桑田佳祐、山田洋次監督


第1作公開から50周年、50作目となるシリーズ最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』でサザンオールスターズの桑田佳祐が主題歌「男はつらいよ」をオープニングで歌唱と出演することが決定した。

『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(1997)以来、22年ぶりの新作は、車寅次郎(渥美清)の甥・満男(吉岡秀隆)と満男がかつて思いを寄せていたイズミ(後藤久美子)のその後の物語。別々の人生を生きてきた二人を軸に、さくら(倍賞千恵子)や博(前田吟)、そしてくるまやを囲む人たちの今が描かれる。不透明な時代を生きていく私たちのために、昭和から現代に虹をかけるように、今、寅さんがスクリーンに蘇る。

今回、この記念すべき50周年・50作目に華を添えるべく、サザンオールスターズの桑田佳祐が主題歌「男はつらいよ」をオープニングで歌唱、そして出演することが決定した。サザンオールスターズとしてデビュー40周年を迎えた桑田佳祐と、本作が監督88作目となる山田洋次。それぞれ、昭和から平成と、音楽界そして映画界をリードしてきた二人だが、今回はそんな山田監督の記念すべき作品に桑田佳祐が見事に華を添える形となった。

テレビ番組で「男はつらいよ」を歌う桑田の映像を目にした山田監督は、「実にうまい!」と大感激。桑田のこの歌へ寄せる想いも感じられ、それが脳裏から離れずにいた。本作を製作するにあたり、山田監督自らが「是非、新しい寅さんの幕開けをあの素晴らしい桑田さんの『男はつらいよ』で始められないか。出来れば出演もしていただき、華を添えてもらえないだろうか」と提案。桑田に熱いラブレターを書きその想いを伝えた。かつて自身のテレビレギュラー番組に「音楽寅さん」というタイトルをつけるほど寅さんや山田監督のファンである桑田。主題歌の「男はつらいよ」もAct Against AIDSのステージや、映像作品「THE ROOTS ~偉大なる歌謡曲に感謝~」の中でも披露してきた。そんな桑田は熱い山田監督の気持ちを受け取ると、ありがたいお話いうことで即座に承諾し、実現へと至った。

山田洋次(監督)コメント

―桑田佳祐の主題歌に寄せて
桑田佳祐という人と渥美清さんは、心情において深く重なっているのではないか、と前々から思っていて『男はつらいよ』の50作目を作るなら、なんとかして桑田君に主題歌を歌ってもらいたいと強く願って直接に手紙を書きました。いわばラブレターです。その承諾の返事を聞いたときは本当に嬉しかった。桑田君が歌う「男はつらいよ」は、人を優しい気持ちにさせ、元気づけてくれる。「まあ、こんな私でもなんとか生きていけるんじゃないかな」観客の背中をポンと押してくれるような素晴らしい主題歌となり、記念すべき50作目のオープニングを飾るに相応しい名シーンとなりました。桑田君、「寅さん」の世界に飛び込んで来てくれてありがとう!「音楽寅さん」はまさに「映画寅さん」でもあった。渥美さんもきっと喜んでくれると思います。

桑田佳祐 コメント

山田洋次監督始め、山田組や松竹映画スタッフの皆様には、何と御礼を申し上げたら良いのか言葉もございません。
映画「男はつらいよ」には、我々世代も沢山の笑いと涙と感動のドラマを"魅せて"頂きました。渥美清さん演ずる「寅さん」には、あの方ならではの男の色気で、恋することのもどかしさ、家族や人間同士の絆、生きることの脆さ、儚さ、せつなさ、そして渥美さんご自身の「粋な口上」の数々や、お上手な歌などもたくさん教えて頂き、私も渥美清さん演じる「寅さん」を、どこかファンのひとりとして、真似をしながら生きて来たような気が致します。
昨年末、私のライブにまでわざわざお越し頂き、4時間越えのステージを最後までお立ちになったままご覧頂いた山田監督。憧れの人にお逢い出来た瞬間、私は全身から力が抜けてしまった事を忘れません。撮影スタジオでは、主題歌を歌うシーンで、私のおぼつかない「演技」に、暖かく御指導をいただきましたことは、一生の思い出です。
今回、この夢のようなお話を頂き、本当にありがとうございました。そして天国におられる渥美清さんには、心より深く感謝申し上げます。

なお、本作は既に撮影は昨年中に終了しており、現在本編編集作業中。

桑田佳祐

渥美清
©松竹

ストーリー

物語は諏訪満男の妻の七回忌の法要から始まる。柴又の帝釈天の参道に昔あった「くるまや」の店舗は新しくカフェに生まれ変わり、その裏手に昔のままの住居がある。法事のあと、ひとしきり昔話に花が咲く。寅がマドンナを連れてくるたび、家中が大騒ぎだったことなど・・・あれからもう半世紀の歳月が流れた。満男は、長い間サラリーマンをしていたがその合間に書いた小説が認められ小説家になっていた。そんなある日、満男の最新作の評判がよくサイン会をすることになる。ところがその列に並ぶ客の中に初恋の人、一度は結婚の約束までした女性、及川泉の姿を見て呆然となる。ヨーロッパで生活しているイズミは仕事で来日し、偶然サイン会に参加したのだった。イズミに再会した満男はサイン会もそこそこに「君に会わせたい人がいる」と小さなJAZZ喫茶にイズミを連れて行く。経営者の顔を見て驚くイズミ、それは20年以上前に奄美大島で会った寅の恋人のリリーだった。懐かしい人たちとの再会、そして思い返す寅さんのこと。それは満男とイズミにあたたかい何かをもたらしていく。イズミはその夜「くるまや」を訪れることになるのだが・・・。

映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』は2019年12月27日(金)より全国で公開!
原作・監督:山田洋次
出演:渥美清、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、後藤久美子、浅丘ルリ子
配給:松竹
©2019松竹株式会社