年の労働者。グローバル化の影響で工場を去らざるを得ない同僚が出る中、解雇されることもなく、妻とも友人たちとの関係も良好で一見幸せに見えたが、実は心の空虚感
を埋められないでいた。心機一転を図ろうと、友人たちとローマへの旅に出るが、ローマでの出来事が思わぬ事態を招く。

『世情』

『世情(仮題)』
(原題:La tenerezza/監督:ジャンニ・アメリオ/103分)
本年度ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、作品賞他8部門にノミネートされている、『家の鍵』のジャンニ・アメリオ監督最新作。現代イタリア文学を代表する作家ロレンツォ・マローネのベストセラー小説「La tentazione di essere felici」をアメリオ自身が脚色。ナポリのアパートに一人暮らす77歳の元弁護士と、母の死をきっかけに父と不仲になった娘が、父の隣家の若い家族に起こった予期せぬ事件をきっかけに、その関係を見つめなおすことになるヒューマンドラマ。今冬公開予定。

『愛と銃弾』

『愛と銃弾』
(原題:Ammore e malavita/監督:マネッティ・ブラザーズ/134分)
才気みなぎる鬼才エンタテイナ―、マネッティ兄弟が放つ、ノワール、アクション、ロマンス、そしてミュージカル?二枚目のクールな殺し屋チーロは、仕事場で偶然幼なじみの元恋人で看護師のファティマに再会、よみがえった恋はいっそう激しく燃え上がる。犯罪の目撃者となった彼女を守るため、組織に刃向かい裏世界から逃れることを決意するチーロ。紺碧のナポリ湾に飛び交う銃弾に愛は勝てるのか?ヴェネチア国際映画祭で最優秀キャスト賞ほか3賞受賞。今秋公開予定。

『Emma 彼女のみた風景』

『Emma 彼女の見た風景(仮題)』
(原題:Il colore nascosto delle cose/監督:シルヴィオ・ソルディーニ/115分)
『ベニスで恋して』で知られるソルディーニ監督の最新作。売れっ子の広告デザイナー、テオは典型的なプレイボーイ。ある日、DID(ダイアログ・イン・ザ・ダーク)でボランティアをする盲目の整体師エンマと出会い次第に惹かれてゆく。テオには『愛の果てへの旅』のアドリアーノ・ジャンニーニ、エンマを『人間の値打ち』『はじまりの街』などで知られる女優のヴァレリア・ゴリーノが熱演している。ヴェネチア国際映画祭でCivitas Vitae Awardを受賞。2018年公開予定。
特別上映作品(5本)

『ラジオフレッチャ』

『ラジオフレッチャ』
(原題:Radiofreccia/監督:ルチャーノ・リガブエ/1998年/112分)
新作『メイド・イン・イタリー』のリガブエ監督のデビュー作。70年代、エミリア・ロマーニャ州の小さな街で独立ラジオ局を立ち上げた若者たちの友情と恋愛を描く自伝的作品。リガブエの素人離れした語り口は、ヴェネチア国際映画祭で絶賛を浴び、その後イタリア国内で大ヒット。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の新人監督賞や主演男優賞(ステファノ・アッコルシ)などを受賞した。イタリアの田舎町に、70年代のアメリカのヒット曲が次々と流れる「イタリアン・グラフィティ」。

『ベニスで恋して』

『ベニスで恋して』
(原題:Pene e tulipani/監督:シルヴィオ・ソルディーニ/2000年/114分)
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞をはじめ、主演・助演、男女のすべての俳優賞など計9部門で受賞したソルディーニ監督の代表作。中年の専業主婦が平凡な日常から抜け出してときめきを取り戻していくロマンチック・コメディー。家族旅行中に置いてけぼりを食ったロザルバ(リーチャ・マリェッタ)は、ヒッチハイクで自宅に帰ろうとするが、成り行きでたどり着いたのはヴェネチア。トラットリアの主人フェルナンド(ブルーノ・ガンツ)らの出会いによって、自分の居場所を見いだしていく。

『僕はナポリタン』

『僕はナポリタン』
(原題:Song’e Napule/監督:マネッティ・ブラザーズ/2013年/114分)
新作『愛と銃弾』にも通ずるエンタメ性と音楽愛が炸裂するマネッティ兄弟のコメディーで、ナポリ育ちなのにナポリに馴染めない青年が裏社会の騒動に巻き込まれていく。名門音楽院を卒業するが、ピアニストとしては食べていけないパコは、親のコネで警察官の職に就かされる。上司から下されたミッションは、誰もその顔を知らないマフィアの殺し屋の正体を突き止めること。地元の人気バンドにメンバーとして潜り込むことに成功し、殺し屋が出席する結婚式へ向かうが・・・。

『多様な目』

『多様な目』
(原題:Per altri occhi/監督:シルヴィオ・ソルディーニ/2014年/94分)
ソルディーニ監督が撮影を通じて自分が考えていたのとは異なる世界を発見し、新作『Emma 彼女の見た風景(仮題)』を作るきっかけになったドキュメンタリー。登場するのは、理学療法士、企業家、彫刻家、ミュージシャン、テレフォンオペレーター、退職者、チェロ弾きの学生。彼らに共通すること、それは目が見えないことだった。ヨットやアーチェリーなどのスポーツをする人もいれば、写真を趣味とする人もいる。彼らの前向きな生き様を見つめることで、驚くべき世界が新たに開けてくる。

『地中海』

『地中海』
(原題:Mediterranea/監督:ジョナス・カルピニャーノ/2015年/107分)
移民という今日的な問題にリアルな演出で迫るカルピニャーノ監督のデビュー作。ブルキナファソの青年2人は、より良い生活を求めてヨーロッパに向かう。命を賭けてボートで地中海を渡り、イタリア南部にたどり着くことに成功する。けれども、待ち受けていたのは、アフリカで夢見ていたイメージとはほど遠い厳しい現実だった。本作は、『チャンブラにて』と同じ地方が舞台で主人公ピオも登場する姉妹のような作品で、カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品され、多くの映画祭で賞を受けた。

「イタリア映画祭2018」は4月28日(土)より東京・有楽町ホールにて、5月26日(土)より大阪・ABCホールにて開催!