第35回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが11月2日(水)に東京国際フォーラムで行われた。

10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催される第35回東京国際映画祭。今回のクロージングセレモニーでは各部門の受賞者・作品が発表された。

東京グランプリ/東京都知事賞が贈られたのは『ザ・ビースト』。審査委員長のジュリー・テイモアからは「この映画はまさに傑作です」「刺激的で感情的な作品に仕上がっている」と絶賛のコメント。最優秀監督賞も受賞したロドリゴ・ソロゴイェン監督からはビデオメッセージが寄せられ、「2つの賞を受賞できることを心より光栄に思います」と喜びを見せた。

最優秀男優賞が贈られたのは、東京グランプリを受賞した『ザ・ビースト』のドゥニ・メノーシェ。審査委員のシム・ウンギョンは「審査委員は全員圧倒された」とコメント。ドゥニ・メのーしぇからはビデオメッセージが寄せられ、「いつか日本で映画を作りたいものです」と笑顔を見せていた。最優秀女優賞が贈られたのは『1976』のアリン・クーペンヘイムで、この賞では審査委員は満場一致という。アリン・クーペンヘイムからはビデオメッセージが寄せられ、「本当にありがとうございます」と日本語で締めた。

観客の投票で選ばれた観客賞は『窓辺にて』に贈られた。コンペティション部門への出品は2回目となる今泉力哉監督は「小さな、映画の題材にならないような悩みとか、個人的な問題を恋愛を通じて、コメディを含めて作り続けています」と話し、また、11月4日(金)に公開を控えている本作だが、主演の稲垣吾郎が新型コロナウイスに感染したことが発表されていることに「初日にも登壇できないという状況です」話、「戦争だけじゃなくてコロナもそうですし、世界にはいろんな問題がありますが、そこにある小さな喜びとか、自分なりにできることを考えていこうと思います」とコメントした。

ほかに、最優秀芸術貢献賞が『孔雀の嘆き』、審査委員特別賞が『第三次世界大戦』、アジアの未来 作品賞は『蝶の命は一日限り』に贈られた。

授賞式には小池百合子東京都知事も駆け付け、「世界は厳しい状況にあります。様々な困難を克服して明るい未来に進んでいくためには、芸術・文化が持つ多様性が欠かせません。あらゆる違いを受け入れて、世界を一つにつなげる力を持っています。映画祭を通じて、相手の個性や考えを尊重し、一人一人の心に夢、希望が育まれる社会が実現することを期待をしています」とメッセージを送った。

審査委員長を務めたジュリー・テイモアは「私たちの住む世界と異なる文化を持つ暗い面、明るい面を見ること、それが映画祭の素晴らしい真意だとかんじます。」とコメントした。

今年で2年目の設置となったAmazon Prime Videoテイクワン賞は受賞なしという結果。審査委員長の映画監督・行定勲は「非常につらい思いです。ただファイナリストに残った人の中に希望を見出せる作品がありました。来年、さらなる飛躍をしていただいて応募してきていただけたら」と語った。

なお、第35回となる今年の上映動員数と上映作品数(速報値、2日は見込み動員数)は、10日間で59,541人/169本(第34回 29,414人/126本)。

受賞結果

コンペティション部門
東京グランプリ/東京都知事賞『ザ・ビースト』
審査委員特別賞『第三次世界大戦』
最優秀監督賞『ザ・ビースト』ロドリゴ・ソロゴイェン
最優秀女優賞『1976』アリン・クーペンヘイム
最優秀男優賞『ザ・ビースト』ドゥニ・メノーシェ
最優秀芸術貢献賞『孔雀の嘆き』
観客賞『窓辺にて』
アジアの未来部門
作品賞『蝶の命は一日限り』
Amazon Prime Videoテイクワン賞
該当なし

【写真・文/編集部】

第35回東京国際映画祭は2022年10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催
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