吉岡里帆主演の体感型サスペンス・スリラー映画『見えない目撃者』の緊迫の逃走劇を繰り広げる“地下鉄シーン”の撮影秘話が明かされた。

交通事故によって自らの視力を失うとともに最愛の弟を亡くし、更には警察官の道までも絶たれた主人公の浜中なつめは、ある日、車の接触事故に遭遇、その事故現場で車の中から聞こえた女性の声から誘拐事件が起きていると考え、聴覚、触覚、嗅覚などで感じた手がかりを駆使し事件を追う。やがてそれは「女子高生連続殺人事件」に発展、猟奇的殺人犯は真相に近づこうとするなつめの身にも迫っていく―。主演の吉岡里帆は、悲しい過去を抱え葛藤しながらも、立ちはだかる障害や迫りくる危機に果敢に立ち向かう難役に挑み、俳優としての新境地を見せる。監督は、人間の内面を抉り取るようなサスペンスを得意とする森淳一。

予告映像でも緊迫感のある場面として映し出されるのが、犯人に襲われたなつめ(吉岡里帆)が、スマートフォンのビデオ通話を通じて、春馬(高杉真宙)に指示をもらいながら逃げ惑う地下鉄シーンだ。まさに本作ならではのシチュエーションで見せ場ともなる同シーンは3日間をかけて撮影が行われた。

通常、地下鉄の撮影は条件の難しさから、地方の交通機関で行われたり、運行終了後の深夜ロケとなることが多いが、本作では、リアリティを追求し、異例とも言える東京で日中の撮影を敢行した。もちろん地下鉄のスペースを好きなだけ利用できることはなく、時間とタイミングにリミットがある中で、なつめを演じる吉岡里帆はバディで盲導犬のパルと走り回り、尚且つ迫り来る犯人と、手にした電話口の春馬を相手に、緊迫した芝居を作っていかなければならない。

一方で、製作スタッフ陣はすべての動きがスムーズに進むように入念にリハーサルを重ね、スピーディーに撮影は行われた。吉岡をはじめとするキャストとスタッフらは、ある意味劇中のなつめ以上に一秒たりとも無駄に出来ない現場だった。このなかで、R15+のスリルを追求し、臨場感たっぷりの映像を描き出すことが出来たのは、これまでの撮影期間で築きあげてきたチームワークの良さの賜物と言っても過言ではない。

吉岡は撮影当時を振り返り、「本作に集まったスタッフの方々は、私が大好きだった映画に参加されている素晴らしい方々ばかり。皆さんの仕事に応えて、頑張らないといけないなと気合が入りました。苛酷な撮影の中、自分の中のプレッシャーを乗り越えることができたのは、森監督率いる現場のスタッフの方々に助けられたからです」と語る。

目が見えないというハンデを持ちながら、緊迫感たっぷりのスリリングな映像で疾走するなつめと電話口で指示する春馬の動向にハラハラさせられること間違いなしだ。どんなに辛い過去を背負いながらも最後まで諦めないなつめのように、時間という見えない敵と闘い、力を合わせて、過酷な撮影を乗り越えてきたキャスト&スタッフの渾身のワンシーンに注目していただきたい。

映画『見えない目撃者』は全国で公開中!
監督:森淳一
出演:吉岡里帆、高杉真宙、大倉孝二、浅香航大、酒向芳、松大航也、國村隼、渡辺大知、栁俊太郎/松田美由紀、田口トモロヲ
配給:東映
©2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ ©MoonWatcher and N.E.W.