浅⽥次郎の幕末⼩説をドラマ化した「連続ドラマW ⿊書院の六兵衛」に吉川晃司と上地雄輔が出演することが決定し、併せて特報映像が解禁された。

巨匠・浅⽥次郎による⽇本経済新聞連載の時代⼩説をドラマ化した本作。江⼾城無⾎開城の史実をベースに、時代の波に取り残されそうになりながらも、⾃らの信義を通し⼀切⼝を利かぬまま江⼾城内に居座り続ける将軍直属の御書院番⼠・的⽮六兵衛と、官軍側に付いた尾張藩から遣わされ六兵衛排除の任を負ってしまった下級藩⼠・加倉井隼⼈との交情を熱く描く。体制のリーダーではなく、瀬⼾際の現場で⾝を尽くす2⼈の姿にこそ、⼤きな時代の節⽬を迎えた今、世相や組織の空気に翻弄されながらも、できれば平和に真っすぐに⽣きたいと願う⼤多数の⽇本⼈の深い共感が集まることだろう。

【的⽮六兵衛役】には、希代のロックスターにして俳優としてもカリスマ的存在感を⽰してきた吉川晃司。実に17年ぶりの主演となる。【尾張藩⼠・加倉井隼⼈役】は、歌⼿タレントとして活躍しながら俳優としても本格派の輝きを⾒せる上地雄輔が演じる。監督は映画『神様はバリにいる』『ボックス!』など数々の熱い男のロマンを写し取ってきた李闘⼠男、脚本は「新参者」の牧野圭祐が担当する。

吉川晃司(的⽮六兵衛役)コメント

―WOWOW連続ドラマW初のご出演についての意気込み
 連続ドラマWは良質なモノづくりをしているイメージで楽しみにしていましたが、実際やってみると結構コキ使われんだな、って思いました(笑)。今回主演を務めますが、普段の⾳楽活動においてもフロントマンとしてトータルプロデュースをする⽴場と考えれば、役回りに⼤きな違いはないし、むしろ余計な⼒を⼊れすぎないように⼼がけています。
―浅⽥次郎さんの原作や、脚本を読まれた際の感想
 何百年と続いた武⼠の魂や覚悟というものを、この不動無⾔の的⽮六兵衛という特異なキャラクターに背負わせた。その切り⼝、発想が⾮常に⾯⽩いと思いました。⼀⽅で、この原作の映像化は⾮常に難しいのではないかとも感じましたが、今回の脚本は本当に⾯⽩いものになっていると思います。
―実際に現場で演じてみての感想
 ステージでも演技でも普段は動き回っている⾃分が、今回はセリフもなく動きも最低限。⾟抱と受け⾝の極みをやる。これは⼤きな賭けだと思いました。⼀⽅で、的⽮六兵衛の所作を⾝につけるために採り⼊れ⽇夜稽古に励んでいる⼸⾺術礼法⼩笠原流の極限まで無駄を削ぎ落としたしなやかな動きと求道者のような姿勢、これが役作りにおいても、撮影中の集中⼒やモチベーションを保つことにおいても、⾮常に重要な存在となっています。芝居については、相⽅となる上地くんの苦労も相当なものだと思います。なにせ、喋らない⾃分の分までセリフを背負わせているので。もはや落語の域ですね。⼼の中で常に旗を振って感謝応援しています。
―この映像化を通じて届けたい想いや、視聴者の皆様へのメッセージ
 「武⼠道」というものを、動く絵にするとこうなる。それを楽しんで観て頂ければと思います。

上地雄輔(加倉井隼⼈役)コメント

―WOWOW連続ドラマW初のご出演についての意気込み
 少しでもその作品の⼒になれるように、その役に⾃分の魂を全て捧ごうと思いました。
―脚本を読まれた際の感想
 ⼤変なものを引き受けたなと思いました。
―実際に現場で演じてみての感想
 ⾃分を削ぎ落とす気持ちで毎シーン演じているので、それが出ていれば嬉しいです。
―視聴者の皆様へのメッセージ
 ⽇本っていいなと思ってくれたら嬉しいです。

