予測不能のクライムサスペンスエンタテインメント『BAD LANDS バッド・ランズ』の場面写真が解禁された。

第151回直木賞を受賞した「破門」や、「後妻業」などで人間を突き動かす欲望を描いてきた作家・黒川博行による重厚な傑作小説『勁草』を『検察側の罪人』や『関ケ原』など数々の話題作を手掛けてきた原田眞人監督が映画化。主演は、『ある男』で第46回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した安藤サクラ。原田眞人監督作品は本作で初参加。壮大なファンタジーと日常感が話題となったテレビドラマ「ブラッシュアップライフ」で主演を務めた安藤が、本作では特殊詐欺を生業とする橋岡煉梨(ネリ)を怪演している。そして、安藤サクラ演じる主人公ネリの弟・矢代穣(ジョー)役には、『燃えよ剣』以来、2度目の原田眞人監督作品の参加となる山田涼介(Hey! Say! JUMP)。

今回、安藤サクラが演じるネリの鬼気迫る場面写真2点が解禁された。社会の最底辺で生きようとするネリの叫びをとらえた場面に、前田航基演じる残間に対し容赦なくナイフを突きつける狂気をはらんだ場面、加えて困難な状況のなか生きる術を模索するかのような、思いを巡らせる場面。いずれもどん底からもがき生きようとするネリの気迫のこもった《生命力》に溢れたワンシーンが、本編の熱量そのままに写し出された場面写真となっている。

安藤のキャスティングにあたって本作の柳迫プロデューサーは「実写化するにあたって誰が動いたら一番かっこよく見えるか、この物語に最もフィットするか。そこでひらめいたのが安藤さんでした」と語るとおり、裏社会に生きるネリをフィクショナルなヒロイン像ではなく、より現実に寄り添ったリアルなキャラクターとして思い描いたときに真っ先に名前が挙がったのが安藤だったのだという。

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の『万引き家族』(18)で、審査員長のケイト・ブランシェットもその芝居を絶賛した母親役。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した『ある男』(22)では亡き夫の身元調査を依頼する妻。さらに今年のカンヌで話題をさらった『怪物』(2023)では一人息子に愛情を注ぐシングルマザー。近年《家族》を描いたヒット作品で、映画に説得力を与えてきた彼女が『BAD LANDS バッド・ランズ』で演じたのは《社会の最底辺の疑似家族》。血のつながらない《弟》であるジョー(山田涼介)と「ふれあい荘」で身を寄せ合う人々、それを束ねる《祖父》のような存在の曼荼羅(宇崎竜童)と、特殊な背景の家族像も力強い生命力と説得力をもって演じている。

解禁済みの写真

大阪が舞台となる本作では関西弁のセリフ回しが要だったが、NHK連続テレビ小説「まんぷく」で大阪生まれのヒロインを勤め上げた東京出身の安藤は「方言だと自由に演じられる気がする」と楽しんでおり、出身地や年齢・男女によって異なる関西弁の発音やイントネーションを吟味しながら、ネリ独特の口調を作り上げ、共演の生瀬勝久や天童よしみなど関西弁話者を相手に生き生きと言葉の応酬を繰り広げ、物語に力強いリアリティと説得力を持たせ観るものを魅了する。

先日行われた完成披露試写会の舞台挨拶で共演の山田涼介も「変に飾ることなく、ご自身のペースがあって、おおらかな空気が流れる”安藤さんワールド”がある」と語るように、安藤は撮影現場でキャストや監督、スタッフたちもその自由さで魅了した。本番前に独自の発声で喉をほぐす安藤の様子を目にした原田監督は実際にその発声を劇中でのネリの言動として採用。ネリを襲ったヤクザの構成員を拷問するシーンでは、どう演じたらよいかわからないと戸惑う安藤の代わりにジョーがスピリタスを飲ませることに。ところが本番でその時間がやってくると、ネリがジョーの手をもってスピリタスをヤクザの口に押し込めるというアドリブを入れ、見守る監督・スタッフ陣からも笑いがこぼれていたというエピソードからも安藤の現場での大胆さや魅力あふれる様子がうかがえる。

『BAD LANDS バッド・ランズ』は2023年9月29日(金)より全国で公開
監督・脚本・プロデュース:原田眞人
出演:安藤サクラ、山田涼介
生瀬勝久、吉原光夫、大場泰正、淵上泰史、縄田カノン、前田航基
鴨鈴女、山村憲之介、田原靖子、山田蟲男、伊藤公一、福重友、齋賀正和、杉林健生、永島知洋
サリngROCK、天童よしみ/江口のりこ/宇崎竜童
配給:東映/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
©2023『BAD LANDS』製作委員会