『窓辺にて』の完成報告イベントが10月11日(火)に都内で行われ、稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、今泉力哉監督が登壇した。

『愛がなんだ』『街の上で』『猫は逃げた』など次々と話題作を連発する今泉力哉監督の17作目となる完全オリジナル作品『窓辺にて』は、今泉ワールドの特徴でもある“等身大の恋愛模様”に加え、これまで以上に”好きという感情そのもの”について深く掘り下げて描き切った、美しい大人のラブストーリーとなった。その今泉監督作に初参加するのが、数々の映画やドラマなどで唯一無二の存在感を放ち観客を魅了し続ける稲垣吾郎。本作では、妻について“ある悩み”を持つフリーライター・市川茂巳を演じる。

10月24日(月)より開催される第35回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されることが決定している本作だが、『半世界』(第31回/2018年)で初めて同映画祭に参加した稲垣は「憧れの東京国際映画祭のカーペットを歩くことができて感動した」と振り返り、同年の同部門に出品された『愛がなんだ』で今泉監督と挨拶したことが出会いだったという。その後もリモートでの対談もあったという2人だが、今泉監督はその頃には稲垣を起用した作品を考えていたという。

本作について、稲垣は「僕の事なんでこんなにわかっているんだろうと」と思ったと言い、「パブリックイメージの僕より、心の内側のことまで分かってるなという印象です」と初めて脚本を読んだ時の事を振り返った。その今泉監督は「作品を観させていただいたところから想像したので、そうなっていたなら嬉しい」と笑顔で返した。これに「素の自分があふれ出てきてしまう、自分はこう演じていたつもりでもきっともれてる。そこをくみ取っていただけたのかと思うとすごく嬉しい。たぶん監督は僕のことが好きだったと思う」という稲垣に今泉監督は「そうですね」と返し、笑いを誘った。

稲垣との共演について中村は「こんなに心でお芝居をしてくださるんだと感じて。いろんな感情を引き出してくださったというのが印象的でした」と振り返り、稲垣は「楽しかったです。中村さんに引き出してもらったことが多かった」とコメントした。

長回しシーンもあるというが、これは「現場でお芝居を見て」急遽決まったという。このことに「俳優にとって最高の言葉です」と役者としての喜びがあったという稲垣。さらに「最初にワンカットで撮って、切り替えして撮るかと思ったら『撤収』ってなったときに中村さんと目があいました。『え、終わり?』って」と明かし、撮り直すことなく撮影を終えたことに喜びがあったという。

一方で稲垣との共演シーンが多いという玉城は「脚本を読んでみると、どこか知っている感情。10代の頃に感じたことがある」と共感することが多い役だったという。稲垣は「長い。シーンが」と言い、「インして話しかけさせてもらった時に、『セリフ長いですね』とお話した記憶があるくらい(笑)」という玉城。長回しについては玉城は「緊張感を自分で調整もできるというのが楽しかった」と語った。

また、「今までに映画とか文学で見たことがないセリフ」があったという稲垣は「僕が刺さったのは、『理解なんかされないほうがいい』というセリフを言うんですけど、分かるなと。この仕事は期待をされたり、理解していただけるのはうれしいですけど時にプレッシャーになったり」と共感している様子で「深いなと思った。今後の自分にとっても」と感慨深げに語った。

本作にちなんで恋愛観を聞かれた稲垣は「自然な成り行きに任せるのが基本です。迷わない、意外と本能的かもしれない。考えるように思われるかもしれないけど、恋愛に関しては無邪気かもしれない。今年で49なので、そろそろ最後の恋はね…それも嫌だな(笑)これからも楽しみですね、自分自身が」と照れ笑いを浮かべた。中村は「理屈じゃないことだと思います。好きと思ったら歯ブラシもタオルも共有できるくらい」と言うと、稲垣は「そうですか」と驚きを隠せない様子。玉城は「こんなにたくさん人が生きているのに好き同士ってレアだから、楽しめばいいのかなと思います」と答えた。

最後に稲垣は「いろんな登場人物がいて、言葉に出来ないいろんな感情が溢れている映画です。見ている人がその中から共感できるような思いを拾い上げていただいて楽しんでいただければと思います」と本作をアピールした。

【写真・文/編集部】

『窓辺にて』は2022年11月4日(金)より全国で公開!
監督・脚本:今泉力哉
出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、倉悠貴、穂志もえか、佐々木詩音/斉藤陽一郎、松金よね子
配給:東京テアトル
©2022「窓辺にて」製作委員会