10月23日(月)より開催される第36回東京国際映画祭の黒澤明賞受賞者がグー・シャオガン監督とモーリー・スリヤ監督に決定した。

10月23日(月)~11月1日(水)に開催される第36回東京国際映画祭。東京国際映画祭は日本が世界に誇る故・黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいとの願いから、世界の映画界に貢献した映画人、そして映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる賞として、昨年14年ぶりに黒澤明賞を復活した。昨年はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督と深田晃司監督が受賞した同賞。今年は、山田洋次監督、檀ふみ、奈良橋陽子、川本三郎、市山尚三・東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの5人の選考委員によって選考した結果、受賞者はグー・シャオガン監督とモーリー・スリヤ監督に決定した。黒澤明賞の授賞式は10月31日(火)に開催される。

グー・シャオガン監督

グー・シャオガン監督は、大学ではアニメ・漫画コースを目指していたが、希望通りに進めず、服飾デザインとマーケティングを専攻。在学中に映画作りに開眼。北京電影学院社会人コースなどを聴講して学び、ドキュメンタリーや短編の劇映画から撮り始めました。その後、初長編映画となる『春江水暖~しゅんこうすいだん』は2年にわたる撮影期間の後、完成し、デビュー作にして2019年カンヌ国際映画祭批評家週間のクロージング作品に選ばれて、大きな話題となり、第20回東京フィルメックスのコンペティション部門にも出品され、審査員特別賞に輝いた。

選考委員からは、国際的に高い評価を受けた監督デビュー作『春江水暖~しゅんこうすいだん』において、ヒューマニズムあふれる人間観察と流麗なカメラワークによって一つの大家族の姿を描き、中国映画界から新しい世代の監督たちが登場しつつあることを世界に知らしめたと評され、そのたぐいまれな才能を高く評価するとともに、今後、世界の映画文化に大いに貢献することを期待し、本年度の受賞が決まった。

モーリー・スリヤ監督

モーリー・スリヤ監督は、2008年に初の長編映画作品となった『フィクション。』で、インドネシア映画祭で最優秀作品賞を含む4つの賞に輝くなど、国内外で高い評価を得た。2013年の第2作の『愛を語るときに、語らないこと』は同年に東京国際映画祭に出品、またサンダンス映画祭に出品された初めてのインドネシア映画となった。その後、2017年の『マルリナの明日』はカンヌ映画祭監督週間を皮切りに米国、カナダ、日本を含む14か国で劇場公開されました。同作品は第18回東京フィルメックス最優秀賞を受賞したほか、第91回アカデミー賞外国語映画賞にインドネシアを代表して出品された。

選考委員からは、西部劇を思わせるタッチで一人の女性の行動をパワフルに描いた監督第3作『マルリナの
明日』において、これまでのインドネシア映画のイメージを覆し、世界を驚かせたと評されました。また、この国際的な評価は今まさに活動を開始しつつある多くの東南アジアの女性映画監督たちに大きな希望を与え、今後も世界の映画文化に大いに貢献することを期待し、本年度の受賞が決まった。

グー・シャオガン監督 コメント

第36回東京国際映画祭のご厚意と信頼により私に授与いただくこの栄誉は、黒澤明監督からの厳格な戒めのようにも思えます。
黒澤監督から「グー・シャオガンよ、映画とは真に何たるものかを探求しなさい。その答えを模索することが、映画を作り続けるということだ」と言われているようです。
長い年月をかけて「映画とは何か」という問いに向き合っていけたらと思います。
ありがとうございました!

今天托第36届东京国际电影节的照顾和信赖,这个奖犹如一份黑泽明导演的严厉嘱托:
顾晓刚,你可要好好去发现电影是什么?!这是我对你获得拍电影资格的要求!
希望接下来的岁月我能搞清楚电影是什么!
谢谢!

モーリー・スリヤ監督 コメント

物語、漫画、アニメ、そして後に映画が大好きになった私は、自分の名前が黒澤明と一緒に語られるなんて夢にも思っていませんでした。何しろ、その頃はまだ少女で、映画の撮影現場を率いる人物というイメージとはまったくかけ離れていました。それから十数年後、私はこの賞を受賞することになり、私の世界は変わりました。本当に光栄なことですし、このような形で私の人生を変えてくれた東京国際映画祭と選考委員の皆様に感謝します。

第36回東京国際映画祭は2023年10月23日(月)~11月1日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催