石川孝子


アクション・サスペンス海外ドラマ超大作最新シーズン『ブラックリスト』シーズン7の独占日本発放送を記念して、本シリーズに⻑年に渡って携わる⽇本人のサウンドエディター石川孝子へのオフィシャルインタビューが公開された。

2013年秋、全米ネットワークNBCにて放送スタートした『ブラックリスト』。ハードなアクションと緊迫した心理戦を織り込み、若者だけでなく大人の心をもつかむ本格派の超大型アクション・サスペンスでNBCの看板番組として人気を博している。主人公レディントンを演じるのはジェームズ・スペイダー。これまで以上に激しいアクション、そしてレディントンがエリザベスに対して守り通してきた秘密が、徐々に明らかになる待望のシーズン7が日本初上陸。

いよいよ独占日本初放送が開始された『ブラックリスト』シーズン7。本国アメリカでの好調な成績により、すでにシーズン8の製作も決定している大人気の海外ドラマシリーズだが、そんな『ブラックリスト』に長年携わる日本人スタッフがいる。2004年には海外ドラマ『デッドウッド~銃とSEXとワイルドタウン』にて第56回エミー賞の音響編集賞を受賞し、現在もハリウッドでサウンド・エディターとして活躍中の石川孝子。『ブラックリスト』シリーズにはパイロット版から携わってる石川がサウンド・エディターという仕事と本シリーズの魅力について語った。

サウンド・エディターという仕事について「テレビや映画の全ての音作りの責任を担う仕事で、最終的にミキサーが音をミックスダウンできるようにするために音を準備する人たちです。通常、サウンド・エディティングでは専門的な仕事に分かれていて、ダイアログ(セリフ)、サウンド・エフェクト(効果音)、フォーリー、それとミュージックに分かれています。ちなみに、サウンド・デザインというのもサウンド・エフェクトに含まれます」と、音に携わる分野だけでもかなりの種類があることを解説。

スタジオの様子

『ブラックリスト』で石川はサウンドエフェクトのバックグラウンドを担当している。石川さんはサウンド・エフェクトの中でバックグラウンドの重要性を「バックグラウンドの大切さはすごくあるんですが、サウンド・エディターの中でもないがしろにしてしまう人がいるんです。でも、私はバックグラウンドが基本と言いますか、人間の精神とかそういうところに関わっていると思うんです。ここは外国なんだとか、室内にいるけど外は雨が降っているんだとか、そこが異様な場所なんだとか、例えば、地下のシーンでもそんなに怖くない地下があったり、怖い地下があったりと、それはバックグラウンドだけでなく役者さんたちの演技もあるんですけど、視聴者の目や耳という五感ですよね。そういうのを自分はいじっているんじゃないかと思っています。だから、バックグラウンドというのは地味ではあるんですけどね、影響力が実はあると思っています(笑)」と笑顔で語った。実際にはセットなどで撮影されている映像にバックグラウンド音がつけられることによって、ドラマの中のリアルな雰囲気が作られているそうだ。

『ブラックリスト』をパイロット版から全シリーズ担当している石川だが、その中で難しかった作業を聞いてみると、「『ブラックリスト』は今までやってきたテレビドラマの中で一番バックグラウンドを入れるのに大変ですね。毎回、登場人物たちが世界中のいろんな場所に行くので。エリザベスたちの本部である「郵便局」がありますけど、あれは毎回同じような音が使えるんですが、『ブラックリスト』はどんどん場所が変わるんですよ。私が知らないような国に行かれたりすると、地図を見ながら『ここはどこ?』なんて思ったりしていました(笑)特に難しかったのは、シーズン1で、ブラックリスターの一人であるベルリンの乗った飛行機が墜落するエピソードですね。シーンのカットがあっちの飛行機になったり、こっちの飛行機になったりとかあって、とにかくカットが多くて難しかったです。『ブラックリスト』はとにかく違う場所へのカットが異常に多いので、時間がかかります」と様々な国を行き来する『ブラックリスト』では、その国に合った雰囲気の音をつける必要があるため、苦労が多いことを明かした。

