5人の俳優がショートフィルムの監督に挑戦する『アクターズ・ショート・フィルム3』の完成報告会が2月7日(火)に都内で行われ、高良健吾監督、玉木宏監督、土屋太鳳監督、中川大志監督、野村萬斎監督が登壇した。

「アクターズ・ショート・フィルム」は、予算・撮影日数など同条件で5人の俳優たちが25分以内のショートフィルムを制作、世界から6,000本超のショートフィルムが集まるアカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」(SSFF & ASIA)のグランプリであるジョージ・ルーカスアワードを目指す。カメラの向こう側にいた彼らが、カメラ越しにどんな世界を創り上げるのか。『アクターズ・ショート・フィルム3』の監督には、高良健吾、玉木宏、土屋太鳳、中川大志、野村萬斎が参加する。

「現場全体にOKを出していく作業が新鮮でした。いま振り返って何が正しかったか間違っていたかは分からないし、ないのかもしれないけど、自分自身にOKを出していった作業が経験できた」と振り返った高良。玉木は「どれくらいの準備をされているのか知っているようで知らなかった部分が多くて、過程を知ることができた。何もないところで形を作って、こう感じて欲しいという思いを届ける作業が非常に楽しかった」と振り返った。

土屋は「監督という仕事は本当に難しい仕事でした。でも、自分の心の中にあるものを形にしていく作業は素晴らしい仕事だなと思います。支えてくださった全ての方に感謝しています」と伝えた。中川は「ものすごく贅沢なバックアップの元で初めて映画を撮る機会をいただけて、めちゃくちゃ楽しかったです」と挨拶、萬斎は「映画はこんなにたくさんの人がかかわるんだなと。もっとやりたいと思ったのが正直な感想です」と笑いを誘った。

2日間という撮影期間のため早朝から撮影されたと話す高良は「撮ってから思うことはたくさんあるんですけど、これが俺がやりたかったことなんだなと腑に落ちています」と納得している様子を見せた。一方で「現場に入ってからは苦労を感じなかった」と言う土屋は「プロフェッショナルなスタッフさんが心強くて。自分が描いたものがどれくらいの長さになって25分という尺の中で収まるのか。何をどれくらい削ればいいのかと判断するのが一番苦労した」と明かした

主演に林遣都をキャスティングした玉木は「ボクシングを好きでやってる人をキャスティング出来たら」と言い、「たまたま大島優子さんと話しをする機会があって、『いまやってるよ』って、いいこと聞いたと(笑)」と明かした。ボクシングシーンについては「いいチームで一丸となってできた。遣都くんが時間を費やして練習してくれたことが作品の説得力になっていると思う」と振り返った。

自身の監督作で有村架純と共演した土屋は「セリフの速度を速くしたい、ドキュメンタリーとして撮りたいといういことだけを伝えて、架純ちゃんはそれに対して『心から寄り添えるように頑張るね』と言ってくださって。現場でセリフを合わせながら心を通い合わせる感じ」と振り返り、「現場で求められる自然とリアルな自然って違うのかなと思うことも多かったので、今回はリアルというものを一緒に探りながら撮影を進めさせていただきました」と明かした。

また、「25分で収まるのかと思いませんでしたか?」と言う土屋に「思いました」と共感する監督陣。さらに「撮影期間も短いから、スタッフさんにふざけて4日間にしてほしいなって(笑)もうちょっと楽しみたいな…」とやり取りを明かし、笑いを誘った。また、有村とは20歳の時に出会ったという土屋は「メイクさんが一緒で、架純ちゃんから“つらかったら無理しないでね”とお手紙がきて。連絡先が載っていてつらいときに電話したり、お話を聞いてくれたり。今回ご一緒させていただけて幸せでした」と振り返った。

「とにかくいろんな部署がある。全てのジャッジを監督がしなければいけないのが、自分の性格的に一個一個目を通して“よし”と納得して返事を出したい、でも時間が足りないと、監督の立場は難しかった」と振り返った中川。キャスティングについては「同世代のキャスティングの俳優をキャスティングしなければいけない。自分にもグサグサ刺さってくるキャスティング会議の裏側と言いますか。俺もこういう感じで名前があがって消えていってるのかとざわざわしていました(笑)見ことがない、見ちゃいけない聞いちゃいけない話を聞いているんじゃないかと。勉強になりました」と明かし、笑いに包まれた。これには玉木も「僕が答えを出さなければ進まない」と共感している様子だった。

監督初挑戦が「いつかは映像を監督してみたいという思いがあった。お話があった時は飛びつきました」と話す萬斎は「自分の感性だけで作れるものではないし、窪田さんの演技が素晴らしいということで、三船敏郎を得た黒澤明のような気持ちです」と語った萬斎。同じく「編集作業が楽しかった」という高良は「何かを作っている感じで楽しかった」と共感している様子だった。

【写真・文/編集部】

『アクターズ・ショート・フィルム3』は2023年2月に放送・配信!
監督:高良健吾、玉木宏、土屋太鳳、中川大志、野村萬斎(五十音順)