第74回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した『運命は踊る』に各界の著名人からのコメントが到着した。

イスラエル・テルアビブのアパート。家族のもとに、息子が戦死したとの連絡が入る。取り乱し、悲しみに打ちひしがれる両親。しかし、それは誤報であり、息子は生きていることがわかる。一方、戦う相手もいない前哨基地で間延びした時間を過ごす息子。遠く離れたふたつの場所で、父、母、息子―3人の運命は交錯し、すれ違っていく。監督は、イスラエルの鬼才サミュエル・マオズ。長編2本目となる本作で、デビュー作に続き、2作連続でヴェネチア国際映画祭の主要賞を受賞する快挙を成し遂げた。

森山未來(俳優・ダンサー)

絵画的に塗りこめられ、麻痺した世界から抜け出そうとするときに爆発する感情。
出口は見えず、巡り巡ることがわかっていても、ただ踊るしかない。
彼ら、もしくは人類の根底に流れる宿命を改めてのぞき見た。

江原啓之(スピリチュアリスト・オペラ歌手)

運命は流れる景色のようなもの。受けとめる人間次第で幸福が決まる。
踊らされるのではなく、踊っているのだ。この映画は、人間への風刺である。

山内ケンジ(劇作家・映画監督)

かっこいい映画だ。イスラエルの今だ。冒頭から引きこまれる。
超リアルな現実とカフカ的冷笑的現実の対比が、会話が、展開がかっこいい。かっこよすぎるぞ。

五十嵐太郎(建築批評家)

削ぎ落とされた要素による緻密な物語構成と絶妙なバランスによる画面設計。
鑑賞後、もう一度、頭の中で再生すべき作品である。

矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラム・ディレクター)

重厚と軽妙、悲痛と愉快がこれほど見事に同居する作品は滅多にない。
家族の内面に入りながら、俯瞰で状況を風刺するマオズ監督の演出センスは
世界の頂点レベルだ。傑作。

姜尚中(東京大学名誉教授)

ホロコーストのトラウマを抱えた国家の、痛々しい運命の悲劇。人間はかくも残酷で優しいのか。

赤川次郎(作家)

皮肉な運命のいたずらが、イスラエルという国の「闇」を浮き彫りにする。
戦争が日常となったときの命の軽さにゾッとする映画だ。

西川美和(映画監督)

この期に及んで「戦争」を描くには、研ぎ澄まされた知恵と洗練が必要だ。「こどもを戦争に出す」とはどういうことか。
大丈夫。これならちゃんと、目をそらさず、自分ごとのように観られますよ。

荻上チキ(評論家・ラジオパーソナリティ)

構図、セット、音響、不条理劇――。静かでミニマルな人間模様が、暴風のように翻弄してくる。
理不尽な力を従順に行使する者が、無慈悲な運命に惑わされる姿から、
あなたはどこの社会を連想するだろうか。

映画『運命は踊る』は2018年9月29日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開!
監督・脚本:サミュエル・マオズ
出演:リオール・アシュケナージー、サラ・アドラー、ヨナタン・シライ
配給:ビターズ・エンド
© Pola Pandora – Spiro Films – A.S.A.P. Films – Knm – Arte France Cinéma – 2017