佐藤快摩監督の劇場デビュー作品『泣く子はいねぇが』の公開記念舞台挨拶が11月21日(土)に新宿ピカデリーで行われ、仲野太賀、吉岡里帆、寛 一 郎、柳葉敏郎、佐藤快磨監督が登壇した。

本作は、監督・脚本・編集の佐藤快磨が、秋田県・男鹿半島の伝統文化「男鹿のナマハゲ」から、“父親としての責任”、“人としての道徳”というテーマを見出し、親になることからも、大人になることからも逃げてしまった主人公が、過去の過ちと向き合い、不器用ながらも青年から大人へ成長する姿を描いた完全オリジナル作品。

歓声の中、呼び込まれて一同が舞台に登壇すると、仲野は「誇らしい気持ちでいっぱいです。この映画が公開してみなさんにどう受け取ってもらえるのかとても楽しみで、わくわくしています」と挨拶し、吉岡は「余白のある素敵な作品なので、みなさんがどういうふうに感じて観てくださるんだろうと、すごく興味があります」と挨拶した。柳葉は「自分の出身の秋田から発信できるということで、ちょっぴり責任を背負いながらやらせていただきました」と笑みを浮かべた。

柳葉との共演に仲野は「強烈な縁を感じました。僕にとって柳葉さんはお正月に柳葉さんに会いに行くという仲野家伝統行事があるんですけど。そこで小さい頃からわんさか泣かされましたし」と苦笑い。「秋田の人にとってのナマハゲだとしたら僕にとっては“ヤナギバ”という。本当に身近な存在で、まるで親子のような関係性の共演ができたというのは役者をやっていて感慨深いものがありました」と振り返った。柳葉は「あえて太賀と呼ばせていただきますが、本当に生まれたときから知っていまして。来る度にちょっかい出して帰るときはベソかいて帰るという。そんな彼がこうしてこの場にいて、彼の作品の中で共に出来るという・・・胸がいっぱいです」と感極まった様子を見せた。

役作りについて吉岡は「現場で一緒にお芝居をした娘役の子役の子が秋田の子で。存在感が自然体なので、あ・・・子供ってこんな感じなんだ」と役の難しさを語り「初めなかなか笑ってくれないとき、どうやって笑わせようみたいな。どうしたら子供って喜んでくれるのかなというのはずっと考えました」と振り返った。

舞台挨拶のなかで、ふるさとを自慢する一幕があった。そこで東京出身の仲野は「出会い」と発表し「東京には出会いもあれば別れもある。もう僕の周りには誰もいないかもと途方に暮れたその先でも、東京には手を差し伸べてくれる人がいるような。出会いや別れが交錯しているのが東京の持ち味だと思います」とコメントし、京都出身の吉岡は「観光地が激近」と発表し「遠出しなくていい。どこに行っても賑やかで、街の人達が観光地であると誇りを持っている感じがしていて。人を招き入れる体制が出来上がっている感じが面白いなと思います」とアピールした。

最後に仲野は「この作品は、映画というものを誇りにしているスタッフさんがこれ以上にないくらい愛情を注いで映画を作ってくれて。秋田の男鹿の佐藤監督を応援する会のみなさんが徹底的に作品の土台を支えてくれて。本当にたくさんのキャストの方が覚悟を決めてくれて。色んな人の想いがこの作品に詰まっています。胸を張ってこの作品を送り出したいと思います」とこみ上げる気持ちを抑えながら本作をアピールし、舞台挨拶の幕を閉じた。

【写真・文/蔭山勝也】

映画『泣く子はいねぇが』は2020年11月20日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開!
監督・脚本・編集:佐藤快磨
出演:仲野太賀、吉岡里帆、寛 一 郎、山中 崇、余 貴美子、柳葉敏郎
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
©2020「泣く子はいねぇが」製作委員会