今年度カンヌ国際映画祭で最高賞“パルムドール”受賞の『万引き家族』が9月に開催される第66回サン・セバスチャン国際映画祭に出品されることが決定し、是枝裕和監督が生涯功労賞にあたるドノスティア賞をアジア人として初めて受賞することが決定した。

様々な“家族のかたち”を描き続けてきた是枝裕和監督の最新作は、この10年間考えてきたことを全部込めたと語る渾身作。東京の下町で質素に暮らす家族は、生計を立てるために家族ぐるみで軽犯罪を重ねていた。犯罪でしか繋がれなかった家族の“許されない絆”が、ある事件をきっかけに衝撃の展開を迎える。万引きを重ねる父・治をリリー・フランキー、妻・信代を安藤サクラ、さらに松岡茉優、樹木希林、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、緒方直人、森口瑤子ら実力派俳優たちが集結。真の“つながり”とは何かを問う、心揺さぶる衝撃の感動作に仕上げた。

今回、本作が9月21日~29日にスペイン・バスク地方で行われる第66回サン・セバスチャン国際映画祭に出品されることが決定し、併せて是枝裕和監督が俳優または監督に送られるもっとも名誉ある賞で、生涯功労賞にあたるドノスティア賞を受賞することが決定した。アジア人初の快挙となる。本賞は、過去にはアル・パチーノ、フランシス・フォード・コッポラ、オリバー・ストーン、リチャード・ギア、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、ヒュー・ジャックマン、デンゼル・ワシントンなど名だたる監督、俳優が受賞。また、是枝監督作品の同映画祭出品は本作品で9作品目となり、非常に深い親交と思い入れのある映画祭となる。なお、今回出品されるのはドノスティア賞特別上映となり独立した枠のため他の賞の授賞対象にはならない。

是枝裕和監督過去の出品作品

1998年『ワンダフルライフ』コンペティション部門出品国際批評家連盟賞受賞
2006年『花よりもなほ』コンペティション部門出品
2008年『歩いても 歩いても』コンペティション部門出品脚本家協会賞受賞
2011年『奇跡』コンペティション部門出品優秀脚本賞受賞
2013年『そして父になる』パールズ部門出品観客賞受賞
2015年『海街diary』パールズ部門出品観客賞受賞
2016年『海よりもまだ深く』パールズ部門出品
2017年『三度目の殺人』パールズ部門出品

ホセ=ルイス・レボルディノス(フェスティバルディレクター)コメント

―授賞理由について
我々は是枝裕和監督を現代の映画界で非常に重要な映画人と考えております。監督として高い技術力や熟練の域に達した作品だけでなく、私たちが授与にあたり付け加えなければならないのは、彼が持つ深いヒューマニズムです。監督は特に家族の視点や子どもたちの特別な世界を通じて現代における社会的な問題を歴史に刻む重要な記録者のひとりと考えております。彼は何年にもわたりサン・セバスチャン映画祭に参加してくれており、もはや映画祭だけでなく、サン・セバスチャンという街の本当の親友となりました。上映した作品の内二作(『そして父になる』、『海街diary』)は観客賞を受賞しましたが、是枝監督はサン・セバスチャンで本当に市民に愛されているのです。

是枝裕和監督 コメント

サン・セバスチャンは僕にとって特別な映画祭です。初めて呼んでいただいてから20年になりますが、その間に触れた、あの景色、あの観客の笑顔、全てが忘れがたいです。その時間の積み重ねが、今回の賞に繋がったのだとしたら、こんなに嬉しいことはありません。ありがとうございます。

是枝裕和監督

映画『万引き家族』は全国で公開中!
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ
   松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ
   緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美/柄本明
   高良健吾、池脇千鶴/樹木希林
配給:ギャガ
©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.