第87回アカデミー賞で作品賞・監督賞など4部門を受賞した映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)はニューヨークの演劇界を舞台に、マイケル・キートンらキャスト陣による迫真の演技が魅力的な作品だ。

本作はブロードウェイを舞台にしており、撮影も実際にブロードウェイにある劇場を使って行われた。撮影を担当したのはエマニュエル・ルベツキで、この前年の『ゼロ・グラビティ』(2013)、本作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)、そして翌年の『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)と3年連続で撮影賞に輝いている。本作のカメラワークは、全編が“長回しワンカット”による撮影に見えるもので独特な世界観を作り出している。

かつてはヒーロー映画で一斉を風靡したが、近年はヒット作がない・・・そんな主人公リーガンを演じるのは、かつて『バットマン』(1989)でバットマン/ブルース・ウェイン役を演じたマイケル・キートン。マイケル・キートンはシリーズ2作目の『バットマン リターンズ』(1992)を最後にバットマン役から降りており、その後はいわゆる“当たり役”には恵まれない時期が続いた。そして本作と翌年に出演した『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)で2年連続でアカデミー賞作品賞に輝くという栄光を手に入れた。

本作は“元映画界のヒーローがブロードウェイにやってきた”という設定を活かしたセリフが多く盛り込まれており、アメコミ原作映画ファンならおもわず笑いがこみ上げてしまうシーンもある。共演者にも注目で、ブロードウェイの有名役者マイク役をエドワード・ノートン、リーガン(マイケル・キートン)の娘サム役をエマ・ストーン、マイクと同棲中の恋人レズリー役をナオミ・ワッツと豪華キャストが名を連ねる。特にマイケル・キートンとエドワード・ノートンとの掛け合いは必見だ。

あらすじ

映画シリーズ4作目を断って20年、今も世界中で愛されているスーパーヒーロー“バードマン”。だが、バードマン役でスターになったリーガン(マイケル・キートン)は、その後のヒット作に恵まれず、私生活でも結婚に失敗し、失意の日々を送っていた。再起を決意したリーガンは、レイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出と主演も兼ねてブロードウェイの舞台に立とうとしていた。ところが大ケガをした共演者の代役として現れた実力派俳優のマイク(エドワード・ノートン)に脅かされ、アシスタントに付けた娘のサム(エマ・ストーン)とは溝が深まるばかり。しかも決別したはずの“バードマン”が現れ、彼を責め立てる。果たしてリーガンは、再び成功を手にし、家族との絆を取り戻すことができるのか?

本作のロケ地となったニューヨーク・ブロードウェイより、劇中でも印象的な2か所を紹介する。

本作の舞台「セント・ジェームズ劇場」


本作のほとんどが撮影されたのがブロードウェイに実在するこの劇場。劇中でも実際にすぐ正面にあるマジェスティック劇場が映りこむ場面があるが、マジェスティック劇場では映画撮影時と同じく今も『オペラ座の怪人』が上演されている。本作の撮影は2013年4~5月に行われた。現在は、日本でも今年9月より劇団四季が『アナと雪の女王』の邦題で開幕を予定している『Frozen(原題)』が2018年3月より上演されている。

リーガンとマイクが訪れるバー「the Rum House」


劇中では、劇場を出たところで待ち合わせたリーガンとマイクが歩きながら向かった先にあるバー。すぐ隣にあるような演出だったが、実は3ブロック先の通りにある。シックで落ち着いた店内ではジャズバンドの心地よい音色とともに、ラム酒のカクテルが提供される。

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監督・脚本・製作:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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