石川孝子

続いて、石川がどのようにハリウッドで働くようになったかの経緯についての話題に。長年ハリウッドで活躍する石川だが、渡米したきかっけは音楽だったそうで、「渡米後、英語の勉強をしながら音楽のレコーディング・ミキサーになりたいと思うようになって、バークリー・カレッジ・オブ・ミュージックという音楽大学で勉強を始めたんです。そこを卒業する頃に、アメリカでしばらく働いて経験を積みたいと思ったんですけど、外国人なので就労ビザがないために音楽スタジオへの就職が難しかったんですね。それで、バークリー時代に2年ほど無償でインターンをしていたんですけど、そこで知り合ったミキサーの方が、ロサンゼルスにある音楽スタジオを紹介してくれて、西海岸のほうが私の探しているような業界に入りやすいという情報も聞いたので、ロサンゼルスに来たんです。でも、レコーディング・スタジオで働くにはインターンからまた始めないといけなかったんですよ。そうなってくると、外国人にとってはビザの関係とかでアメリカに残るのは難しいんですね。そんなことがあって、いろんなスタジオに電話していたら、サウンド・エディターという職業があるということがだんだん分かってきたんです。それで、最初に思っていた音楽のスタジオではないんですが、アメリカで経験がしたいし、学校で勉強したことを無駄にしたくないという思いもありましたし、自分の学んでいたことがサウンド・エディターという仕事に使えると分かったので、そういう会社も範囲に入れて電話をしたり、履歴書を送ったりして雇ってもらったのがスタートでした」と、現在のサウンド・エディターとい う仕事を始めるきっかけを教えてくれた。

そんな石川は『ブラックリスト』シリーズの魅力について、「映画とかテレビドラマ作りの教科書みたいなお決まりの展開があんまりないことですね。余計なシーンがあんまりないのも好きなところです。いつまでも一つの話が続かなくて、何エピソードかするとすぐ解決するんですけど、その後ろにまた話が入り組んでいて、さらに話が進んでいくので、ズルズルと一つの話で持って行かれないというのも好きですね。それから、意外に登場人物たち全員が真⾯目なんだけど、パーフェクトじゃないところですかね。それにレイモンドが突然くだらない話をするところです(笑)シリアスなシーンなのに、全然関係ない話をするでしょ。そういうのは個人的に大好きですね、笑いながら何度も見たりしています(笑)あと、陸運局のグレンのような変なキャラクターが出てくるのが楽しいですね。アメリカに住んでいると分かるんですけど、陸運局は本当にドラマみたいに混んでいるんですよ(笑)それに、レイモンドに頼まれていつも拷問するミスター・ブリムリーですね。いつも何の拷問をしているのか分からないのが⾯⽩い(笑)ああいう人たちが出てくるとうれしいですね。長い間やっている中で、そういう人たちが同じような感じで出てきて、つながっている感じがあって好きです。それと、個人的に登場人物の中ではデンベが一番好きです。レイモンドへの忠実さがいいですよね。ところが彼もいろいろ悩んだりしていて、真⾯目なんだけどパーフェクトじゃないというようなのがあって好きです」と、全シリーズに関わっているからこその、思い入れの強さを見せた。

スタジオの様子

いよいよ独占日本初放送が開始となったシーズン7を「『ブラックリスト』が始まってから、みんなエリザベスのお母さんであるカタリーナのことがずっと気になっていると思うんですよ。だからシーズン7の見どころは、彼女はいったいどういう人なんだろうかというところですね。ただ、それをここで言っちゃうとネタばれになってしまうので、そこはお楽しみです(笑)カタリーナというのは、みんなが思っているような人なのか、それとも違うのかというところですね。みんな、想像を膨らませていたと思うんですよ。エリザベスもカタリーナは自分のお母さんですから、会いたかったんだけど、さてどうなるのかという感じです」と日本のファンに向けてアピールした。シーズン7を視聴する際は、今まで以上に“音”にも注目だ。

海外ドラマ『ブラックリスト』シーズン7はスーパー!ドラマTVで放送中!
【二カ国語版】毎週火曜22:00 ほか
【字幕版】毎週火曜24:00 ほか
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