『ジョーカー』がイタリアで開催中の第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、9月7日[現地時間]に行われたコンペティション部門授賞式で最高賞となる金獅子賞を受賞した。

本作が出品された第76回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門での上映の際には、今年一番の拍手喝采とブラボーの嵐と共に、8分間のスタンディング・オベーションが巻き起こり、話題をさらった。そして今回、7日[現地時間]に行われたコンペティション部門の授賞式で最高賞となる金獅子賞を受賞した。カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭の世界三大映画祭でアメコミ作品が最高賞を受賞するのは初の快挙となり、映画史を大きく塗り替える受賞となった。

受賞式でトッド・フィリップス監督が「ホアキン・フェニックス抜きでこの映画はありえませんでした」と主人公アーサー=ジョーカーを演じたホアキン・フェニックスへの敬意を表すと会場からは、同意した観客から盛大な拍手が巻き起こり、加えて「ホアキンは、僕が知っている中で最も凶暴で、最も勇敢で、最も心の広いライオンです。そして、美しい心の持ち主です。“狂気の才能”とともに私のことを信頼してくれてありがとう」と金獅子賞にちなんでフィリップス監督がユーモアを交えて感謝を述べると「Grazie. Grazie mille.(イタリア語:ありがとう。本当にありがとう)」と返し、フィリップス監督がフェニックスをイメージして脚本を書き、撮影の6か月前から2人で話し合いを重ね、撮影が開始されても最終日まで日々ジョーカーに関する発見があったと明かすように監督とフェニックスが二人三脚で挑んだ作品で築いた信頼関係が垣間見える一幕もあった。

監督だけでなく、審査員の一人であるカナダの映画監督メアリー・ハロンは「フェニックスの素晴らしい演技に非常に感銘を受けました。映画祭のルールが無ければ彼は男優賞に輝いていたでしょう」と本映画祭の上位の賞はダブル受賞できないという規則が無ければフェニックスは男優賞を受賞していたと称賛を贈った。

フィリップス監督は「映画が完成した時は様々な感情があり、この映画で伝えたいことを観客は理解してくれるのかという不安もあった。ヴェネチアでのワールドプレミアで、映画祭のオーディエンスは私たちが表現したかったこと、伝えたかった事を理解してくれたと感じました」と不安が自信に変わった本映画祭のプレミア上映後の心情を述懐。「アメリカや世界中でも同じように受け入れてもらえることを期待しています。ホアキンと僕はこの映画を誇りに思っています。私たちはこの映画に誠心誠意努力しました。驚くかもしれませんが、この映画を制作することに対して多くの反対に直面しました。本当に誇りに思います」と完成まで困難な道のりについても振り返り、今回の受賞の喜びがいかに大きいものであるかを語った。

この受賞は、トッド・フィリップス監督の手腕や、ホアキン・フェニックスの演技だけでなく、フィリップス監督が“いちばん信頼できるパートナー”と明かす撮影監督ローレンス・シャー、美術デザイナーのマーク・フリードバーグ、衣装を担当したマーク・ブリッジスの仕事をはじめとする全てが評価された結果だ。もはやアメコミ映画としての枠を超えて、“歴史を変える”傑作として、証明された。同時に、ヒーロー映画とは一線を画し、“ひとりの孤独な男が悪のカリスマへと変わる切なくも衝撃のドラマ”として、ジャンルの限界を超えた作品の質の高さを裏付けるものとなった。

観客や批評家からは賛辞の声が続出し、ヴェネチア国際映画祭ディレクターのアルバート・バルベーラが「今年もっとも驚くべき映画。アカデミー賞は確実だ」と絶賛した通り、最高賞を受賞した本作。金獅子賞受賞作品が例年、今後の賞レースで話題をさらっていることからも、本作がアカデミー賞をはじめとする賞レースを席巻することは間違いない。

孤独だが心優しいアーサー(ホアキン・フェニックス)は、母からの「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という言葉を胸に、都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら、笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうとしていた―。孤独だが心優しかった男が“悪のカリスマ”に変貌していく衝撃のドラマを、アカデミー賞常連の実力派スタッフ・キャストで描くサスペンス・エンターテイメントである本作。第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門への正式出品、第44回トロント国際映画祭のガラ・プレミア部門に選出され、早くもアカデミー賞有力候補との呼び声が高まっている。

映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)より全国で公開!
監督・製作・共同脚本:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
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