小雪主演映画『桜色の風が咲く』の本編映像が解禁された。

本作は、視力と聴力を次々と失いながらも、世界ではじめて盲ろう者の大学教授となった、東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野教授・福島智さんと母・令子の実話にもとづく物語。智を支える、大らかで凛とした母・令子役に小雪。12年ぶりの主演作で新境地を拓く。智役に、気鋭の若手俳優・田中偉登。夫・正美役に吉沢悠。ほかに、リリー・フランキー、朝倉あき等が顔を揃える。

今回、母・令子が、盲ろう者である智との日常の中から考案し、現在、新たなコミュニケーション手段として多くの人々に希望を与え続けている“指点字”誕生の瞬間を描いた本編シーン映像が解禁された。映像は、視力だけでなく18歳で聴力も失った智が、暗闇と無音の宇宙空間に放り出されたような孤独を感じながら日々を過ごす中、未来を変える出来事が起きる場面を映し出している。

外出する時間が迫る中、母・令子の忙しい様子がわからない智は、「まだ準備できとらんのか 早よしな 病院遅れるで」「9時に出るって言うてたのに 間に合わんやないか」と文句が止まらない。令子も慌てて食器を片付けるが、しまいには「なんで最初から計画的に動かんかなぁ 昔から あんたそういうとこあんで」という智の言葉に、「もう頭きた!」と言い返そうとするが、点字板が見当たらない。そのとき、智の手をみて何かを思いついた令子は、智に歩み寄り、智の指に点字タイプライターを押すように「さ、と、し わ、か、る、か?」と一文字一文字伝えていく。すると「ああ 分かるで」と笑顔で答える智をみて令子も微笑み返す。

この場面は、本作のモデルである福島智教授も一番印象に残っていると挙げており、令子がとっさに編み出した“指点字”により、智という存在が世界と再び繋がった瞬間であり、小雪演じる母・令子と、田中偉登演じる智の2人の表情が全てを物語る。観る者にも深い印象を残すシーンとなっている。

本編映像

また、本作を鑑賞した著名人よりコメントが到着した。

伊藤さとり(映画パーソナリティ)

生きることとは、喜びも悲しみも辛さも感動も味わうことなのかもしれない。
だけどそれは一人で成し遂げられるものではなくて、家族や友人の姿から「乗り越える方法」を身につけるんだと映画は伝えているようだった。私はこんな親になりたいし、こんな子どもに育ってほしい、そう願った。
桜吹雪の中で、風を感じて匂いを感じて、ありったけ人肌に感謝したい。

掛尾良夫(田辺・弁慶映画祭プログラミング・ディレクター)

素晴らしい作品。作為的な感情の揺さぶりを抑制し、逆に静かな物語の流れに、主人公の絶望と希望をより強く感じる。自責の念を胸に秘め人生を息子にかける母親を演じる小雪が、今までにない円熟した魅力を放っている。

加藤正人(脚本家)

絶望から希望に向かう奇跡の物語。
実話ならではのリアルで静謐な映像が、深い感動として胸に沁みる。

サヘル・ローズ(女優)

『不運』ではない 
この作品は『生きている』 
目の前がぼやけるほど涙が溢れ出る
哀れみではない ただただ  涙引き込まれていく 
奪われていく 光景と音色 孤独だと思っていた 
でも、違った
母の存在が、
智さんの魂がしめしてくれる 
どうか、
アナタにも 心でみて 心できいて
この作品に溢れるメッセージが 
観終わった後にアナタの中で木霊していく
奪われたのではなく 
私たちはこの作品から多くのことを得ていく

樋口真嗣(映画監督)

仕事仲間の結城さんが映画を作った。世界を股にかけてCGを作って最強で万能の映像作りをバリバリ進めてきた結城さんがどんな映画を作るのかと思ったら、静謐で、純粋で、真摯な映画を本気で作ってた。いつも仕事したりバカ話してる時には一言も言わないような素晴らしいことを映画にしたいほど考えていたのだ。本当に素晴らしいことだと思うので、わたしも見習いたいと思います。

ベー・チェチョル(テノール歌手)

失うことをへの恐怖に打ち勝ちながら未来へ進む姿に心打たれ、生きることへの強さと歓びを伝えてくれる作品にめぐりあった。

矢沢心(女優)

可能性を信じその光を掴む強さ
諦めた時にやってくる孤独とのたたかい
しかしそこには、支えてくれる友や家族
母の愛と強さと絆の温もりに包まれていた

『桜色の風が咲く』は2022年11月4日(金)よりシネスイッチ銀座、ユーロスペース、新宿ピカデリーほか全国で順次公開!
監督:松本准平
出演:小雪、田中偉登、吉沢悠、吉田美佳子、山崎竜太郎、札内幸太、井上肇、朝倉あき/リリー・フランキー
配給:ギャガ
©THRONE / KARAVAN Pictures