『ベイビー・ブローカー』の凱旋記者会見が6月13日(月)に都内で行われ、是枝裕和監督が登壇した。

本作は “赤ちゃんポスト”に預けられた赤ん坊を巡り出会っていく人々が描かれるヒューマンドラマ。古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていくが…。こうして、<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、予期せぬ特別な旅が始まる―。

前日まで韓国においてキャストとともに舞台挨拶等のプロモーション活動を行い、3週間ぶりに帰国して、成田空港から直接会見場に駆け付けた是枝監督。カンヌ国際映画祭でソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞した際は、当日夜にお祝い会をしたといい「幸せな夜でした。役者が褒められるのが嬉しい」と笑顔を見せた。受賞に関しては「僕の演出というよりは」とあくまでソン・ガンホの演技への受賞という気持ちが強いということで、「韓国の監督にとっては『僕らのソン・ガンホ!』という気持ちがどこかにあるんじゃないかと思うので申し訳ない」と謙遜した。受賞後の韓国への入国の際は、多くのファンが駆け付けていたといい、「空港の外まであふれていて大変なことだなと」と驚いた様子だった。

韓国での大規模な公開規模に「大丈夫なのかな、と…大丈夫でしたけど(笑)僕が持っているキャパシティをはるかに超えてるなと。『犯罪都市2』とボックスオフィスを競うのは大変なこと」と笑いつつも、大ヒットスタートを切ったことに「みなさん嬉しそうだったのでよかったです」とコメント。韓国では「観た方の反応は悪くないと思う」と控えめに答えつつも、「(観客に)届いているんじゃないかと思います」と語った。

子役には事前に台本を渡さない演出方法をとる是枝監督だが、本作でも同じ手法だったようで、通訳を介してセリフを渡したというが、「とても勘のいい子だった。映っているものは最高だった」と振り返りった。一方で「楽しくて仕方なかったんです、映画の現場が。はしゃいで止まらなくなっちゃった」と明かしつつも「どんなにはしゃいでも怒ったりはしない」と振り返った。さらに、そんな撮影現場では「カン・ドンウォンが面倒を見てくれるようになって。みんな静かしたい気分のときにはドンウォンが連れて遊びに行って、スケボーを一緒にやってくれたり、彼は面倒見がいい」と明かした。

撮影現場には、1時間ほど早く来ていたというソン・ガンホについて「自分のお芝居だけではなく、つないだものを全部見て。基本全て褒めてくれるんですけど、『最高だったけど、(自分のセリフが)今使ってるテイクじゃなくて、2つ前のテイクくらいがいい。最終的な判断は任せるけど比べて欲しい』と毎日やっていて助かった」と言葉が違うことからソン・ガンホの助言が手助けになったといい、「お芝居に対する基準が高くて、頼りになりました」と称賛した。

【写真・文/編集部】

『ベイビー・ブローカー』は2022年6月24日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン
配給:ギャガ
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