『オマージュ』
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第34回東京国際映画祭コンペティション部門『オマージュ』。

「コンペティション」部門は、2021年1月以降に完成した長編映画を対象に、113の国と地域から応募された1,533作品の中から、厳正な審査を経た15本の作品が期間中に上映される。

仕事に行き詰まった韓国の女性監督のジワンは映画の修復の仕事を依頼される。1960年代に撮られた「女判事」という作品だが、そのフィルムは音声の一部がかけたり、検閲により一部のシーンが切り取られていた。ジワンは子育てをしながら修復作業を行うが、その作業は自国の女性映画監督が辿った苦難な道のりを明らかにしていく。
映画『パラサイト』(19)で家政婦を演じたイ・ジョンウンが主演を務める。

この映画祭のテーマに相応しいと思われる本作は、女性というだけで業界で生きていくのが大変だった時代を描いている。時代とともに失われていく35mmフィルムに焦点があてられており、古き良きものをどう残していくか考えさせられる作品でもある。監督としてだけではなく、ジワンの家族も描かれており主婦として、女性として生きる姿が印象的だった。また、本作では昔の韓国のモーニングコーヒーの定番だという、コーヒーに生卵を入れるシーンがあり衝撃を受けた。悲しい作品ではないが最後には目頭が熱くなる物語。全ての女性監督へオマージュされている作品だと感じた。

【文/片岡由布子】

第34回東京国際映画祭は2021年10月30日(土)~11月8日(月)に日比谷・有楽町・銀座地区で開催!
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