『HOKUSAI』の“公開記念!大波トークイベント”が5月13日(木)に江戸東京博物館で行われ、葛飾北斎の青年期役・柳楽優弥、葛飾北斎の老年期役・田中泯、ゲストとして書家・紫舟が登壇した。

時は江戸。幕府によって表現者たちが自由を奪われていた時代に、自分の道を貫き、ひたすら画を描き続けた絵師・葛飾北斎。名だたる印象派アーティストたちを刺激し、あらゆるジャンルで世界に影響を与え続ける北斎だが、若き日の資料はほとんど残されておらず、その人生は謎が多い。本作は、歴史的資料から残された事実を繋ぎ合わせて生まれたオリジナル・ストーリー。柳楽優弥と田中泯がW主演で若き日と老年期の北斎を体現する。北斎を見出す版元の蔦屋重三郎には阿部寛、晩年の北斎に最も影響を与える戯作者の柳亭種彦を永山瑛太、北斎の一つ先を行く美人画の大家・喜多川歌麿を玉木宏が熱演。

柳楽優弥が青年期、田中泯が老年期を演じた葛飾北斎生誕の地・東京・墨田区にある江戸東京博物館で行われた今回のイベント。江戸東京博物館所蔵の「あの波」(冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏)を含む貴重な北斎作品を鑑賞し、作品の持つ力強さや北斎が込めた想いを全身に感じながらイベントに登壇した。

「『HOKSUAI』という映画が持つ力強さだったり、葛飾北斎の生き方だったり、北斎自身のエネルギーが伝わったら」と本作が持つメッセージ性をアピールした柳楽に続き、「二年前の撮影の日々がしっかりと残っています。全力以上の時間を過ごしてきました」と本作にかける思いを明かした田中。

2人はイベントに先駆けて北斎作品を鑑賞してきたが、「圧倒されました。エネルギーをもらいました」と感慨深げに振り返った柳楽。間もなく公開する本作を引っ提げて鑑賞したことについて「70歳になっても満足していないというモチベーションで絵に向き合っていた姿がかっこいいと絵を見て感じました。(田中)泯さんも10代からずっと続けられていることだったり、ひとつのことにしっかりと向き合っている姿を見ると勇気をもらえる」とコメントすると、田中は「比較にはならないです(笑)」と照れ笑いを浮かべつつ「驚異的ですね。果てしないものに立ち向かっているというか、想像を絶します」と改めて北斎の絵に対する情熱を深く考えた様子を見せた。

イベントには書家の紫舟も登壇。映画について「見た後に制作意欲が湧いてきて、大きな書を70枚くらい書き上げました。普段より質もよいものが書けました。生きる力をたくさんもらえたました」と大絶賛した紫舟。

さらに演技についても触れ、柳楽について「もっとも難しい筆の所作がものすごく美しいんです。プロになると呼吸と筆があってくる。呼吸をしながら手にしっかりと目がついているような美しい筆の所作だと思い、見とれてしまいました」と称賛すると、「ありがとうございます。汗かいてきました・・・」と緊張した面持ちとなった柳楽。田中についても「視覚でとらえることができない風を見つけた時の北斎の狂気に満ちたような笑顔が、ずっと夜中に出てきます。熟練された表情だと思いました」とコメントした。

イベントでは紫舟による北斎をイメージした作品のライブパフォーマンスを行い、これを目の前で見た柳楽は「圧倒されるというか・・・。北斎を通じて生命力を感じています」と作品に見入っていた。

最後に柳楽は「北斎からは強い生命力だったり、生き抜くという気持ちを感じました。北斎のメッセージは今の時代に必要なんじゃないかと今日を通してさらに感じました。多くの方の背中を押せる作品です」、田中は「(北斎は)好きなことを精一杯やって、運よく全うできた。生き抜く強さは人によって差があるとは思いません。みんな同じように力をもっていると思います。うまく発揮できるか、私たちは考え続けなければいけない。北斎にすごい力があるとすれば、キャッチし感じ、心の中で叫ぶ。それが全身に及んでいた。この強さは間違いなく誰にでもあると僕は思います」とメッセージを贈った。

【写真・文/編集部】

映画『HOKUSAI』は2021年5月28日(金)より全国で公開!
監督:橋本一
出演:柳楽優弥、田中泯、玉木宏、瀧本美織、津田寛治、青木崇高、辻本祐樹、浦上晟周、芋生悠、河原れん、城桧吏、永山瑛太/阿部寛
配給:S・D・P
©2020 HOKUSAI MOVIE