小説『あやふやで、不確かな』の刊行記念イベントに先立ち、取材会に宮田愛萌が登壇した。

デビュー小説『きらきらし』で、万葉集から想像を膨らませた物語を描いた宮田愛萌の最新書き下ろし小説『あやふやで、不確かな』。どこにでもいる普通の女の子・冴。冴からの愛を信じられなくなった伸。友人が恋人と別れたことをきっかけに、自分が恋人のことを愛しているかわからなくなった成輝。逆に、恋人との絆を強くした智世。冴のことが嫌いだけど好きで忘れられない真澄――。4組それぞれが抱える恋心を丁寧に描く。

自身2作目の小説が完成し、「書き上がった時は不安だったんですけど、表紙を素敵に描いていただいたり本になったり、帯を書いていただいたり、いろんな方のお力によって完成したんだと思う」と感慨深げな様子の宮田。そんな本作のテーマについては「“コミュニケーションって難しい”というところから始まって」という宮田は「言葉にしなければ伝わらないことはあるし、言葉にしても伝わらないこともいっぱいあって。それが難しいというところから4組を書こうと思いまして」と着想について振り返った。

4組が抱える恋心を描いている本作だが、「1話目の成輝の章では成輝の気持ちがどうしても分からなくて、書きながら成輝と喧嘩をしながら、『何考えてるの?』と問い詰めながら書きました」苦労と明かしつつも「振り返ってみるとすごく楽しかった」と笑顔を見せた。

また、「今回、恋愛モノと言って書くのが初めてだったので、大人になってからもまた恋愛モノを書いて比較してみたい」といい、「どうやって自分が変わっていくかが作品に表れると思うので楽しみです」と将来的な展望も語った。

さらに今回執筆するにあたっては「家に作業場を作って、いいイスを買って。小説家って腰が大事と聞いたので。みなさんに『イスを』と言われたので、2作目を出すということでちょっといいゲーミングチェアを買ってそこで書きました」と明かした。

次回作については「いま書いているものが青春モノなんですけど、それが終わったら次また恋愛書けたらいいなと思っています」と語った。実際の執筆作業については「プロットを書くときに登場人物の設定があって、どうやって会話をしていくんだろうというのを、頭の中にいる役者さんに設定を与えてエチュードをしてもらって、それをメモしていく。何気ない会話をワンシーンやって、膨らませてプロットにして、実際に描くときに“こいうシーンやってください”と演じてもらっています」と明かした。

今後の自身の活動については「第一にみんなにもっと本を読んでもらって、本は楽しいよねと分かち合いたい」という宮田は「30分時間があるから本屋に行こうかなというのを気軽に言ってほしいなと思っていて」と想いを語り、さらに「もう少し日本文学科に興味持ってもらえないかな(笑)」と期待を込めた。

また、今月9日には自身のYouTubeを開設したことを発表している宮田だが、同チャンネルでは「本を爆買いして紹介とかしたいです。企画と言えばいっぱい買えるので」と笑い、その際の予算を聞かれると「5万円!あ、26万円。年齢の分買うみたいな。26冊買うのもいいかもしれないですね」と想像を膨らませた。最後に宮田は「恋愛小説ですけど、コミュニケーションって難しいというところを中心に書いたので、軽い気持ちで読んでいただけたらいいなと思います」と本作をアピールした。

【写真・文/編集部】

『あやふやで、不確かな』

著者:宮田愛萌
発売:株式会社幻冬舎
判型:四六判並製/200ページ
発売日:2024年4月17日(水)
価格:1600円+税