芥川賞作家・村田沙耶香のベストセラー小説を実写映画化した『消滅世界』に栁俊太郎が出演することが発表された。
原作「消滅世界」は、現在累計170万部を超える芥川賞受賞作「コンビニ人間」直前の2015年12月に刊行された長編小説。超少子化の先―「性」が消えゆく世界で激動する「恋愛」「結婚」「家族」のあり方に翻弄される若者たちを描いた本作は、「常識」という枠の中でもがく現代の私たち自身を映し出した合わせ鏡のような作品。MTV出身で国内外の様々なアーティストのライブやミュージックビデオ、CM、ショートフィルム、大河ドラマのドキュメンタリーなど多岐にわたるフィールドで活躍する映像ディレクター・川村誠が脚本とともに映像化に挑む。独自の世界観を築いてきた映画的・音楽的感性を存分に活かして、本作では繊細かつ耽美な異世界観を追求する。主人公・雨音役を演じるのは蒔田彩珠。
今回、蒔田演じる雨音の夫・朔役を栁俊太郎が演じることが発表された。2009年に第24回MEN’S NON-NOモデルグランプリを受賞し、モデルデビュー。2021年4月発売の同誌で卒業するまで、約12年にわたり専属モデルを務めた。2012年5月に公開された『ヴァージン「ふかくこの性を愛すべし」』で俳優デビューを飾り、その後、『クローズEXPLODE』(2014)、『東京喰種トーキョーグール』(2017)、『弱虫ペダル』(2021)、『バジーノイズ』(2024)など着実にキャリアを重ね、今年だけでもすでに映画『少年と犬』、『#真相をお話しします』に出演し、『九龍ジェネリックロマンス』の公開を控えている。2020年12月に全世界配信されたNetflixドラマ「今際の国のアリス」では、原作で最も異彩を放つラスボスというキャラクターを頭を剃髪して好演。ファンの間でも柳演じるラスボスの存在感が半端ないと大きな話題となり、また、昨年公開した『ゴールデンカムイ』(2024)で演じた二階堂兄弟もまた原作のキャラクターを完コピ。「憑依レベル」、「キモい動作が完璧」などファンの間で絶賛の嵐になるなど、毎作品で様々な表情を魅せる栁は、令和を代表するカメレオン俳優の一人として数多くのクリエイターから絶大なる信頼を得ている。
併せて解禁された場面写真では、グレーを基調とした背景に佇み、栁が纏う空気感が物語る朔の心情やいかに…。
栁俊太郎 コメント
初めて脚本を読んだのは5年半前でした。
当時の自分にとってこのようなテーマは現在ほど身近ではなかったので、読んだときに衝撃を受けたことを強く覚えております。
朔という人間は、ここで「人間」という言葉を使っていいのかどうなのか、といった疑問が浮かんでくる存在であり、優しくとても真面目な故に自分を壊していってしまうような、柔らかく儚い一面もあります。
撮影は短い期間でしたので、あっという間に終わってしまいました。
監督の演出は多くを語らずともしっかり寄り添っていただき、監督の頭の中の世界をみんなが共有していたように思います。主演の蒔田さんはとてもハードなシーンが多く大変だったと思いますが、演じている時の姿と、撮影の合間に2人で話している時のゆるりとした姿とのギャップが、プロフェッショナルであり印象的でした。
この作品は川村監督の持つ独特な色とリズムを存分に感じられる作品になっていると思います。
ぜひ劇場でご覧いただけたらと思います。
川村誠 コメント
私たちの常識とはかけ離れ、
それでいてもしかしたら有り得るかもしれない世界線で生きる
朔という人物を、淡々と、そしてどこか
ミステリアスに演じていただける方を考えた時、
真っ先に思い浮かんだのが栁さんでした。
企画立ち上げ当初からお声がけさせていただき
制作が危ぶまれた時期も含め、
長年本作に拘ってくださったことが、
作品成立の大きな力となりました。
蒔田さん同様、栁さんの存在無くして
本作の実現はあり得ませんでした。
撮影の頃には、役を完全に自分のものにして
世界の同調圧力の中でグラデーションするように
変容していく人間の内面を、極めてナチュラルに、
そして静かな狂気をも感じさせる存在として
見事に体現してくださり、
作品のトーンを決定づけてくれました。
本気でこんなことを言っているのか、
その瞳の奥で何を考えているのか−
そんな想像を掻き立てる
栁さんの存在感と演技を、
是非堪能していただきたいです。
『消滅世界』は2025年秋に公開
監督・脚本:川村誠
出演:蒔田彩珠、栁俊太郎
配給:NAKACHIKA PICTURES
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