直木賞受賞のベストセラーを映画化した『花まんま』の本編映像が解禁された。
2005年、第133回直木賞を受賞した短編集『花まんま』(文春文庫)は、記憶の濃淡を丁寧に語り分けながら、人間の哀しさや温かさを繊細に織り込む巧みな筆致で評価される作家・朱川湊人の代表作で、ある兄妹の不思議な体験を描いた物語。初版からおよそ20年を経て映画化される。早逝した両親と交わした「兄貴はどんな時も妹を守るんや」という約束を胸に、たった一人の妹の親代わりとして大阪下町で生きる熱血漢の兄・俊樹を鈴木亮平、まもなくの結婚を控えながら、実はある〈秘密〉を抱えている妹・フミ子を有村架純が演じ、前田哲監督がメガホンをとる。
今回、兄・俊樹(鈴木亮平)と、お好み焼き屋「みよし」の看板娘であり幼なじみの駒子(ファーストサマーウイカ)が息の合ったやりとりを見せる本編映像が公開された。映像では、妹・フミ子(有村架純)の結婚式を目前に控えた俊樹が、行きつけのスナックで駒子と楽しくお酒を交わしています。フミ子が婚約者である中沢太郎(鈴鹿央士)との新居で結婚式の打合せをしているという話を聞いた駒子は、本心では寂しさを感じていながらも素直になれない俊樹の気持ちを察しているよう。
そんな中、フミ子が奪われる夢を見たという話に、駒子「それは行かんといてくれっていう願望の現れや」俊樹「そんなわけあるかいお前」とテンポの良い掛け合いを見せ、まさに幼なじみならではの絶妙なコンビネーションを繰り広げます。さらに駒子が「よっしゃ、ウチが嫁になったろか?」と一歩踏み込んだ冗談を投げかけると、俊樹は照れ隠しなのか、「…近っ、顔近っ!いらんわ。……こんなべっぴんさんもったいないわ」と返し、二人で笑い合う姿が印象的に映し出されている。長年の関係だからこそ生まれる自然体の掛け合いから、2人の信頼関係が垣間見える映像となっている。
幼馴染としての自然な掛け合いが光る鈴木はウイカとの共演を振り返り、「駒子とのシーンは本当にお芝居が楽しかったですね。初日の最初の撮影シーンから『ああ、俺らずっと一緒にいたやんな。近所でずっと一緒に育ったな』という感じの、本当にただの幼馴染のような空気をお互いに出せたんですよね。相性も良かったと思いますし、ウイカさんに助けていただきました」とコメントを寄せ、初共演とは思えない2人のリアルな関係性が、作品の中でも生き生きと表現されている。
ウイカが演じる三好駒子は、映画オリジナルのキャラクターであり、俊樹とフミ子を支える、物語に欠かせない大切な存在として登場する。素直になれない俊樹に対し、駒子は時に厳しく、時に優しく寄り添いながら、彼の背中を押そうとする役どころ。ウイカは、駒子と俊樹の関係性について「駒子もきっと、さまざまなものを背負っているはずですが、それを口にすることはありません。(俊樹との)この関係を続けているけれど、やはりどこかで、『こいつをしばいて、ケツに火を付けさす』というか、『“目覚めさせる”のは自分しかいない』という唯一無二の使命感のようなものがあったと思うんです」と語り、自身が演じたキャラクターに込めた想いも明かしています。
本編映像
『花まんま』は2025年4月25日(金)より全国で公開
監督:前田哲
出演:鈴木亮平、有村架純、鈴鹿央士、ファーストサマーウイカ、酒向芳、六角精児、キムラ緑子
配給:東映
©2025「花まんま」製作委員会