『明日の食卓』の完成報告会が5月5日(水・祝)に都内で行われ、菅野美穂、高畑充希、尾野真千子、柴崎楓雅、外川燎、阿久津慶人、瀬々敬久監督が登壇した。

椰月美智子による衝撃作を映画化した本作に挑むのは社会派エンタテインメントの旗手である映画作家・瀬々敬久監督。10年ぶりの映画主演となる菅野美穂がフリーライターで2人の息子を育てる留美子役に挑み、やんちゃ盛りの息子たちを育てながら仕事復帰を目指す母親をパワフルに演じる。シングルマザーで大阪に暮らす加奈には高畑充希。若くして子どもを産み、日々非正規の仕事を掛け持ち、時間に追われながらも息子のために健気に生きる姿が心を打つ。そして年下の夫と優等生の息子に囲まれ、一見何不自由なく幸せを手に入れているあすみを尾野真千子が丁寧に演じている。子を持つ親なら誰もが直面する社会問題を、豪華女優陣が観るものの問題意識を喚起しながら、ハラハラドキドキ感とともにクライマックスへと向かわせ、ラストには見事に希望の光を見出す。

今回、10年ぶりとなる映画主演に挑んだ菅野だが、「その間に私も子供が生まれて、今回の母親役をいただいて、世の中のお母さんが自分を重ねてしまう役だと思いました」と感慨深げにコメント。さらに撮影がコロナ禍と重なったことで「子どもと向き合う時間があっての撮影だったので、運命的なタイミングだった」と振り返った。

一方で子育て経験のない高畑は「全部が手探りですごく難しくて」と明かしつつ「土地のなつかしさは育ってきたのとリンクした」と大阪での撮影に助けられた部分を明かした。また尾野も「(役柄に対して)問題が多い」と振り返りつつも「現実を考えると少ないほうなんだろうな」と想像する場面もあった様子だった。

この日は、それぞれの子ども役を演じた3人も登壇したが、「どこからそのパワーが出てくるのか」と演技の力に圧倒されたという尾野は「すごいんですよ、私も恐怖だと思うくらいどんどん変わっていく。なんか・・・怖かったよ」とコメントすると、子ども役を演じた柴崎は「すいません・・・」と返し、会場は笑いに包まれた。

最後に尾野は「映画館でこの親子を見ていただきたく、心を込めて力いっぱい作りました。いつかみなさんが楽しく映画館に来ていただけるように心から願っています」、高畑は「ちょっと重たい話ですが、楽しんでいただけると嬉しいです」、菅野は「日常の中に新鮮な句読点をつけられるきっかけになるんじゃないかと思います。物語が持つ力は人を励ますことを改めて感じています。こういう形で完成披露できたのも奇跡だし、この後どうなるか分かりませんが、映画館で公開できたら旦那さんを誘っていただけたら」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

映画『明日の食卓』は2021年5月28日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国で公開!
監督:瀬々敬久
出演:菅野美穂、高畑充希、尾野真千子、柴崎楓雅、外川燎、阿久津慶人/和田聰宏、大東駿介、山口紗弥加、山田真歩、水崎綾女、藤原季節、真行寺君枝/渡辺真起子、菅田俊、烏丸せつこ
配給:KADOKAWA/WOWOW
©2021「明日の食卓」製作委員会