浅⽥次郎(原作者)コメント

「⿊書院の六兵衛」はふしぎな⼩説です。ある晩、江⼾城中にじっと座りこむ侍の夢を⾒て、そのままを⼩説にしました。もともとが夢の啓⽰なので⼀貫した物語性はないのですが、幸い新聞連載でしたから、じっくりと書きながらだんだん⾯⽩い話になっていきました。李闘⼠男監督とお会いしたのは、その連載がまだ終わらぬころだったでしょうか。ご⼀緒したロケバスの中で私がストーリーを語り、李監督が興味を⽰されて、突然映像化の話がまとまりました。これもやはりふしぎなドラマ化の経緯ですね。主役が吉川晃司さんと聞いたときは、なるほどと思いました。所作だけで表現をするというのはとても難しいことで、そうした役者さんはめったにいないでしょう。「⿊書院の六兵衛」は、スタッフやキャストや視聴者のみなさんの、⼈⽣を変えるふしぎなドラマになるような気がします。

李闘⼠男(監督)コメント

―「⿊書院の六兵衛」の連続ドラマでの映像化について、お気持ちや意気込み
 この「⿊書院の六兵衛」という作品について浅⽥先⽣から初めてお聞きした時は、「なんてけったいな本なんだ!」と思ったのが正直なところです。主⼈公が全く喋らない、⼀体何をしているのかも分からないということは、映像化にあたっては⾮常に難しく⼿強い題材だと感じましたし、撮影中の今でもその思いは変わりません。しかし製作過程において、江⼾城という“伏魔殿”にしかけられたミステリーであり、かつ幕末から明治という時代を⽣きた男が貫き通した「志」の物語でもあり、ここにエンタメ性とテーマ性とが⾒事に融合されていることに改めて気付かされました。“武⼠道”や“国を護る”といった堅固なテーマを損なうことなく、これと同時に、全6話を通じて六兵衛の魅⼒とミステリアスさも引き出して、視聴者のみなさんに楽しんでいただける渾⾝の幕末エンターテインメントをお届けします。
―原作、キャスト(吉川晃司、上地雄輔)、「連続ドラマW」初監督に対する想い
 WOWOWのオリジナルドラマは“⼤⼈が観るドラマ”というイメージで、⽬の肥えた視聴者に向けたエンターテインメントをどう作るか、またそれにトライできるというのは⾃分にとって⼤きなチャレンジであり、期するところがあります。浅⽥次郎先⽣からこの本を託されてから5年、ようやく形にすることができる⽇を迎えております。六兵衛には吉川晃司さん、加倉井には上地雄輔さんを迎え、原作読者の⽅にとっては意外なキャスティングであったかもしれませんが、実際、吉川さん演じる六兵衛は⾔葉を発さない謎の男ながらその背中や佇まいで多くを語り、上地さん演じる加倉井は六兵衛と関わることで⼈間として成⻑してゆく姿を、様々な表情を⾒せながら演じてくれており、作品をご覧いただきましたらきっと、お楽しみいただけると確信しています。

慶応4年、幕府と新政府の談判が成り、江⼾城は不戦開城と決した。官軍側で気弱な尾張の下級藩⼠・加倉井隼⼈(上地雄輔)は、城の引き渡しを⽀障なく進めるための先遣として、城内に検分に⼊る。しかし、困ったことにただひとり、てこでも動かぬ旗本がいた。彼の名は的⽮六兵衛(吉川晃司)。将軍直属の警護隊・御書院番の番⼠だった。六兵衛は黙って正座したままで、動くのはほぼ⽤を⾜すときだけ。⻄郷隆盛と勝海⾈の約束により、城内での悶着は厳禁。つまり、⼒ずくでは六兵衛を退去させられない。居座りの意図を探る加倉井は、この六兵衛は本物ではなく六兵衛の名をかたる偽者だと知る。ますます混乱する加倉井ら。だが、しばらく時を過ごすうちに、古式ゆかしい貫禄でたたずむ六兵衛に対し、加倉井の胸裏には得体の知れぬ共感が湧いてくる。果たして六兵衛の居座りの理由とは。そして、天皇⼊城が迫る中、加倉井はどう⼿を打つのか。

「連続ドラマW 黒書院の六兵衛」は2018年7月よりWOWOWプライムにて放送!
監督:李闘士男
原作:浅田次郎「黒書院の六兵衛」(文春文庫刊)
出演:吉川晃司/上地雄輔