パームスプリングス映画祭の様子
是枝裕和監督


カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の『万引き家族』が第44回ロサンゼルス映画批評家協会賞で外国語映画賞を受賞した。

様々な“家族のかたち”を描き続けてきた是枝裕和監督の最新作は、この10年間考えてきたことを全部込めたと語る渾身作。東京の下町で質素に暮らす家族は、生計を立てるために家族ぐるみで軽犯罪を重ねていた。犯罪でしか繋がれなかった家族の“許されない絆”が、ある事件をきっかけに衝撃の展開を迎える。万引きを重ねる父・治をリリー・フランキー、妻・信代を安藤サクラ、さらに松岡茉優、樹木希林、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、緒方直人、森口瑤子ら実力派俳優たちが集結。真の“つながり”とは何かを問う、心揺さぶる衝撃の感動作に仕上げた。

今回、本作が第44回ロサンゼルス映画批評家協会賞にて外国語映画賞を受賞した。アカデミー賞前哨戦として注目を集める同賞は、ロサンゼルスを拠点に活動する映画批評家で構成されたロサンゼルス映画批評家協会のメンバー投票によって決定される。村上春樹の短編小説「納屋を焼く」をもとにした韓国映画『バーニング 劇場版』(イ・チャンドン監督)も『万引き家族』と並んでの外国映画賞受賞した。

なお今回の受賞は、日本映画では黒澤明監督の『乱』以来、33年ぶりの外国語映画賞を受賞となる。過去には『君の名は。』(新海誠監督)、『かぐや姫の物語』(高畑勲監督)、『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)がアニメーション映画賞に輝いており、本年度のキャリア功労賞に宮崎駿監督が選ばれている(※日米合作作品としては、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』が作品賞を受賞)。

授賞式では、スタンディングオベーションと割れんばかりの拍手に包まれる中で是枝監督が登場。トロフィーを受けとった是枝監督は「この賞を頂いたお礼を一言述べたくて、10時間飛行機に乗って、今朝この街に着きました。本当にありがとうございます。5月にカンヌの映画祭で賞を頂いた時に、審査委員長のケイト・ブランシェットさんがこの作品の事をインビジブルピープル、目に見えない人たちを目に見える形にしたというところをすごく評価していただきまして、とても嬉しかったんですね。この映画に限らず、いつも映画を作る時には、見えないもの、声にならない声をどういう風に映画にするかという事をいつも考えているのでとても嬉しかったです。映画にはある力があると思っています。それは、例えば日本と韓国とか、アメリカとメキシコとか隣り合う国と国、人とひとの間に大きな力が、壁を作りお互いがお互いを見えなくしようとする時に、その壁を取り払ってお互いを見える形にしていく、そういう力が映画にはあると思っています。なのでこの賞を友人でもあり、韓国の最も尊敬する監督でもあるイ・チャンドンさんと同じ賞を受賞できたことが本当に嬉しいですし、これからもその力を、映画の力を信じて映画を作り、また10時間でも20時間でもまた飛行機に乗って皆さんの元に訪れたいと思います。今日はありがとうございます」とスピーチし、喝采を浴びました。

また、同日発表されたカリフォルニア州パームスプリングスで開催のパームスプリングス映画祭でも、外国語映画に贈られるFIPRECI賞(国際批評家連盟賞)を受賞した。『万引き家族』は、現在56の海外映画賞各部門でのノミネート、30の受賞歴を重ねており、第91回アカデミー賞外国語映画賞部門で日本出品作品にも選ばれ、最終ノミネーション発表前の候補リスト9本にも残っており、1月22日に行われるノミネート発表に向けても大きな弾みとなっている。

映画『万引き家族』は2018年6月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ
   松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ
   緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美/柄本明
   高良健吾、池脇千鶴/樹木希林
配給:ギャガ
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