オーディオコメンタリー収録時の様子


三谷幸喜監督最新作『記憶にございません!』のBlu-ray&DVD スペシャル・エディションに収録されるオーディオコメンタリー収録に三谷幸喜監督と中井貴一が臨み、撮影秘話を和やかに語り合った。

たくさんの笑いと感動を届けてきた三谷幸喜監督の映画監督作品8作目となる最新作。構想13年となる三谷監督に日本映画界屈指の俳優陣が集結。主人公の記憶喪失の総理大臣・黒田啓介に中井貴一、総理を支える怪しい首相秘書官・井坂にディーン・フジオカ、総理の訳ありの妻・聡子に石田ゆり子、政界を牛耳る邪悪な官房長官・鶴丸に草刈正雄、総理をゆする謎のフリーライター・古郡に佐藤浩市。さらに熱き事務秘書官に小池栄子、マイペースな官邸料理人に斉藤由貴、米国初の日系女性大統領に木村佳乃、白いスーツの野党第二党党首に吉田羊、総理の恩師に山口崇、職務熱心な警官に田中圭、あこぎな建設会社社長に梶原善、石を投げるのが得意な大工に寺島進ほか、三谷映画でしか見られないオールスターキャストによる笑いの競演を実現。

収録が行われた都内スタジオで久しぶりに顔を合わせた三谷監督と中井。コメンタリー収録に初めて参加するという中井に、三谷監督が「一番、評判が悪かったのは佐藤浩市とやった『ザ・マジックアワー』」と打ち明けると、中井も「うるさすぎたからなんですか?」と笑うなど、序盤から息の合ったトークが展開された。

オーディオコメンタリー収録時の様子

物語冒頭で総理の入院シーンが映し出されると、中井は「誰にも言ってないことがあるんですけど・・・」とさっそく口を開き、「足をベッドに強打して、右足のくるぶしが倍に腫れた。一週間くらい痛かった」と告白。すると三谷監督は「なんで言わないんですか?」と気遣うも、「変な心配をかけたくないし」という中井の返答には「だったら、今も言わないでほしかったな」と首をかしげるなど、和気あいあいとしたムードで、収録は順調に進んでいく。

続いて盛り上がりをみせたのは、映画公開後に大きな話題となった天海祐希の出演シーン。この“天海祐希がどこに出ているかわからない問題”には中井も激しく同意。三谷監督の「出ますよ!出ますよ!」との楽しそうな声に導かれて映像を注視するも、あまりに一瞬の出来事に「わかるわけないじゃないですか!これをみんながわかってたら、俺、役者やめるよ(笑)」と、画面の中央で芝居をする主演としての本音をこぼしていた。

オーディオコメンタリー収録時の様子

豪華かつ壮大な撮影セットについて話題が及ぶと、「今の映画界で、こんな風にセットを作ってもらえることはない。三谷映画は見事」とコメントする中井。最近では実際にある現場をロケ地として使う“ロケセット”が多くなっていると話し、「こんなに丁寧に作りこまれたセットで作品ができるのはすごいと思う」としみじみ。その後も「美術さんの腕を鈍らせないために、続けた方が良い」と熱を込めた。一方の三谷監督は自身を「図面だけだとイメージできない人間」だといい、「なるべく大きな部屋にして」などざっくりと希望を出し、セットが完成した段階で「そこから、どうおもしろくしていくか」と演出の裏側を語る一幕もあった。

コメンタリーには、キャストとのエピソードも続々登場。三谷作品初出演となる小池栄子について、中井は持っているポテンシャルがすごいと絶賛。三谷監督は「中井さんに『自信持って』と言われてがんばってる女優さんはいっぱいいる・・・みんなに言ってるんじゃないですか?」と冗談を交えつつ、小池の才能を称賛。またディーン・フジオカについて「しゃべるテンポが遅い、喋り出しも遅い」と三谷節を炸裂させると、中井は頷きながらも「とっつきにくいかと思ったら、ものすごく気さくな人でした。芝居中も(ディーン・フジオカが)崩れない」と感心しきりで、三谷監督もそれに同調。

オーディオコメンタリー収録時の様子

さらに三谷監督は「吉田羊と僕を出会わせてくれたのは、中井さん」と明かし、「最初は風変わりなロシア風の帽子をかぶっていて、アニメの登場人物かと思った(笑)」と振り返り、その後、劇団再結成時の舞台に吉田を起用したといい、「一番新人で、ガチガチに緊張していて。劇団員の梶原(善)とか西村(まさ彦)とか相島(一之)とか、(吉田に対して)『大丈夫だよ!』という感じだったのに、あっという間に追い越していきました」と笑っていた。

ここで、本作の見どころのひとつである中井と佐藤浩市の長回しシーンに突入。記憶喪失になった総理が、現状を隠しながら佐藤演じるフリーライターとバーで取引をする場面なのだが、三谷監督は「どう考えても長回しで観たかった」と振り返る。三谷監督が「二人芝居を2時間観たい」と話すほど好相性の二人だが、実は役へのアプローチ方法が正反対。ちょっとした動作まで現場で念入りにプランを立てる佐藤に対し、中井は現場に入るなり「さぁ、始めよう」と、飄々と撮影に臨むというのだ。

オーディオコメンタリー収録時の様子

中井の父は佐田啓二、佐藤の父は三國連太郎と、互いに“名優の息子”という共通点を持つ二人。中井は津川雅彦氏から聞いた話として、「うちの親父の台本には何も線が引いてないけど、三國さんの台本には事細かに書いてある。三國さんが芝居は“理論だ”と言うけど、親父は“空気だ”と。親子って似るんだなって思いましたね」と貴重な秘話を紹介。思いがけない役者論に、三谷監督は「おもしろいですね」と感慨深げだったが、中井は慌てて「俺も、何も考えてないわけじゃないですからね!」と念押し。三谷監督は「わかりますよ(笑)」と、絶大な信頼を寄せる中井の演技プランに理解を示していた。

収録中は、中井から三谷監督へ「どういう風に台本を書いている?」「カットする場面はどう選ぶ?」、三谷監督から中井へ「自分で映画を撮りたいとは思わない?」など、質問を投げ交わす姿も。外務大臣役の飯尾和樹の耳が大きい理由や、濱田龍臣をキャスティングした意外なきっかけといった本作にまつわるエピソードはもちろん、中井が思う“役者の引退”や、三谷監督が非日常の世界観を描く際のこだわりなど、ここでしか聞けない裏話を次々と明かした。

収録を終えた三谷監督は「中井さんと話すことでいろいろ思い出してきました。ベッドに足を打って痛かったとか、知らなかったことや、いろんな思いがわかって楽しかったですね」とコメント。見どころについては「僕の映画の1番の見どころは、俳優さんたちのお芝居です。今回の映画でも、素晴らしい俳優さんたちが画面の隅々で素晴らしい演技をしています。ブルーレイ・DVDでぜひ何回も繰り返して見て頂いて、そのお芝居をお楽しみ頂ければ幸いです」とコメントを寄せている。

『記憶にございません!』Blu-ray スペシャル・エディション

映画『記憶にございません!』ブルーレイ&DVDは2020年4月29日(水)発売!
■Blu-ray スペシャル・エディション 6,700円(税抜)
■DVD スペシャル・エディション 5,800円(税抜)
■Blu-ray スタンダード・エディション 4,700円(税抜)
■DVD スタンダード・エディション 3,800円(税抜)
脚本・監督:三谷幸喜
出演:中井貴一、ディーン・フジオカ、石田ゆり子、草刈正雄、佐藤浩市
発売元:フジテレビジョン 販売元:ポニーキャニオン
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